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Huawei Pura80 Ultra レビュー ファーウェイ渾身のカメラスマホは“買い”なのか

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 こんにちは。これまで使ったスマホは300台以上。生まれはギリギリZ世代のライター はやぽんです。さて、各所で話題のファーウェイのカメラ性能特化スマホ。Pura80シリーズのうち、最上位のPura80 Ultraの実機を入手したので、レビューといきましょう。

 なお、本レビューは海外で実施しているため、SIMカードを入れた状態で利用している。日本国内では電波法第103条の6の解釈並びに所轄総通の回答に基づき、電波を発した状態で利用する。

目次

圧巻の写りに文句なし。ファーウェイ渾身のカメラスマホはやはり最強だった

 Huawei Pura80 Ultraはメインカメラに5000万画素のセンサーを採用。自国製のイメージセンサーを採用しており、配列はより多くの光を取り込めることで著名なRYYB配列が採用されている。特許取得済みの可変絞り機構も引き続き備える

メインカメラはかなり大型

 これに加えて4000万画素の超広角カメラ、5000万画素の3.7倍望遠カメラが搭載されている。この望遠カメラが今回の新機能であり、「Switchble Tele Lens」と称する焦点距離を可変できるペリスコープ方式のレンズとなっている。

 これはXperiaの望遠カメラのようにプリズムを動作させるのではなく、口をふたつ作ってレンズをふたつ設けたような仕組みとしている。この機構を採用したことで、望遠カメラに1/1.28型という超大型のイメージセンサーを採用できた。9.4倍のタイミングで切り替わるが、この場合はクロップとなるため、ハイレゾ撮影等の一部撮影モードは利用できない。

 また、望遠カメラのテレマクロの最低撮影距離が30cmほどとなった。従来の5cmまで寄れる仕様ではなくなったものの、ズーム耐性が高いこともあり、Pura70シリーズと同等のクオリティで撮影できる。

 Pura80シリーズでも、独自の画像処理技術となるHuawei image XMAGEが採用される。ライカとの提携が終了したファーウェイにおいて、技術革新、撮影体験の革新を目的に新たな画像処理技術のブランディングとして展開される。

 そんな最強ハードウェアにXMAGEのノウハウが合わさった「最強のカメラスマホ」とも言わんばかりのPura80 Ultra。作例は以下のようになる。撮って出しの無編集の状態だ。

 Pura80 Ultraの写りを見て感じるものは、HDR補正が入り、白飛びがかなり抑えられていることが分かる。特にハードウェアで不利だったファーウェイが、今回に限っては最強クラスのハードウェア手にしたことによって、今まで以上に格の差を見せつけられる。

 XMAGEの方向性から彩度やシャープネスが落ち着いており、カリッとしていない柔らかさがある点も特徴だ。とにかく打率が良く、特別な知識も必要もしない。誰が撮影してもきれいに撮影できるスマートフォンだ。

望遠性能も見事だ。1/1.28型のイメージセンサーを採用した3.7倍のペリスコープ方式の望遠を備えており、暗い場所でも綺麗に撮れる

10倍望遠も見事だ。レンズは光学式なだけあり、くっきりと撮影できる

マクロ撮影も優秀。マクロモード時は45倍まで拡大可能

Pura80 Ultraで特徴的な写真は料理の写真。AIが料理を認識すると絞って撮影するので、変にボケたり流れる描画が少なく綺麗に撮影できる。可変絞りを生かした表現だ。 

中国製のKirin 9020搭載!今回も米国制裁を回避したハイエンドスマホ

 Huawei Pura80 Ultraに関してもプロセッサ等を中国製造として「制裁を回避」した部分の関心は高い。超強力なカメラに注目が行きがちだが、画面性能なども評価したい。ざっとスペックを書くとこんなところだ

SoC:HiSilicon Kirin 9020
メモリ:16GB
ストレージ:512GB/1TB USF3.1

画面:6.83型 FHD+ OLED 120Hz対応

カメラ
リアカメラ
メイン:5000万画素 f1.6-4.0
超広角:4000万画素 f2.2
望遠 :5000万画素 mm相当 f2.4/f3.4

フロント:1300万画素

バッテリー:5800mAh
100W急速充電
50W無接点充電対応

衛星通信対応

 核となるプロセッサはHiSilicon Kirin 9020を搭載していることが判明している。中国の半導体ファウンダリーであるSMICにて製造されており、製造プロセスは7nmとされている。Kirin 9020では構成コアにARMライセンスのものがなくなり、GPUのアップデート確認できる。基本性能は決して低いものではなく、昨今のハイエンドスマートフォンに匹敵する性能を持ち合わせる。

