AppleがiPhone 14以降で進めてきた「eSIM化」。最新のiPhone 17シリーズでは、日本向けもついに物理SIMスロットが廃止され、eSIMのみの仕様となった。
日本国内では大手キャリアを中心にeSIM対応が進められているが、海外利用となると少し工夫が必要になってくる。今回は筆者が実際に海外で試した方法を紹介しよう。

オススメはahamoなどの国内キャリアの国際ローミングを活用
もっとも手軽かつ、オススメな方法は日本の通信キャリアが展開する国際ローミングサービスを用いて、日本のSIMをそのまま海外へ持って行く方法となる。最近の筆者はこの方法をメインに利用している。
一般に使いやすいのはドコモのオンラインプランである「ahamo」と「楽天モバイル」だ。これらは月額料金に海外ローミングが含まれており、追加料金なし(または定額)で現地の電波を利用できる。
例えばahamoは月30GBまで世界91の国・地域で追加料金なし。楽天モバイルは月2GBまでは無料で利用できる。1週間程度の滞在や10GB以上使う場合はahamo、2泊3日程度なら楽天モバイルの2GBでも十分だ。

また、契約内容などでお得に使える例もある。ソフトバンクは「世界対応定額」などのローミングプランを展開しているが、ペイトク無制限を契約中のユーザーには無償で最大12GBまで利用できるクーポンを配布している。
柔軟にプランを組み立てられるpovo2.0は海外ローミングのデータトッピングが可能。地域によって異なるが、1回(データ1GB、3日間)あたり680円から利用可能。渡航日が短期間なら現地SIM並みのコストで利用でき、コストを抑えやすいでしょう。

実際に筆者はスペイン バルセロナ(MWC取材)でahamoを利用。現地到着直後から即座に電波を掴み、余裕のデータ量で取材やSNS更新もストレスなくこなせた。
国内キャリアの国際ローミングなので、ahamoをはじめ、期間の上限設定がある。一般に2週間を超える旅行や出張には不向きだが、その期間内の滞在なら「出発前の設定不要」「到着後すぐネット接続」「トラブル対応が日本語で可能」という安心感は大きなメリットだ。
現地キャリアのeSIMを購入して使うのもアリだが注意点も
2週間以上の長期滞在や通信データ量が多い場合は現地SIMのeSIM版を購入する方法が割安になることもある。一方で注意点もある。
まず、eSIMの対応状況は国や地域で差が大きい。欧州主要国・北米・東南アジアなどのeSIMサービスを展開している地域なら対応が進んでいるものの、中東や一部アジア、アフリカ地域などでは未対応の国もある。どこに行っても何とかなるわけではないのだ。
その場合は物理SIM前提のプランしかなく、eSIM専用のiPhoneでは開通が不可能になる場合もある。また、対応地域でもeSIMになるとプランが限られたり、特定のキャリアでは利用できなかったりする。現地で選ぶ選択肢も物理SIMと比較して少ないこと、第三国キャリアの国際ローミングで高額なプランの契約が必要になることが現状だ。
様々な理由でeSIMサービスがほとんど普及していない中国本土だが、China Unicomが外国人向けにeSIMサービスを展開している。こちらは「チョコSIM」として日本向けにもサービスをしており、日本での契約も可能。手軽に中国本土の電話番号を持てることから、マニアを中心に人気がある。

旅行サイトやチケット予約サイトのeSIMを活用するのもアリ
短期旅行なら旅行サイト、チケット予約サイトなどが展開するeSIMも便利。Trip.com やKlook、Airalo、Nomadなどの旅行系サイトやアプリで事前購入すると、現地到着後すぐに利用できる。
これらのサイトには会員特典やキャンペーンがある場合もあり、空港で並ぶ必要がないのが魅力。複数国を周遊する場合は、1枚のeSIMで複数国対応のプランを選べば再度契約も不要。
筆者は香港、中国を移動する際にTrip.comのグローバルeSIMを利用。香港の電話番号が付与され、空港のフリーWi-Fiで有効化できた。中国本土に向かう際もSIM交換なしで通信でき、非常に快適だった。


現地でeSIMを契約時の注意点。回線の開通にはWi-Fi通信が必須、操作ミスなどの再発行には注意
eSIMの開通はオンライン認証が必要であり、基本的にWi-Fi接続が必須となる。このため、契約する通信キャリアのWi-Fi(eSIM契約ができる場合は必ずあるはず)を使うことになる。
オンライン契約等で開通用のQRコードだけ送付された場合は空港ロビー、ホテルやカフェのフリーWi-Fiを利用して手続きする必要がある。近年は多くの公共施設に無料で使える公衆Wi-Fiを備えている国や地域が多い。この辺りは事前にチェックしておくと良さそうだ。
また、利用中の端末の故障。操作や設定ミス、システムトラブルなどを理由に、再度アクティベーションが必要になった際に手数料などが別途かかる場合がある。この点は滞在先でもショップ対応してくれるキャリアのものを選ぶことが確実だ。
日本でもahamoのeSIM開通がシステム障害でうまくいかず、復旧させるためにドコモショップ対応になってしまう例が出ている。この場合は4950円の手数料が発生してしまう。
eSIMのiPhoneを持っての海外旅行は「準備」がカギ
eSIM専用となったiPhone 17シリーズを海外で使う場合は、国内キャリアの国際ローミングを軸に、必要に応じて現地のeSIMや旅行サイトeSIMを併用するのが最適解と感じた。
特に国際ローミングは現地での面倒な手続きが不要であり、空港到着後から即利用できる。筆者としてもおすすめの方法だ。もしも、現地でeSIM契約するのであれば、出発前にeSIMの利用できる通信キャリア、端末でのeSIM追加手順を確認しておこう。
オンライン購入したeSIMなどは、アクティベートのために現地到着後すぐ使えるWi-Fiスポット(空港・カフェなど)を把握しておくとスムーズだ。
iPhoneがeSIMになった事で物理SIMの差し替え、APN情報の入力が不要というメリットがある一方、「現地がeSIM非対応」「アクティベーションにWi-Fiが必要」という制約も出てくる。eSIMは「次世代のSIM」とは言われてはいるものの、必ずしもメリットばかりではないのだ。

最新のiPhoneを海外で快適に使うには、国内キャリアのローミングプランをうまく使うこと。現地での契約は事前の情報収集がこれまで以上に重要になったと言えるだろう。