2025年、Androidタブレット市場に新たな風を吹き込んだ2台として「Xiaomi Pad Mini」と「REDMAGIC Astra」。どちらも10型未満のコンパクトサイズでありながら、ハイエンド級の性能を詰め込んだモデルだ。
しかし、その方向性はまったく異なる。Xiaomiは作業からゲームまでこなせるユーティリティプレイヤーに対し、REDMAGICはゲーミング特化を極めた。今回は両機を実際に触り比べた上で、その違いと魅力をコラム形式で語っていこう。

コンパクトでも性格がまるで違う。Xiaomiは軽快、REDMAGICは剛健
まず、両機種に触れて感じるのは「作りの方向性」の違いだ。Xiaomi Pad Miniはアルミ削り出しの軽量ボディで、厚み6.53mm・重量約326g。縦横比16:10の8.8型 3K解像度ディスプレイを備え、読書や動画視聴にぴったりで、狭額縁による没入感も高い。iPad miniと真っ向勝負できる完成度だ。
実のところ、中国で先行して販売した「REDMI K Pad」のグローバル版となるため、ゲーミングユーザーに向けたコストパフォーマンス重視の仕様となっている。ディスプレイは165Hzのリフレッシュレート対応、SoCの中央配置、デュアルUSB端子などをはじめ、各所でゲーミング仕様の要素が見られる。



一方、REDMAGIC Astraは「ゲーミングタブレット」の名に恥じない存在感。金属フレームをベースに、ライティング演出やSnapdragonロゴを備えるなど、デザインの時点で“強そう”な印象を与える。
厚さは6.9mm、重量は370gとXiaomi Pad Miniよりは重いものの、ディスプレイはベゼルレス設計で9.06のOLEDパネルで、最大リフレッシュレートは165Hz。このクラスでOLEDパネルを採用したタブレット端末は少なく、画面のコントラスト比などは一線を画す。
この他には空冷ファンを備えた冷却システムであったり、各種ゲームへの最適化が大きな特徴。快適かつ長時間ゲームを楽しめる構成なのだ。



設計の違いを明確にする要素がフロントカメラの位置。Xiaomi Pad Miniは短辺側にあるのに対し、REDMAGIC Astraは長辺側にある。これはXiaomi Pad Miniが縦持ちで使用することを想定していることに対し、REDMAGIC Astraは横持ちで使用することを想定している。
横持ちを前提とした設計のREDMAGIC Astraはより「ゲーム」を想定した設計であることがわかる。

ゲームをするなら空冷ファンを備えるREDMAGIC Astraが圧倒的
ゲームを基準に選ぶなら、迷う余地はなくREDMAGIC Astraを選びたい。本機種に搭載されているのはSnapdragon 8 Elite。スマートフォンでも最高峰のSoCであり、タブレットサイズの放熱構造を生かして、長時間のゲームプレイでもクロックを落とさず維持できる。
さらに、REDMAGIC伝統の「ICEクーリングシステム」が内部を効率的に冷やすため、原神のような負荷の高いタイトルも安定して動作する。REDMAGIC Astraも例に漏れず、ベイパーチャンバーと空冷ファンを用いた冷却システムを採用している。
また、ゲームモードの完成度も抜群。フレームレートモニターやマクロ設定、タッチ感度のカスタマイズなど、普通のスマホではできない細かなチューニングが可能だ。
さらに、対応コンテンツではアップスケーリング、フレームレート補完、HDR処理も可能という高画質で楽しむ要素も備える。
同社のスマートフォンでおなじみのハードウェアトリガーこそ省かれているが、Bluetoothコントローラーと組み合わせると、もはやポータブルゲーム機そのもの。