 スマホとして使ってみると、上記のような性能を持つハイエンド機なのもあって、動作にストレスは感じない。パフォーマンスモードで使用してもバッテリー消費はさほど多くなく、普通に利用できるものとなっている。搭載メモリは12GBとなっている。

 グラフィックに関してはGPUのMaleoon 920を採用。独自の構成となっているためか、コンテンツ側の最適化が全く追いついていない。原神のように高度な最適化が行われて快適に動くコンテンツもあるが、一応あらかたのゲームは動作しそうだ。

 ディスプレイは120Hzのリフレッシュレートに対応している。少し前のトレンドであった3Dガラスのような仕上げとなっており、質感や画質に関しては価格相当の仕上がりとなっている。また、ベゼルは上下左右すべて均等であり、デザイン的なバランス面も非常に良好だ。

ディスプレイは輝度も比較的高く、視認性も良い

 Huawei Pura80 Ultraのデザインを見て、まず目が行く点は特徴的な背面カメラ。三角形をかたどったデザインで、カメラ配置からローマ字の「P」を意識したものとしている。従来のPシリーズとも異なる全く新しいデザインなのだ。

どことなく「P」の意匠を感じるデザインだ

 本体はセラミックを採用し、従来のMateシリーズのような高級感のある仕上げ。最上位のPura80 Ultraは高い質感で所有感を満たしてくれる。

 バッテリーも5800mAhと大容量化した。一方で電池持ちはカメラをメインで使う関係かあまり良くはないものの、Xiaomi 15 Ultraよりも良好な印象。有線では100Wの急速充電に対応しており、高速で充電できる。付属の充電器で対応できるので、別途購入などは不要だ。

OSは中国独自のHarmonyOS NEXT!軽快な動作は魅力だが、日本で使うならAndroidベースのグローバル版がおすすめ

 カメラ以外の大きな売りとしては、衛星通信とプリインストールされているHarmonyOS 5.1となる。筆者が入手した中国版ではAndroidベースではなくなり、独自OSのHarmonyOS NEXTがプリインストールされている。もはや「Androidスマホ」とも呼べない存在になっている。
 

 これは難点となるか微妙なところだが、日本で使う上ではHarmonyOS NEXTが大きな課題となる。現時点でNEXTは言語に日本語はなく、奇跡的に日本語が入力できる状態。公式ストアのApp Galleryに日本向けのアプリは皆無という状態のため、かなり使いにくい点は否めない。

システム言語に日本語はない

 そこら辺はファーウェイも理解しているのか、アプリ不足や渡航先の不便を解消するために、従来のAndroidアプリが動作する仕組みとして「卓易通」と「出境易」を用意している。動作状況としては、多くのアプリが動作する「卓易通」 ではゲームなどが動作。内蔵のブラウザからapkファイルをダウンロードしてインストールして使う。

「卓易通」と「出境易」に振り分けられたアプリHarmonyOS向けとは別枠となる

 Googleサービスが動作する「出境易」というアプリでは各種Googleサービスが必要なアプリが動作する。実際にChromeやGoogle Map、Google Geminiなどのアプリが動作、各種SNSも問題なく動作している。ゲームに関しては全てではないものの、ある程度問題なく動作している。Google Play経由のアプリ内課金も行うことができた。

Googleも動作する
各種ゲームも動作する

 コレさえあれば快適に使える…というわけでもない。アプリはすべてのものが動作するわけではなく、正常に動かないものもある。コンテナ環境ということもあり、スマートフォンの性能はフルで活かすことはできない。
 Androidが動作するファイルシステムもスマートフォンとは異なる階層にあり、Android側でHarmonyOSのファイルを参照できない。そのため、写真や動画のアップロードにはデータの移動が必要となり、これに少々手間がかかる。
 Androidアプリでも入力はシステムキーボードに依存しており、基本的に変更はできない(日本語環境に関してはむしろ悪化する)

 これも後述のグローバル版を購入すれば、Androidベースなので解決する。日本語もしっかり使えて、今までと同じようにAndroidアプリも動作する。一見、グローバル版で問題ないように見えるが、5G通信が利用できない上に、NearLinkの通信にも制限がある。また、本体機能やイヤホンやウォッチの機能も一部オミットされ、ソフトウェアアップデートの提供が遅いという点がある。

