中国で熾烈な競争を続ける5万円台の「高性能なスマートフォン」日本でもPOCO F7といったコストパフォーマンスに優れる機種が話題になるが、中国ではさらに個性的な製品がある。
今回は4万円台でも「空冷ファン」を搭載したスマホOPPO K13 Turbo Proを購入してみたのでレビューしてみよう。
OPPO K13 Turbo Proは「防水なのに穴がある」空冷ファン搭載のスマホ
OPPO K13 Turbo ProはOPPOが展開するコストパフォーマンスラインのスマートフォン。日本円で5万円前後の設定ながらプロセッサSnapdragon 8s Gen 4を採用するなど、XiaomiのPOCO F7などと競合する。スペックは以下の通り
SoC:Snapdragon 8s Gen 4
メモリ:12/16GB
ストレージ容量:256/512GB
ディスプレイ:6.8型 1.5K解像度 120Hzリフレッシュレート対応
カメラ
標準:5000万画素
モノクロ:200万画素
フロント:1300万画素
バッテリー:7000mAh 80W充電対応
画面内指紋認証
IPX6、IPX8、IPX9等級の防水対応
空冷ファン採用
OS:Android 15 ColorOS 15
価格:1999元(約4万円)〜
本体カラーはブラックやシルバーに加え、ゲーミングデバイスを意識した「初号紫」も用意。今回はそんな目玉の初号紫を試す。エヴァ初号機を彷彿とさせる派手な配色が強烈なインパクトを放つ。本機種は樹脂製のフレーム、バックパネルを採用。フレームは艶消し仕上げのためか、過度な安物感を感じさせない質感を備える。


OPPO K13 Turbo Proの最大の特徴は本体に内蔵された空冷ファンだ。このファンによってスマートフォンの放熱能力向上させ、ファン非搭載の機種比較で冷却性能20%増加させたとしている。これによって、ゲームなどを長時間楽しめるとアピールした。
空冷ファンを備えるスマートフォンは過去にいくつか存在したものの、今ではかなりの少数派。現行製品ではゲーミングに特化した「nubia REDMAGICシリーズ」が空冷ファンを備える製品として著名だ。OPPO K13 Turboシリーズ共通の特徴が空冷ファン。配置はメインカメラに連なる形で並んでいる。


そして、OPPO K13 Turboシリーズは空冷ファンを備えながらIPX6、8、9等級の防水性能を取得。ファンの吸排気口という物理的な「穴」があるにも関わらず、高い防水性能を備えていることは驚異的と評価したい。
OPPOはこの「防水機構を持つ空冷ファン」の開発に4年の歳月を費やしたとしている。独自開発のファンは防水だけでなく落下時などの耐衝撃性能も確保した。空冷ファンの動作は比較的静音だが、静かな空間では動作音は比較的目立つ印象。動作モードはインテリジェント(自動調整)と最大回転で固定のふたつがある。
この他に冷却機構として、面積7000mm2の大型ベイパーチャンバーも搭載。空冷ファンと合わせて端末を素早く冷却できるとしている。この辺りはゲーミングスマホらしいアプローチだ。

OPPO K13 Turbo ProはSnapdragon 8s Gen 4 +7000mAhの大容量バッテリー搭載
OPPO K13 Turbo Proの特徴は価格の割に高性能な点だ。画面サイズはやや大きめの6.8型、解像度は2800×1280ドット(1.5K)で120Hzのリフレッシュレートに対応する。
画面輝度がピーク時1600ニトと、POCO F7(REDMI Turbo 4 Pro)などの競合と比較するとやや劣るところはあるものの、実用的な性能は確保。画面内指紋認証も備えている。
プロセッサは現行の上位グレードとなるSnapdragon 8s Gen 4を採用。日本ではPOCO F7やNothing Phone(3)といったスマートフォンに採用されているプロセッサ。最上位のSnapdragon 8 Eliteには劣るものの、基本性能はかなり高く、高負荷なゲームも高画質設定でこなすことができる。

実際にいくつかゲームで遊んでみると、高いパフォーマンスを求められる原神や崩壊スターレイルなどは快適に動作。
原神や崩壊スターレイルではフレーム補完に加え、アップスケーリング、HDR補正機能も利用できるなど、ゲーミンググレードの性能を発揮。
空冷ファンによる放熱性能が優秀なため、同じプロセッサを採用するPOCO F7よりも長時間快適に遊ぶことができた。廉価グレードなら4万円台で購入できる機種ということを考えると、かなり優秀なパフォーマンスだ。


バッテリーは7000mAhと大容量。電池持ちはかなり良く、ゲームで遊んでも他社の製品より明らかに電池持ちが良い。スマートフォン本体も80Wの急速充電にも対応しており、大容量のバッテリーを素早く充電できる。
割り切りを感じるシングル構成 OPPO K13 Turbo Proのカメラをチェック
OPPO K13 Turbo Proは高い性能をもつ一方で、コストの関係からカメラは最低限と割り切った。5000万画素のメインカメラと200万画素のモノクロカメラという構成。
これは事実上のシングルカメラ構成であり、ゲーミング特化ゆえに「潔い」割り切った構成とした。いちおう、メインカメラには光学式の手ぶれ補正を備えている。




何枚か撮影したが、カメラ自体は価格を考えれば十分綺麗に撮れる。画角が換算26mmと一般的なスマホよりやや望遠よりの構成となっている。OPPOのスマートフォンで利用できるAI消しゴム、生成AIを用いたスケッチ機能などの各種AI機能も利用できるので、上手に付き合うとよさそうだ。
OPPO K13 Turbo ProというPOCO F7のライバル的な「ゲーム特化スマホ」日本でも販売して欲しい
OPPO K13 Turbo Proは「空冷ファン」という差別化要素を備え、価格を抑えながらもた「ゲームに特化」した機種だった。性能重視でコスパの良いスマホが欲しいだけでなく、「割り切り」ができる人向けの2台目スマホとしてもアリだと感じた。
そんな本機種はvivo iQOO Z10 Turbo ProやREDMI Turbo 4 Pro(POCO F7)といった同等性能を持つ機種に比べると、空冷ファンによって長時間ゲームを快適に楽しめるスマホとしてアピールしている。競合との差別化もしっかりしているというわけだ。
一方でカメラ性能や画面性能はかなり割り切っており、ゲーム以外の部分は競合に引けを取る部分が多い。ある意味ゲーム用の「サブスマホ」と言ってもいいくらいの潔い構成と実感した。
そんなOPPO K13 Turbo Pro中国での価格は1999元(約4万円)からと、性能を考えれば比較的廉価なポジション。パフォーマンスに特化した「ゲーム機のような立ち位置」となっている。
SNS上では「性能重視のコスパハイエンドスマホ」を求める声がかねてからあり、この声に応えたXiaomiのPOCOシリーズは日本でもジワジワと存在感を示している。一方で日本市場にはこれと競合するスマートフォンがいないことも事実。
日本でも名が知られているOPPOからK13 Turbo Proのような機種が登場すれば、コスパスマホの「POCO」の対抗馬になれる存在かもしれない。




