日本でも販売され、話題を呼んでいるXiaomi 15シリーズ。高いカメラ性能、大容量バッテリーを備えるフラグシップだが、中国にはシャオミの「独自プロセッサ」を採用した特別モデル「Xiaomi 15S Pro」が存在する。
今回は実機を深センで購入し、現地で開通させたのちに日本へ持ち込んでレビューしたい。
シャオミ15周年記念の「特別なスマホ」Xiaomi 15S Proをチェック
今回レビューするXiaomi 15S Proは中国で販売されているXiaomi 15 Proのバリエーションモデルという位置付け。
本機種はシャオミの設立15周年を記念したアニバーサリーモデルでもあり、フラグシップの中でも立ち位置はやや異なる。
特徴としてプロセッサにSnapdragonではなく、シャオミが独自に設計したSoCであるXRING O1(中国名:玄戒 O1)を搭載する。スペックは以下の通り
SoC:Xiaomi XRING O1
メモリ:16GB
ストレージ:512GB/1TB
ディスプレイ:6.73型 2K+(3200×1400)解像度、120Hz対応、最大輝度3200ニト
カメラ
標準:5000万画素 f1.62(Light Hunter 900)1/1.3型
超広角:5000万画素 f2.2 14mm相当
5倍望遠:5000万画素 f2.5 30cmのマクロ撮影対応
フロントカメラ:3200万画素
バッテリー:6100mAh
90W急速充電、50Wワイヤレス充電対応
Xiaomi 15S Proはカラーリングと一部外観仕様が異なるものの、それ以外の仕様はXiaomi 15 Proと共通。2K解像度かつ最大3200ニトと明るい6.73型のAMOLEDディスプレイ、ライカ共同開発のトリプルカメラ、6100mAhのバッテリーと90Wの急速充電機能を備える。


ディスプレイは6.73型と大型。3Dガラスのような滑らかな質感で、ハイエンドスマホらしい所有感を満たしてくれる。画面解像度は3200×1440(2K+)とかなり高精細、画面輝度も明るく、屋外の視認性も良好だ。

独自プロセッサ「XRING O1」は想像以上に高性能!しっかり使えるハイエンドスマホ
そんなXRING O1のアピールポイントには、高い性能が挙げられる。第二世代の3nmプロセスで製造されたこのプロセッサには3.9GHzで動作するCortex-X925を2コア、Cortex-A720を6コア、省電力に優れるCortex-A520を2コアという計10コアの構成とした。
コアIP的にはMediaTek Dimensity 9400が近いが、どちらかと言えば、独自コアではあるもののSnapdragon 8 Eliteに省電力に優れる高効率コアを加えた構成が適切だ。

公称値ではAntutuベンチマークで300万点を超える高いスコアを記録したとしている。これは現行のスマホ向けでは上位のクアルコム「Snapdragon 8 Elite」やMediaTek「Dimensity 9400」に匹敵する性能だ。
試しに筆者の環境でもGeekBench 6で性能を計測してみたところ、マルチコアで8500超えの高い数字を記録。これは同世代のSnapdragon 8 Eliteを搭載する機種とそん色のない結果となった。

これだけ高い性能を有しているのなら、スマートフォン向けのアプリの動作はどうだろうか。人気ゲーム「崩壊スターレイル」を最高画質で動作させてみたところ、同世代のフラグシップであるSnapdragon 8 Eliteを搭載した端末と同じレベルの操作感を体験できた。
他のゲームでも幾つか遊んでみたが、GPUはMediaTek Dimensity 9400と同じコアを採用していることもあって、大きな描写の破綻や動作不良等はなかった。日本向けのコンテンツも問題なく楽しむことができる。



