Galaxy Z TriFold レビュー 1週間使って分かった「三つ折りを手放せなくなった」理由

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 展開時に10型ディスプレイを備える三つ折りスマートフォン「Galaxy Z TriFold」が、12月12日に韓国で発売された。
 本機種はサムスン初の三つ折りスマホということもあり、世界的に高い注目を集める1台だ。今回、筆者は韓国で実機を入手することができたため、1週間じっくり使った上でレビューをお届けしたい。

目次

展開したら300gクラスの10型タブレット!Galaxy Z TriFoldのサイズ感をチェック

 まずはサイズと重量から確認していこう。Galaxy Z TriFoldは、閉じた状態では約6.5型のディスプレイを備える。厚さは12.9mmで、従来の折りたたみモデルであるGalaxy Z Fold5と近い仕上がりだ。

 展開するとディスプレイサイズは10型に達する。この際の最薄部は3.9mmで、Galaxy Z Fold7の4.2mmよりもさらに薄い。三つ折り構造でありながら、薄さにおいては現行フォルダブルの最前線に立つ。

 重量は309g。競合するファーウェイの三つ折り端末「Mate XT」と比べると約10g重たい。日常的な感覚としては、iPhone 17 Pro Max(約233g)に手帳型ケース(70g前後)を装着した際の重量感が最も近いだろう。

 閉じた状態ではGalaxy Z Fold7とほぼ同等のサイズ感だが、手に取ると300g級ならではのずっしりとした密度感がある。一方で、展開して使うと印象は一変する。10型サイズのタブレットとしては非常に軽く、一般的な同クラスのタブレットより100g以上軽量だ。このギャップには素直に驚かされた。

閉じて6.5型
展開時は10型のディスプレイが見える
Galaxy Z TriFoldを閉じた厚さはGalaxy Z Fold6とほぼ同じ
閉じた状態ではずっしりとくる

ファーウェイとは異なる折りたたみ方。日常利用ではGalaxyに軍配

 Galaxy Z TriFoldは、2つのヒンジをすべて内側に折りたたむ構造を採用している。閉じた際の形状はアルファベットの「G」のようになり、外折りを含む「Z」型構造のMate XTとは明確に異なる。

 一番上に当たる1枚目は一般的な折りたたみスマホと同様に開き、2枚目はその流れで同方向に展開する。ヒンジの動きは非常にスムーズで、初期の折りたたみ端末に感じられた怖さや不安はほぼない。実用品として十分な完成度だ。

ヒンジは2箇所。どちらも画面が内側になるように設計されている

 特に感心したのが、2枚目のディスプレイ構造だ。画面とフレームの間にわずかな隙間を設けることで、指をかけやすくなっており、爪を立てて無理に開く必要がない。画面保護と操作性を両立した、理にかなった設計と言える。

2枚目のディスプレイは少し浮き上がる

 この構造により折りたたみには明確な順序があり、誤った順で畳もうとすると警告表示とバイブレーションで通知される。画面が端末外周に露出しない点も含め、耐久性と精神的な安心感はファーウェイの方式より高いと感じる人も多いだろう。

 一方で、画面角度を保持するフレックスモードのような使い方はできない。あくまで「6.5型スマホ」と「10型タブレット」を切り替えて使う思想であり、折りたたんだ状態で新しい使い方を模索するファーウェイとは対照的だ。このあたりはサムスンらしい堅実路線と言える。

閉じる向きを間違えると警告が出る

三つ折りスマホを実用化させたソフトウェアと唯一無二のマルチタスク体験

 Galaxy Z TriFoldでは、最大3つのアプリを同時に起動できる。この機能自体はGalaxy Foldシリーズにも存在するが、本機の強みは「スマホサイズの横幅」で3分割できる点だ。

ブラウジング+X(旧Twitter)のタイムライン閲覧+Instagram動画再生

ゲームをプレイしながらDiscord通話+攻略サイト閲覧

ゲームで遊びながら動画視聴&情報収集

 例として上記のような使い方が快適に行える。2分割でも、大画面でYouTube配信とコメントを表示しつつ、SNSのハッシュタグを小窓で追うことも可能。ある意味“推し活”用途との相性は抜群だ。

ゲーム+動画視聴の使い方は便利に使える

 これらの動作は関心度も高いのか、SNSでも多くの反応をいただいた。

 さらに、本機は端末単体でデスクトップUI「Samsung DeX」を起動できる。最大5ウィンドウを同時表示でき、キーボードとマウスを接続すれば簡易PCとしても機能する。コンテンツ消費だけでなく、作業用デバイスとしても十分に成立する点は高く評価したい。

DeXも利用できるなど、タブレット端末としての要素も強い

Snapdragon 8 Elite for Galaxyのおかげで高いパフォーマンスを実現!バッテリーは使い方次第

 Galaxy Z TriFoldは基本性能も妥協はない。SoCにはSnapdragon 8 Elite for Galaxyを採用し、LPDDR5Xメモリ(16GB)とUFS 4.0ストレージを組み合わせるフラグシップ構成だ。複数アプリの同時使用を前提とした設計で、動作にストレスは一切感じない。
 カメラもGalaxy Z Fold7と同様の2億画素のメインカメラ、1200万画素の超広角カメラ、1000万画素の3眼構成。実用的なスペックを備える。

何枚か撮影したが、ハイエンド機らしく綺麗に撮れる

 バッテリー容量は5600mAh。画面が大きいこともあって消費電力は大きいものの、通常利用ではGalaxy Z Fold7に近い電池持ちで、不満はなかった。ただし、高負荷なゲームを3つ同時に動かすような極端な使い方では、実働約4時間程度となった。

三つ折りスマホは「ロマン」ではなく、いよいよ実用レベルの完成形へ。タイパ重視の若い世代は手放せなくなるスマホ

 さて、1週間ほどGalaxy Z TriFoldを使ってみて感じたのは、「1台でここまで大画面を活かせるスマホは他にない」という点だ。
 6.5型スマホと10型タブレットを1台にまとめただけでも衝撃的だが、それをシームレスに成立させるソフトウェアの完成度が非常に高いことに感心させられた。その一方で、Galaxy Z Fold7とは特性の異なる端末であり、上位互換になりえない部分も多い。上位互換ではないため、用途別に使い分けも可能なのが”にくい”ところだ。

 特に、スマホサイズで3アプリ同時表示できる体験は唯一無二だ。複数の動画配信を同時に追う、ゲームのデイリー消化を並行処理するなど、タイパ重視のコンテンツ消費においては現時点で最適解と言っていい。実際に筆者はもう三つ折りスマホのとりこになってしまい、手放すことのできない必須アイテムとなってしまった。

やろうと思えばゲームも複数動かせる

 価格は韓国向け512GBモデルで359万0400ウォン(約38万円)と、スマートフォンとしては決して安くはない。しかし、「ハイエンドスマホを3台分」「ハイエンドスマホ+タブレットを同時に買った」と考えれば、不思議と納得できる設定でもある。

 かつては「ロマンの塊」に思えた三つ折りスマホだが、Galaxy Z TriFoldはそれを実用デバイスの完成形へと押し上げた。多くのコンテンツを効率よく追いかけたい、タイパ重視の若い世代にこそ、ぜひ一度触れてほしい1台だ。

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