一方で、Xiaomi Pad MiniもMediaTek Dimensity 9400+を搭載しており、一般的なアプリや3Dゲームでは十分すぎる性能を持つ。SoCを中央配置したことで横持ち時は手元が熱くなりにくい設計としている。
ただ、日本向けのコンテンツではDimensity 9400+に最適化されたものはあまり多くなく、ゲーミング特化という点ではSnapdragon 8 Eliteを採用するREDMAGIC Astraに軍配が上がる。
また、高精細な液晶ディスプレイがゲームプレイ時は裏目に出る場面があり、実際に3Kネイティブ解像度で描写される最高画質の学園アイドルマスターは少々厳しいように感じた。この辺りはフルHD+解像度で抑えているREDMAGIC Astraのほうが優位な部分だ。
Xiaomi Pad Miniの利点としては、2つのUSBポートを備えており、充電しながら外部画面への出力、充電しながら有線イヤホンを使用することも可能。短時間のカジュアルプレイには最適だが、「長時間ガチで遊ぶならREDMAGICに軍配が上がる」と言える。


ペン対応やスマホとの連携機能ではXiaomi Pad Miniが優位
ゲーム以外の“使い勝手”を見ていくと、今度はXiaomi Pad Miniが光る。まず純正のXiaomi Smart Penに対応し、手書きメモやイラスト制作が可能。筆圧検知の精度も高く、低遅延でサラサラ書ける感覚はiPad miniにも肉薄している。加えて、専用カバーも多く用意されており、外出先でのやリモートワークにも対応できる万能さを備える。
OS面でもマルチウィンドウやアプリ分割表示などの生産性機能が充実。スマートフォンとの連携機能も優れるなど、タブレットを“仕事道具”として使いたい人にはこちらが断然おすすめだ。

一方、REDMAGIC Astraはあくまでゲーミング特化。ペン入力やキーボード等の純正アクセサリーは存在せず、作業タブレットとしての活用にはやや不向きだ。ただし、OLEDパネルによる画面性能やサウンド面は非常に高く、動画編集や映画鑑賞用途でも満足度は高い。基本性能の高さから動画編集といった用途にも優れる。ピーク輝度1600ニトのディスプレイは屋外でも使いやすい。
それでも電源ボタンに指紋センサーを備える(Xiaomi Pad Miniは顔認証のみ)点は大きな優位性を持つ部分だと感じる。



結論:どちらも魅力的。けれど筆者ならREDMAGIC Astraを選ぶ理由
どちらも方向性の違いが明確で、完成度が高い。Xiaomi Pad Miniは軽量かつ高性能。スライタスペン対応と「日常的に使える万能型タブレット」。一方のREDMAGIC Astraは、ゲーマーのために生まれた「特化型モンスター」だ。
中国向けの価格で比較するとこの2機種は3万円近い価格差があり、ある意味直接競合しないのだが、日本向けはREDMAGIC Astraが8万7800円、Xiaomi Pad Miniが7万4980円とそこまで大きい価格差がないのだ。
筆者自身、動画編集や軽作業にXiaomi Pad Miniを使うこともあるが、ゲームを中心に据えるならREDMAGIC Astraの圧倒的な安定感には抗えない。長時間プレイしてもパフォーマンスが落ちず、OLEDディスプレイの発色も美しい。使用頻度だけなら圧倒的にREDMAGIC Astraだった。
つまり、「遊び」に全振りした体験を求めるならREDMAGIC Astraが最適解と考える。逆に、ペン対応やXiaomiスマホとの連携性といった普遍性や携帯性を重視するならXiaomi Pad Miniを選ぶといい。価格も1万円ほど安いので、性能に対するコストパフォーマンスではXiaomiに軍配だ。

いずれにしても、どちらも“8型サイズのタブレット”という枠の中で完成度が非常に高く、Androidタブレット市場の成熟を感じさせる1台だ。
選ぶ基準は「何をしたいか」に尽きる。ゲーム中心ならREDMAGIC Astra、iPad miniに変わる生産性向上ツールならXiaomi Pad Mini。それぞれの強みが、あなたの生活スタイルをより楽しくしてくれるだろう。
REDMAGIC Astra 製品提供:Fastlane Japan 株式会社


