折りたたみスマートフォンは、もはや特別な存在ではなくなった。しかし価格は依然として高く、Galaxy Z Fold7やPixel 10 Pro Foldは25万円を軽く超える。そんな中、ZTEがnubiaブランドで初投入した横折りスマートフォン「nubia Fold」は、17万円台という明確に“安い”価格で日本市場に登場した。
8型の大画面ディスプレイに、Snapdragon 8 Elite、6,550mAhの大容量バッテリーとスペックはフラッグシップ級の要素をしっかり押さえている。一方で、薄さや軽さ、UIの完成度、カメラ性能といった点ではプレミアムモデルに及ばない部分も見えてくる。
本記事ではnubia Foldを約1ヶ月間使い込み、その実力と立ち位置をレビューしたい。
ZTE初の横折りの折りたたみスマホ「nubia Fold」をチェック
nubia FoldはZTE初の横折り(フォールド型)端末であり、世界に先駆けて日本で販売したスマートフォン。Galaxyなどと比較して先進的な機能は少ないものの、堅実な設計でコストを抑えた点が注目の商品。基本的なスペックは下記の通りだ。
SoC:Qualcomm Snapdragon 8 Elite
メモリ:12GB
ストレージ:256GB
メインカメラ:5000万画素 f1.8
超広角カメラ:5000万画素 f2.2
マクロカメラ:500万画素 f2.4
フロントカメラ:2000万画素
フロントカメラ:2000万画素(カバー画面)
カバー画面:6.5型OLED FHD+解像度
メイン画面:8.0型OLED QXGA+解像度
120Hzリフレッシュレート対応
バッテリー容量:6550mAh
OS:Android 15
nubia FoldはZTE初のフォールド型スマホ。GalaxyやHONORなどのプレミアム路線とは異なり、TECNOなどの折り畳みで1200ドル前後を想定したセグメントの機種である。中国市場ではvivo X Fold5などと競合する7000元前後で展開される機種と思われる。
画面サイズはメインディスプレイが8型、カバーディスプレイも6.5型という中華勢あるあるなサイズ感。閉じた状態では一般的なスマートフォンに近い見た目となった。


nubiaでは本体の薄さや重量で最軽量を走るGalaxyやHONORとは勝負しない方針をとった。それでも厚さは展開時で5.4mm、折りたたんでも11.1mmと比較的薄型に仕上げている。重量は249gと2025年基準では決して軽いとは言えないが、後述するバッテリー容量やコストをなどを考えると十分なものと思われる。


8型の大画面ディスプレイは強い。インカメラの位置が絶妙
nubia Foldの大きなアピールポイントは大画面であること。ディスプレイ輝度は非公表だが、日常利用では困らない仕上がり。
画面サイズは中華勢の折りたたみの中では標準サイズの8型、カバーディスプレイも6.5型の仕様。120Hzのリフレッシュレート対応するOLEDパネルを採用。メインディスプレイはLTPSに対応するという。


nubia Foldはフロントカメラの位置が右上にあるのもポイント。右側の真ん中よりにあるGalaxy Z Fold7と比較して画面の広さを感じられる構成だ。

ディスプレイ自体はコストの関係から1世代前のディスプレイと思われるが、それでも十分な輝度、解像感を確保している。画面解像度は2480×2200ドット、フロントカメラを右なので、同等のものでは過去のvivo X Fold 3 Proに採用されたものが近いと考えられる。
実際に使ってみると、屋外で使用した時の画面の視認性は良く、ちょっと前に折り畳みスマホに感じた「外で見にくい」といったシーンはかなり少なくなっている。このような大画面は、後述のゲームや複数のアプリを同時に動かす際に非常に便利に利用できた。Galaxy Z Fold7のような屋外でも抜群の視認性といった体験とはいかなくても、同等レベルの体験が可能だ。
Snapdragon 8 Elite搭載。折りたたみとしては高いパフォーマンスの持続性能が魅力
核となるプロセッサはQualcomm Snapdragon 8 Eliteが搭載されており、パフォーマンスに不満はない。冷却機構では不利になりがちな折りたたみ端末でも、重量級のゲームは余裕で動作する。
また、ベンチマークを回してみると、折りたたみスマホの中ではトップレベルのパフォーマンス持続性を持つ。高負荷なAntutuベンチマーク(Ver.11)を3回動かしても320万点前後のスコアを維持した。

一般に冷却機構で劣る折りたたみスマホは熱管理が厳しく、すぐにパフォーマンスが低下する、そもそも性能を抑えられていることも少なくない。そのような中でもパフォーマンスが持続する点は大容量バッテリーを採用したこと、過度に薄型軽量設計にしなかった点がうまく反映されていると思われる。


