10BA構成のフラグシップBAイヤホンは、ここまで“分かりやすく音が良い”と感じられるのか?今回、KIWI Earsのニューモデル「Orchestra II」を試聴して、まずそんな疑問が頭に浮んだ。
高評価を得ている前作Orchestraの系譜を継ぐ本機は、解像感の高い中高域と量感のある低域、そして広いサウンドステージを特徴とするモデル。実際に聴いてみると、情報量の多さを感じさせながらも音が散らからず、フラグシップらしい完成度の高さが印象的だった。
今回は、KIWI Earsのニューモデル「Orchestra II」を提供いただいたのでレビューしたい。約5万円クラスのBAイヤホンとして、チューニングの方向性を中心に確認していきましょう。
KIWI Earsのフラグシップ、Orchestra IIは10BA搭載のイヤホン
中国のオーディオブランドKIWI Earsは、これまでにもコストパフォーマンスに優れた意欲作を数多く世に送り出してきた。今回レビューするOrchestra IIは、同社フラグシップ「Orchestra」の後継モデルにあたり、価格は約350ドル(日本円で5万円前後)。

筐体はカスタムIEMを思わせる設計で、アウターにアクリル製シェル、内部にはレジンを充填。高い遮音性と共振の抑制を両立している。透明感の高いクリアシェルは内部構造をしっかり確認でき、所有感も満たされる。
ドライバー構成は片耳10基のBA(バランスド・アーマチュア)ドライバーを採用。低域には大型BAユニットを配置し、4Wayクロスオーバーとカスタマイズされたドライバー構成によって、情報量の多いクリアなサウンドを狙った設計だ。





接続端子は2Pin規格。付属ケーブルはSP-OCC単結晶銅に銀メッキを施した高品質仕様で、柔らかく取り回しも良好。プラグは3.5mm/4.4mmが選択可能で、バランス接続環境でも利用できる。
イヤーピースもサイズ・種類ともに豊富で、イヤモニスタイルらしくフィット感と遮音性は非常に高いレベル。装着時は耳から出っ張るものの、見た目の大きさ以上に安定感はある。


解像感のある中高域と、量感を伴う低域「分かりやすい」万能チューニング
Orchestra IIは10BA構成ということもあり、ある程度再生環境を整えた中級者以上向けのイヤホンと言えます。今回はFiio Q7を使用し、4.4mmバランス接続で試聴した。使用楽曲は以下の通り。
「CIRCE」 /SennaRin&澤野弘之
「Dye the sky.」 / シャイニーカラーズ
「Stay」 / 天王寺璃奈
「スロウリグレット」 / 田所あずさ

第一印象として強く感じたのは、10BAならではの圧倒的な解像感と低域のアタック感。サウンドステージは横だけでなく奥行き方向にも広がりがあり、価格帯に期待されるクオリティはしっかり満たしている。低域は量感を適度に持たせつつ、BAらしいレスポンスの良さが際立つ鳴り方。大型の低域用BAユニットを採用した効果は明確で、タイトさと厚みを両立しているようだ。
中高域の描写力と情報量が印象的。10BA構成という“数の暴力”が生む分離感は圧巻で、そのような意味でも分かりやすいチューニングだ。「CIRCE」では、ボーカルの息遣いやニュアンスまでしっかり伝わってくる。生々しいボーカルと裏腹に弾むようなビートもしっかり量感を感じられる。
特にサ行の抜けが良く、それでいて刺さりにくい。フラグシップらしい上質さを感じるポイント。「Stay」のような電子音が多用される楽曲でも、音の輪郭がぼやけず、キレのある描写を維持。多くのドライバーユニットを搭載した機種にありがちな、情報過多による不自然さもなく、チューニングはかなり作り込まれている。
スイートスポットが広い万人受けの良いチューニング。より良い音で鳴らすには周囲の環境も整えたくなるイヤホン
KIWI Ears Orchestra IIは、ある意味で非常に分かりやすいチューニングのイヤホンと感じた。高解像、広いサウンドステージ、量感ある低域。どれも明確な個性として
一方で、情報量の多さゆえにリスナーによっては「少し疲れやすい」と感じる可能性もあるでしょう。その欠点と引き換えに得られるのが、この開放感と称せる見晴らしの良さ、解像感の高さからくる生々しい表現だと感じた。
音楽とじっくり向き合う。そんなリスニングスタイルを好む人にこそ、Orchestra IIは真価を発揮する。

Orchestra IIのチューニングはスイートスポットが広く、多くの方に満足できる仕上がりと感じた。特に音の広がりや細部の描写に価値を見出すタイプのリスナーにとっては、狙い目の選択肢になり得るはずだ。
一方で10BAという構成もあってか、ある程度余裕のあるアンプがあるとよいだろう。スマホのイヤホンジャックでは力不足で実力を発揮してくれないように感じた。このクラスのイヤホンを検討される方はDAPや外付けのDACなどを所有、検討しているかと思われるが、これらの環境の変化にもしっかり応えてくれるポテンシャルは持ち合わせている。
定価は約5万円前後と安くはないものの、内容を考えれば価格相応、むしろ刺さる人には価格以上の体験を提供してくれる一本。解像感の高い「分かりやすいフラグシップBA機」を探しているなら、ぜひ一度聴いてほしい。そんなイヤホンだった。
提供:Linsoul JP