 こんなのではファーウェイ本気のスマートフォンを本気で使えないという歯痒さが残る。制裁をもろともしない独自機能を制限したファーウェイのスマホなど、マニアの筆者としては使いたくないのが正直なところ。

 とはいっても、筆者のような頭のネジが10本くらい飛び散っていること。加えて、手元に両手の指の数よりもスマホがあるような人以外は素直にグローバル版を選んだ方が吉。HarmonyOS NEXTのスマホを選ぶときは、以下のまとめだけでも覚えておいて欲しい。

中国版(HarmonyOS NEXT)
• 日本語UI非対応(入力はかろうじて可能)
• 「卓易通」でAndroidアプリ互換
• 「出境易」でGoogleサービス互換
• 互換環境でapkインストール可だが、一部動作不可アプリあり
• ファイルアクセスやキーボード変更の制限あり
• Androidアプリ動作時のパフォーマンス面では不利

グローバル版(EMUI 15 / Android 12ベース)
• 日本語対応&Androidアプリ利用可
• ただし5G非対応、機能削減、アップデート遅延のデメリットあり
• 省電力性などでHarmonyOS NEXTよりも劣る

制裁回避してもなお、進化を遂げたPura80Ultra。”買い”なのはAndroidベースのグローバル版

 今年も大きな進化を見せつけた「カメラフラッグシップ」Pura80シリーズ。 今回も例に漏れずプロセッサや通信対応バンドといったスペックの多くを「ブラックボックス」として発売した異色すぎるスマホとなった。

 使ってみての感想は、やはりファーウェイのカメラ特化スマホは期待裏切らない高い完成度だ。写りの良さはもちろん、数多くの最新技術が投入されていることも魅力。今回は複数焦点距離の望遠カメラ、自国製の1型センサーをといった中国の意地を見せると共に、苦手な分野の克服に走ったように感じた。

 これ以外にも本体の基本的な性能の向上、上質な質感といったところも大きく評価したい。価格的にはiPhone 16 Pro MaxやGalaxy S25 Ultraがここに並ぶ存在だが、これらの機種とも引けをとらない上質な質感や体験ができると感じた。

 今回のPura80シリーズも、自国製チップセットで米国の制裁を回避している。なんなら5Gにも対応している可能性が極めて高く、中国では5.5Gに対応しているという報道まで出ている。基本性能も欧米で販売されるハイエンド機に迫る性能に仕上げた製品だ。

 加えてPura70 Ultraよりも部品の内製化率が向上しており、9割を超える内製化を達成したとの報道も出ている。今回はメモリやストレージに加え、全イメージセンサーを内製化するなど、より「脅威」とも捉えかねないスマートフォンに仕上がった。

 このようなスマートフォンを「中国内だけで製造した」ことひとつのマイルストーンと評価できる存在。制裁下でも5Gに対応させ、自国で高性能なプロセッサーに加え、イメージセンサーや実装する複雑なメカ機構の設計、製造とできる。まさに、中国が国策で行っている半導体事業、先端事業の成果が出た形となった。

日本でも超高速通信が可能。海外の5Gに対応していないはずのスマホからは出てこない数字だ

 最後になるが、価格は最廉価なPura80で5499元~(11万円前後)、今回レビューのPura80 Ultraで9999元~(21万円前後)の設定となる。グローバル版も概ね同等の価格設定だ。

 グローバル版は20を超える国と地域で販売が予定されており、既に中東地域や東南アジア地域では販売されており、少しずつだが以前の勢いを取り戻している。こちらはAndroidベースなので使いにくさは控えめ。中国以外ではHarmonyOS NEXT向けのアプリは皆無のため、地域別に別のOSを採用していることになる。同じ筐体に異なるOSといえば、かつてのVAIO Phone Biz/Aを思い出した。

 Pura80シリーズは諸般の事情からGoogleサービスが正規の方法では利用できない。中国版はAndroidスマホですらなくなるなど、日本で使うには制約もある。今まで以上に「あえて買うか」と言われると微妙な選択になると思う。
それでも、ファーウェイのスマートフォンをずっと追いかけ続けたファンを決して後悔させない高い仕上がりだ。興味がある方は是非チェックしてみてほしいスマートフォンだ。

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