電池持ちは折りたたみスマホでもトップクラス。ここはフォルダブルスマホとして最も大きい6560mAhの大容量バッテリーを搭載していることが所以だ。
本体の最適化も終わってこなれたタイミングにはなると思うが、通常利用に加えて原神のようなゲームを2時間遊んだり、30分の動画撮影などを加えても余裕で1日持つ印象。また、55Wの急速充電にも対応。日本向けに販売されている折りたたみスマホの中では最も早く充電でき、大容量バッテリーで長く安心して利用できる。
nubiaのスマホは「MyOS」というカスタムUIを採用している。GeminiなどのGoogle系AI機能のほか、通話アシスト、同時翻訳、AI壁紙生成機能といったAI機能も備える。
操作感はAOSP系のものに近いものの、同社の横折りスマホとしては初採用なので完成度はお世辞にも良いとは言えない。とりあえず画面分割、ポップアップウィンドウ表示、グローバルタスクバーといった機能は備えており、一通り現行世代の折りたたみスマホに求められる機能は備える。どちらかといえば、Galaxy FoldよりもPixel Fold系に近い操作性だ。

一方で、GalaxyやOPPOなどの先行する大手勢が得意とする三つのアプリを並べて起動するようなことはできない。ここは価格差と割り切るのが適切だと思う。

メインカメラ、超広角カメラを重視したnubia Fold
nubia Foldはカメラ性能も強化しているものの、ここは他社製品に引けを取る部分でもある。メインカメラは5000万画素 。1/1.56型センサーを採用し、フラグシップ級の性能を備える。この他には5000万画素の超広角、500万画素のマクロカメラを含めた3眼カメラだ。
ソフトウェアの最適化、プロセッサのISP性能が向上した関係もあってか、フラグシップ級の高いカメラ性能を備えることをアピールした

以下nubia Foldでの作例となる。基本的にオートで全て撮影している。









ここまではメインカメラでの作例。メインカメラは折りたたみスマホという制約がありながらも、彩度やディティール処理がやや強めのチューニング。同社のZシリーズ系のスマホと同じく、簡単に映える写真が撮れることが特徴。


超広角はダイナミックに情景を切り取れるが、換算画角は17mmとやや狭い印象。シチュエーションに応じて標準カメラから自動的に切り替わる。シーン検出によって推奨してくる場面もある。

正直、今期の横折りタイプのスマートフォンの中では、カメラは引けを取る構成なのは否めない。コスト的な制約の中で、フラグシップ級の体験を可能な限りまとめたと評価したい
GalaxyやPixelより10万円も安いが、できることの差はそこまで大きくない。普通のスマホに飽きた人向けのコスパ高いスマホ
nubia Foldを1ヶ月間使ってきたが、筆者的には、中華折りたたみスマホらしいコストパフォーマンス重視のスマホだと考える。
カメラ性能やUI/UXの完成度で引けを取るとはいえ、Snapdragon 8 Eliteプロセッサ、大容量バッテリー、8型クラスの大画面という王道要素をしっかり押さえている。加えてIP54の防水、防塵に対応しているため、普段使いには問題ないレベルに仕上げた。キャリア向けスマホらしくFeliCa対応、eSIM対応もうれしい。
ワイモバイル専売で販売されるため、ある程度の期間はOSアップデート、セキュリティアップデートも提供されるものと思われる。故障時のサポート面も比較的安心だ。
nubia Foldは初心者にはおすすめしないものの、手軽に「中華フォルダブル」を体験できる1台だ。かつての、Galaxy Foldよりも画面が大きく、カメラ性能が良く、バッテリー容量が大きくて充電速度が早い。そして何よりも安いといった要素をしっかり兼ね備えるスマホだ。
今でこそGalaxy FoldやPixel Foldもこれらの要素を強化しているが、その分価格は26万円台と高価になっている。
nubia Foldはワイモバイルチャネル専売で価格は17万8560円の設定。回線契約並びに機種変更なら割引も入って15万6960円で購入できる。世界的に見ても17万円台でこの性能のスマホを購入できる例はなく、TECNOと並び最安クラスといっても過言ではない。
加えて機種購入時は最大4万5000円分のPayPayポイント進呈や専用ケースの付与といった特典も用意される。その場合は実質11万円ほどで購入できるなど、価格の安さは際立っている。
nubia Foldで引けを取るのはブランド力、アップデート期間、カメラ性能、ソフトウェアの完成度、本体の重量や防水性能といったところ。それら要素を踏まえて使ってみても、競合機種に対して10万円に迫る価格差は、引けを取るマイナス要素を帳消しにするくらいの魅力だ。

さて、nubia FoldはZTEがnubiaブランドで初投入した横折りのスマートフォンだが、初めての割には「フラグシップ級の性能」「大画面の動画視聴」「アプリの複数起動」「日本での使いやすさ」をしっかり網羅してきた。
後発ゆえにしっかり揃えてきて、価格は17万円台は正直強すぎる。日本には初投入の「中華フォルダブル」だが、その真髄を感じられるデバイスだと思う。ぜひ、実際に店頭で手に触れて、体験して欲しい。