電池持ちはゲーム等であれば比較的長持ちな印象。一方で、屋外でセルラー通信をすると電池消費が早かった。これはモデムを別実装している仕様が影響しているものと考える。
それでも正直なところ、Xiaomi 15S Proは6100mAhの大容量のバッテリーを備えることもあり、同世代の競合機種と比較しても電池持ちは良い。
5倍望遠カメラが強い。iPhoneの「Pro Max」を意識したXiaomi 15S Pro
Xiaomi 15S Proのカメラは同社のライカ共同開発機らしく綺麗に撮影できる。XRING O1は独自のISP(画像処理プロセッサ)を採用しているが、こちらも自社設計ということもあってうまくチューニングできているように感じる。
カメラ構成は先行したXiaomi 15 Proと同じ構成で、メイン、超広角、望遠のすべてが5000万画素の仕様。Xiaomi 15との違いは超広角カメラと望遠カメラが2.6倍から5倍のペリスコープ方式に変更されている。このため、競合機種はiPhone 16 Pro Maxあたりを意識している。






ハイエンド機らしく写真も綺麗に撮影できる。独自プロセッサのチューニングはSnapdragon 8 Eliteを採用するXiaomi 15と比較して彩度がやや高く明るめな印象をうけた。




望遠カメラもきれいだ。望遠カメラはそこまで寄れない点が惜しい



Xiaomi 15「Pro」はプロセッサの異なる3兄弟スマホ。実は日本にも兄弟が
本機種には事実上の兄弟機としてXiaomi 15 Pro、日本でも販売されているXiaomi 15T Proがある。Xiaomi 15 Proは本機種のベースモデルであり、Snapdragon 8 Eliteを採用したローンチデバイスのひとつ。昨年10月に中国本土でのみ販売された。
Xiaomi 15T Proはディスプレイやカメラの仕様がXiaomi 15 Proより劣るものの、プロセッサやカメラ構成などをはじめ、立ち位置的には非常に近いポジションの機種としている。
フラグシップのDimensity 9400+を採用している点など、Xiaomi 15系のハイエンドとして中国本土以外のグローバル市場で展開されている。この市場ではXiaomi 15 Proの代わりにXiaomi 15T Proがあると評価することもできる。


独自プロセッサに中国専売のシャオミスマホ。スマホに「スパイス」の欲しいマニア向けスマホ
Xiaomi 15S Proは正直買いか?と言われるとかなり微妙なもの。シャオミのスマホの中でも立ち位置はかなり特殊であり、アニバーサリーモデルという他にないものだ。
グローバルにはなく、中国専売という特性から「変わったプロセッサ」というスパイス要素を求める変態スマホオタクや、シャオミスマホのこと好き好きクラブといったXiaomi Fanのみなさま向けのギークな機種に他ならない。
そんなXiaomi 15S Proだが、独自チップXRING O1の実力は想像以上のもので、初手でいきなりこのクオリティのフラグシッププロセッサを作ってきたことには驚いた。
通信モデムが別実装であることからスマートフォンとして使うには電力効率で劣るものの、十分すぎる実用性能を持っている。同じ3nmプロセスを採用したどこぞのスマホ向け独自設計プロセッサが、パフォーマンス面や最適化でいろいろ難ありなのとは対照的な出来栄えといえる。
一方で、今後の性能向上を目的とした開発は難しくなると考えられる。 XRING O1は基本的にARMライセンスのコアやGPUを使用していること、通信モデムはMediaTek製のものを使用しているので、ファーウェイのような全面制裁とはいかないものの、制裁のさじ加減一つで製造できなくなるリスキーな部分はある。
また、このプロセッサの発表直後に米国が中国向けのEDAツール(半導体設計ソフト)を制裁対象に加えたことも性能向上を難しくしている。Xiaomiが送り出した3nm半導体を米国が脅威ととらえたことは容易に想像できる。

それでもスマホ向けの独自SoCを開発できるメーカーは世界的に見てもApple、Google、サムスン、ファーウェイ。今回シャオミはここに続く形で5社目に続いた。米国制裁という逆風の中、今後もこの「独自プロセッサ」スマホを世に送り出せるのか、動向を注視していきたい。

