VRChatがAndroidスマホだけでなく、iPhone(iOS)にも正式対応したことで、スマートフォンで気軽にVRChatを触れるようになった。実際に遊んでみると「ちょっと惜しい」と思う点がいくつか見えてくる。特にiPhone単体だと画面が小さく、手軽さと没入感のバランスが難しい。
そんな時に試してみたのが、ARグラス「XREAL One」というもの。これが思いのほか相性抜群で、まるでポータブルなVR体験装置のように快適だったのでレポートしたい。
iPhone版VRChatは「手軽だけど画面が小さい」
VRChatといえばPCVRやMeta QuestなどのスタンドアローンVRの本格的なアバター体験が主流だが、iPhone版アプリの登場により、本格的に誰でもログインしてワールドを散策できるようになった。
ただしスマホでプレイするとなると、ディスプレイが小さいため視界の情報量がどうしても限られてしまう。UIのボタンも小さく、指で操作すると視界が遮られるのも悩みどころ。

どうせなら「もっと広い画面で、でも気軽にプレイしたい」そこで目をつけたのが、iPhone対応のARグラス「XREAL One」だった。
XREAL One接続してみたら、まるでポータブルVR
XREAL OneはUSB Type-C経由で映像を出力するARグラス。iPhoneの場合はLightningモデルを除き、USB-C対応のiPhone 15 Pro以降の「Pro」がつく機種ならそのまま接続できる。
グラスの中に130型相当の仮想スクリーンが現れ、VRChatのワールドを“巨大ディスプレイ”のように眺められる。
もちろん、通常のゴーグルのように3DoFはアプリ内で認識しないものの、大画面で表示できるだけで、通常のスマホ画面では見落としがちなアバターの細かい動きや背景のライティングまで確認でき、没入感は段違い。
画面位置を固定して頭の動きに追従させることもできるため、「座って仮想空間を覗く」ような感覚で楽しめる。PCのデスクトップモードを出力したようなものだが、これがポケットに入るスマホでできてしまうのは嬉しい誤算だ。

VRヘッドセットとは異なり、XREALはメガネのように軽量(約72g)で、長時間でも疲れにくい。ケーブルに繋いだiPhone本体を手に持つかテーブルに置くだけなので、かつてのモバイルVRのような端末の発熱も顔に伝わらない。
VRChatでワールドを散歩したり、ボイスチャットで会話する程度なら負荷も軽く、バッテリー持ちも良好。まさに「ちょっとログインして話す」スタイルに最適な環境だと感じた。
そして、ARグラスのもう一つの魅力は、完全に視界を遮断しないこと。たとえばカフェでイヤホンをつけ、XREAL越しにVRChatのフレンドと話す。同じ空間に入る。そんな使い方もできる。
画面の透過度を調整すれば、現実とバーチャルを同時に体験でき、いわば“メタバース越しのビデオ通話”のような感覚だ。
難点はiPhoneの電池持ち。外部給電できるアイテムや端末だとより快適に
このやり方は手軽かつ、ゴーグルが軽くて熱くならない点は嬉しい。一方で、XREALが外部給電前提のゴーグルのため、母艦となるiPhoneの電池をもりもり使ってしまう点は難点。iPhone 17 Proでせいぜい2時間が限界だったので、長時間プレイは電源供給可能なUSBハブがあるとよさそうだ。
Android端末にはUSB端子をふたつ備えるROG PhoneやXiaomi Pad Miniといった端末も存在する。これらと組み合わせるのも相性が良い。

正直、出先でVR Chatを楽しむならPCとVRヘッドセットを持ち出す必要があった。それがMeta QuestシリーズといったスタンドアローンVRゴーグルで緩和されたといえ、カバンに入れることはできなかった。
それが今や、iPhoneとXREALだけで完結してしまう。改めて技術の進歩には感心させられるものがある。

iPhone×XREALはモバイルメタバースの理想形に組み合わせかもしれない
VRChatをiPhoneで楽しむ上で、XREALは「操作性」「没入感」「携帯性」を見事に両立するデバイスだった。
まだiOS向けにはワールド、アバター共に正式対応してるものは少ないものの、会話によるコミュニケーションを主とした簡易VR環境として十分に実用レベルと感じた。
出先でフレンドと会話したり、ベッドでゴロゴロしながらワールドを覗いたりする。そんな“日常に溶け込むメタバース体験”が実現する。
iPhone版VRChatに物足りなさを感じている人こそ、XREALのようなARグラスを試してみてほしい。軽くてどこでも使えて、会話目的なら思わず「これで十分じゃん」と言いたくなるほど快適だった。


