2025年9月に阿賀野市で行われた「初音ミク 夜空プログラム」にて、GugenkaのARコンテンツ展示と共にARグラスを手がけるXREALの新機種「XREAL One Pro」を体験してした。その完成度に感動し、今回メーカーさんより実機をお借りする機会を得た。
本稿では、数日間使ってみて感じた進化点と使用感をレビューしていく。


満足できる装着感とサングラスのような快適さを備えたXREAL One Pro
XREAL One Proは同社が展開するARグラスの現行最上位モデル。2025年7月発売で価格は8万4890円。先行したXREAL One比較でより広い57°の視野角、700ニトとより明るいOLED、高音質なBOSE監修スピーカーを採用した上位モデル。
また、本機種では幅広い瞳孔間距離に対応しており、グラスサイズをMまたはLサイズで選択可能。従来のグラスではサイズが合わずに絵がぼやけてしまう方にも対応できる。
この他、3DoF対応であること。専用のX1チップ採用でグラス単独でのアンカー設置、ディスプレイサイズの調整が可能になったこと。ブレ補正機能などが備わっている点はXREAL Oneと共通。
また、メガネユーザー用に専用の度入りレンズにも対応しており、いくつかの眼鏡店では専用インサートレンズの制作サービスも行っている。



今回お借りしたXREAL One ProはMサイズ。重量は87gで装着感は「少し重めのサングラス」といった印象で、過去に試したAirと近い感覚。動作中に目頭付近がわずかに温かくなるが、Airよりも熱のこもりが抑えられており、長時間の使用でも不快感は少なかった。

XREAL One世代は画質と画面輝度の進化がすごい。屋外でも視認性良好
XREAL OneシリーズがAirなどの従来モデルに対し、最大の違いは、新世代の高精細マイクロOLEDパネルとグラス単体での3DoF対応だ。
新世代のマイクロOLEDは解像感が非常に高く、新開発のプリズムとあわせって画面端のテキストもくっきりと視認できる。
画面も明るく最大700ニトの輝度を確保しており、屋外でも視認性は上々だ。スマホと接続して地図を表示しておくと、ARナビのように利用できるのも便利だった。
電子調光シャッターも備えているので、集中したい時は周囲の風景を入れ込まないようにすることも可能。Air世代のようなカバーを被せる必要はなく、持ち歩くものが減るのは嬉しい。
ブレ補正と高リフレッシュレート対応で酔いづらい点もびっくりした。進化したブレ補正機能により、歩行中や軽い動作時でも映像の揺れが少なく、酔いにくいAR体験を実現。寝室でゴロゴロしながら映画を見たりする場面でも酔いにくく、目も疲れにくくなった。実用的なレベルに進化したと感じた。
さらに最大120Hzの高リフレッシュレート表示にも対応し、文字の滲みや残像が大きく改善されている。長時間の動画視聴や作業でも快適だった。

XREAL One同様にグラス内にX1チップを採用したことで、従来のXREAL Beamといった外付けアイテム不要で画面のアンカー配置等が可能。グラス単体での3D ToF対応によって、仮想アンカー機能もパソコンやスマホに繋いだだけで利用可能。手軽に空間上に画面を固定できるようになった。
これによってXREAL One Proを「持ち運べるサブモニター」として使えるようになり、動画視聴からドキュメント編集まで、クリエイティブ用途にも活用できた。

6DoF化オプション「XREAL Eye」で広がる可能性
今回はオプションの外付けカメラ「XREAL Eye」もテスト。装着すると6DoFに対応し、目線録画にも対応する。対応機種はXREAL One Pro、XREAL One。価格は1万3200円
これにより、XREAL上には奥行きの情報が追加される。XREAL One Pro空間上に配置した画面へ「寄る」「覗き込む」といった操作が可能になり、ARコンテンツの視聴時はより直感的な体験が得られた。


スマホ型デバイス「Beam Pro」でXR体験がさらに拡張。XREAL Oneと合わせて欲しい
今回、XREAL One Proと合わせて試した「Beam Pro」は、Androidベースのスマホ型アクセサリー。プロセッサはSnapdragon 6 Gen 1とそこまで高性能ではないものの、XREALと組み合わせてコンテンツの視聴などに特化した仕様。
こちらはメモリ6GB、ストレージ128GBの仕様で3万5800円から。上位モデルは5G通信にも対応しており、屋外でもシームレスに利用できる。
AndroidベースのNebura OSを採用しており、XREALグラスを接続した時はミラーリングだけでなく、Vision Proのようなアイコンが表示され、グラス上でアプリのマルチウィンドウ表示などが可能になる。
この時はBeam Proはテレビのリモコンのように持って操作する。わかりにくい例えかもしれないが、GalaxyスマホのSamsung DeXの画面出力時にスマホをタッチパッドとして利用する感覚に近い。
さらに空間写真・空間ビデオの撮影にも対応しており、思い出を“立体的に記録”できるのが特徴だ。


XREAL One Proは進化系ARグラス。キワモノから実用的な仕事で使える「ツール」へ進化
今回XREAL One Proを試して感じたのは、「ARグラスはついに実用レベルに達した」という確信だ。ブレ補正による視聴の快適さ、700ニトの高輝度表示、電子シェード採用による外光カットなど、日常で使える工夫が詰まっている。
従来は映画などを大画面で楽しむといったエンタメ視聴がメインの用途だったが、3DoFを生かした画面のアンカー配置や別途ツールやソフトウェア不要で端末を選ばない点が非常に便利だった。
個人的にはARグラスをサブモニターにすることで、作業におけるプライバシーや機密情報も守られると感じた。ときおり、公共スペースや新幹線等の交通機関で仕事をしている方をふと見て「ここで表示していてもいい情報なのか?」と疑問に思う場面がある。
このような場面でもARグラスに表示して作業してれば、周囲からの覗き見はほぼ不可能なため、情報漏洩のリスクは抑えられる。
パソコンに繋いでの作業、スマホに繋いでナビゲーションや動画視聴。どんな場面でも「持ち運べる大画面」として活躍できるだろう。未来のモバイルスクリーンを先取りしたい人には、間違いなくチェックしてほしい一台だ。


