こんにちは、スマホオタクのはやぽんです。今回は Nothing 初のオーバーイヤーヘッドホン「Headphone (1)」 をひょんなことから入手できる機会に恵まれた。
Nothingといえばスマホのイメージだが、オーディオではワイヤレスイヤホンで「透明デザイン」「遊び心あるUI」でガジェット好きの心を掴んできた。そんな彼らがついにヘッドホンに挑戦!ということで、発表時からかなり話題になっていた製品だ。
では、実際の使い心地はどうなのか?音は?ノイキャンは?見た目だけじゃないの?……と気になる点を、実際に使ってみた視点で書いていきます。
透明デザインとレトロ感で唯一無二の存在感を持つNothing Headphone(1)
Nothing Headphone (1) は、ブランドのシグネチャーでもある透明パーツをふんだんに使ったデザインを採用。このデザインはNothingらしく、まずは「見た目が全部持っていく」ということを痛感する。
イヤーカップはアルミニウム製で高級感を備えつつ、ハウジングはスケルトンの構成。どこかカセットテープや古い電子機器を思い出させるレトロ感が漂っている。
装着して外を歩くと、間違いなく「それ何?」と聞かれるやつの部類。スマートフォンと違い、常に露出するヘッドホンは実際に街中で使ったときも、通りすがりの人からチラッと視線を感じるほど。首にかけていてもファッションアイテムとして圧倒的な存在感をしめしている。



ヘッドバンド部はアルミニウム+プラスチックで構成されていて質感は悪くないものの、側圧はやや強めの印象。本体重量は 329g と少々重めの部類であり、軽快に使うというよりは「がっちり音楽を楽しむ」方向のヘッドホンだ。
タッチ操作ではなく物理ボタン&ローラーで直感的な操作が可能。
多くの最新ヘッドホンはタッチ式のコントロールを採用しているが、Nothing Headphone (1) は 物理ボタン+ローラー式の音量調整 を採用。タッチ式の操作インターフェイスは一切採用していない。


電源は見た目でオンオフがわかるスイッチ式。早送りやスキップはトグルレバー、音量調整は回転式のローラー、アシスタントの呼び出しやヘッドホンのモード切り替えもボタンで行う。
これが思った以上に快適なのだ!
例えば「音量をちょっと上げたい」とき、ローラーをコロコロっと回すだけ。タッチ式の誤操作がなく、ボタン類にはカチッとしたフィードバックがあるので安心感が段違い。
さらに、専用ボタンで AIアシスタント(ChatGPTやGoogleアシスタントなど) を呼び出せる仕組みも搭載。Nothing Phone(3)シリーズでは、Essential Spaceとの連携も可能。Nothing Nothing Xアプリと組み合わせると、操作のカスタマイズもでき、ちょっとした操作がかなり便利になる。
装着感も比較的良好。イヤーパッドは深めで柔らかく、耳全体を包み込むような形。適度な弾力もあり、肌触りも良好だ。一方でヘッドバンドの側圧はやや強めで、乗せるよりは明確に挟み込む印象がある。
ヘッドバンドのトップ部分のクッションが薄めで、長時間使うと頭頂部に重みを感じることがあった。このあたりは人によって好みが分かれる部分。前述した通り、重量は329gと軽量ではないため、軽い装着感を重視する方には「ちょっと重いな」と感じることだろう。装着感は家電量販店等でチェックしてほしい。


KEFチューニングでNothing史上最高音質を実現!アプリでカスタマイズも可能
Nothing Headphone(1)のサウンド面は、英国の高級オーディオメーカー「KEF」がチューニングに関わっているとの触れ込み。40mm径カスタムダイナミックドライバーを搭載し、20Hz〜40kHzとハイレゾ認定のスペックも確保。解像感を重視した音づくりとしている。
ワイヤレスコーデックはSBC、AACに加え、LDACにも対応。さらに有線でも使えて、3.5mmジャックとUSB-Cオーディオどちらもサポートしているのは便利ポイント。

今回はXperia 1 VIIを用いて有線、ワイヤレス(LDAC環境)共に実際に何曲か聴いてみた。正直、Nothingというブランドとは思えない高いサウンドクオリティを実現している。価格も300ドルクラスなのである程度のサウンドクオリティでないと困るが、この辺りの最低ラインはしっかりクリアしているように思う。
バラードでチョイスした”なんでもないや(RADWIMPS)では、窮屈さもなく、温かみのある豊かな表現力を感じられる。ワイヤレスでは少々柔らかいテイストのサウンドではあるものの、解像感はしっかり確保されている。
ダンスナンバーでチョイスしたJast woo!!(平安名すみれ/CV.ペイトン尚未)では軽快なビートを刻みつつ、伸びのあるボーカルを楽しめる。過去に聞いたNothingのイヤホンとは一線を画すクオリティであり、同社が新たに目指すサウンドだと実感した。
ワイヤレスではLDAC接続で高域の抜けの良さが変わるので、可能であればLDACでの使用を推奨。基本的にはiPhoneよりもAndroidスマートフォンでの使用が理想的となる。

