中国のスマートフォン大手Xiaomi(シャオミ)が、日本で初めて自社の電気自動車(EV)を公開した。持ち込まれたのはフラッグシップモデル「SU7 Ultra」
同社は2027年以降、中国以外でもEV販売を開始する方針を示しており、日本でも意欲を示す。今回の展示はその序章と言える。
スマホメーカー「Xiaomi」の電気自動車(EV)とはどんな車
Xiaomiの電気自動車(EV)は現在、中国国内で展開しているセダンタイプのSU7とSUVタイプのYU7シリーズがある。今回日本に持ち込まれたのは、その中でもドイツのニュルブルクリンクで鍛えた電動スポーツカーとして最上位に位置づけられるSU7 Ultraだ。
SU7 Ultraは高出力トリプルモーターと大容量バッテリーを搭載し、0-100km/h加速1.98秒という加速性能だけでなく、車内のインフォテインメントやスマート化の完成度が際立つ。スマートフォン分野で培ったUI設計やクラウドサービスのノウハウを、クルマという新しいプラットフォームに落とし込んでいる点が特徴だ。


SDV思想を体感した「クルマとしてのXiaomi」
筆者は中国でSU7やYU7の運転席で各種操作を試した際、「これこそソフトウェアで進化するクルマだ」と感じた。
大型ディスプレイを中心に、空調やナビゲーション、各種ドライビングモードがタッチパネルから直感的に操作可能。タブレット的なUIの滑らかさや、OTA(Over The Air)アップデートによる継続的な機能進化は、他の新興EVブランドに比べても一歩先を行く印象だ。
スマートフォンメーカーらしく、Xiaomiのスマホとの連携性も抜群。中国ではXiaomiの車が自宅に到着したことを検知すると、家の照明や空調などの家電を車から制御できるようだ。
本来、Xiaomが見せるべき点は「スマートなクルマ」という側面だと思うが、日本で展示されている実車は静態状態での展示であり、内装やインフォテイメントの確認はできない。筆者としては非常に惜しいと感じた部分だ。
参考までに以下の写真は筆者が中国にて実際に乗車した時の写真となる。






また、Xiaomの車両では、空調や楽曲再生の操作は別売オプションで簡単に物理ボタン化も可能。タッチパネルだけでない操作インターフェースも利用できる。

2027年にはXiaomi Carを中国以外での販売を開始。日本はどう?
Xiaomiは9月24日、ドイツ・ミュンヘンで行われたグローバル向けの新製品発表会の中で、2027年以降に中国国外へのEV展開を開始する方針を明確にした。
今回日本向けの発表のなかで、同社の鄭社長は日本市場について「(中国で先行しているエコシステムを)いずれは実現したい」とコメントしており、今回の展示はブランド認知を兼ねた布石と考えられる。
一方、自動車に関しては地域ごとの安全規格、保安規格、充電規格への対応などが必須となる。販路や整備拠点の構築も考えるとスマホみたいに簡単にはいかないため、先行するBYDの前例や市場調査を踏まえて慎重に進めてくると思われる。


電気自動車の日本投入は無理でも、1/18スケールの精巧なミニチュア模型は販売
電気自動車の日本発売は叶わなかったものの、今回の発表会の中で1/18スケールの精巧なXiaomi SU7ミニチュア模型が、日本向けにも販売されることになった。価格はSU7が1万4800円、SU7 Ultraが1万6800円。
中国などでは本体を購入できないファン向けに展開されている人気アイテムで、Xiaomiの「クルマを家電のように身近にする」ブランディング戦略がうかがえる。模型としては高価な製品だが、実車と同じカラーで作られており、細かいディテールも再現されている。ドア開閉などのギミックも備わっており、クオリティは高い。
実車を手にする前に、ミニチュアでデザインやカラーリングを楽しめる点はXiaomiらしい遊び心を感じさせた。



今回の日本展示は、Xiaomiが単なる家電メーカーからモビリティ企業へと進化していることを示す象徴的な一歩だ。
スマートフォン開発で培ったソフトウェア力と、SDVという次世代EVの思想を武器に、2027年以降のグローバル販売を本格化させるXiaomi。スマホのように進化するクルマを標榜するSU7 Ultraが、世界のEV市場にどのような衝撃を与えるのか、今後の動向に注目したい。
そんなXiaomi SU7 Ultraは9月28日まで秋葉原で開催されている「Xiaomi EXPO 2025」にて展示中。興味がある方はこの週末、秋葉原に足を運んでみてほしい