本機種は有線ケーブルでも利用可能。ワイヤレスに比べて音質面で優位なことに加え、バッテリーが切れた時は付属のUSBケーブルを用いて有線のヘッドホンとしても利用できる。解像感を求めるなら有線接続をおすすめする。

アプリからは空間オーディオの設定、各種イコライザー設定も可能。空間オーディオはヘッドホン独自のものを採用しており、ヘッドトラッキングにも対応。リアリティのある空気感を体験できる。


ノイズキャンセリング性能も優秀!日常使いなら十分
Nothing Headphone (1) には アダプティブANC が搭載されている。電車やカフェで試してみると、低音の抑制はしっかり効いており、エアコンや電車の走行音はかなり軽減できている。
一方で、人の声やアナウンスなどの高音域はやや通り抜けてくる印象であり、ソニーのWH-1000XMシリーズやBose QuietComfort Ultra Headphonesのようなトップクラスと比べると劣る部分。
ただし「音楽を聴きながら集中したい」「移動中の雑音を減らしたい」というレベルなら十分に使える。4万円クラスとしては十分な性能は備えている。
一方で、風切り抑制が苦手なのか、風が強い環境ではANCが揺らぐ(塞ぎ込んだ感覚になったり、片側だけ妙に効く)感覚もあった。屋外使用が多い人は注意かも。

奇抜な見た目でも最大80時間のロングライフ。急速充電も装備
スペック面では、Nothingらしく堅実にまとめてきた。バッテリー持ちは公称値でANCオンで約35時間 、ANCオフでも約80時間 と備えており、長距離フライトでも余裕のスタミナを有している。
一般にノイズキャンセリングヘッドホンの電池持ちは航空機の長距離国際線を基準に設定しており、15時間前後あれば理想的。Nothing headphone(1)はノイキャン使用時でも30時間以上持つため、東京→ニューヨークなどの長距離フライトにもしっかり耐えられるのだ。
充電周りはUSB-Cによる急速充電に対応。5分の充電で2.4時間使えるとしており、バッテリーが切れても小休止の間にしっかり充電できる安心感も備える。
ヘッドホンはマルチポイント接続、Google Fast Pairに対応。AndroidスマホならGoogleアカウントに紐付いて簡単に接続できる。スマホとPCを同時接続して、シームレスに切り替えも可能だ。
防水性能はIP52対応。ちょっとした雨や汗をかいた場面でも安心して使える仕様。このあたりは実用性が非常に高く、「デザインだけのヘッドホンじゃない」と言える部分となる。
日本向けは3万9800円と他国よりお得!「音とデザイン」双方に妥協したくない方におすすめのヘッドホン
Nothing headphone(1)の価格は税込3万9800円。スマホメーカーの展開するヘッドホンとしては決して安くはないものの、実は海外よりもかなり安価な設定としてきた。
先行したグローバル向け価格は299ドル(約4万4200円)英国では299ポンド(5万9700円)とかなり高価。これを踏まえると日本向けはかなりお得なのだ。
この価格設定は競合するソニーやBOSEの製品より安く、Apple AirPods Maxよりも手が届きやすい設定。デザイン、機能、音質でもちょうどいい立ち位置になりそうだ。特に他社にはないデザインと実用性の両立を考えれば、この価格ならコストパフォーマンスはかなり高めな製品と評価したい。
Nothing Headphone (1) は、人と違うヘッドホンを持ちたい方におすすめだ。ひと目見て「なんだこれ」と思われる特徴的なデザインであり、テック好きなユーザーには「Nothingじゃないか」とひと目でわかる。ファッションアイテムやアイコンアイテムとしても一役買ってくれる。
もちろん、高音質なヘッドホンを求めてる人にもおすすめ。基本性能も高く、操作性も抜群に良い。アプリからイコライザーで遊ぶ余地があるのも面白い。 最長80時間も持続するバッテリー持ちにマルチポイント接続で仕事・趣味どちらにも対応できる。
逆に「最強のノイキャンが欲しい」「長時間でも軽さを重視」という人は、ソニーやBOSEのハイエンドヘッドホンを検討した方が良さそうだ。

Nothing Headphone (1) は、デザインに惹かれて手に取り、イコライザーと付き合いながら自分好みに仕上げていく、そんな“ガジェット感”を楽しめるヘッドホンだと感じた。
シンプルに「いい音を楽しみたい」というよりも、特徴的なデザインや操作感から「ガジェット好き・遊び心を大事にする人」にハマるモデルだと実感させられた。
そして価格は他国よりも安い3万9800円!こうなれば、間違いなく「買って損なし!」と言えるヘッドホンだ。
