中国EV BYD SEAL 冬季レポート 冬の新潟で電費は何倍悪化?充電性能は大丈夫なのか

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 いよいよ筆者の住む雪国新潟でも雪が降りはじめ、本格的な冬が到来した。

 よく「冬場のEVは厳しい」と言われるが、実際のところどうなのだろうか。日頃からマイカーとしてBYD SEALに乗っている身として、実際に乗ってみて”どうなのか”を率直に書いてみたい。

 結論から言うと、冬場の電費は確かに悪化する。しかし、致命的というほどではなく、「問題なく普通に使える」というのが正直な印象だった。

新潟もいよいよ冬本番になってきた

目次

SEAL AWDの電費は夏場の1.3倍に悪化するものの、想定の範囲内

 まず気になる走行時の電費だが、冬は暖房の関係で確実に消費電力が増える。これはガソリン車でも燃料消費が早くなる点では同じだ。

 SEAL AWDの夏場の平均電費は実測値で16.4kWh/100km。これに対し、降雪があり気温が -1〜4℃の冬場は暖房とシートヒーターを使う環境では21.3kWh/100kmとなった。

 比率にすると消費電力は約1.29倍で、体感としても「結構減るな」という印象だ。特に暖房を入れた直後、ヒートシーターを入れた直後は減りが早い印象だった。

冬場は21.3kWh/100kmと夏場に比べて1.3倍も消費電力が増えている

 一般にガソリン車では、エンジンの暖気運転が増えること、ガソリンの気化不良などを理由に冬場に燃費が最大で3割ほど悪くなると言われている。

 それに比べると大きな差はない印象だが、航続距離が露骨に数字で出る以上、気にしてしまう部分ではある。

 実走でも最初の10kmほどは電力をドッと使うが、それを過ぎれば電力消費も抑えめになる。ある程度走ればバッテリーも温まってくるため、電費も夏場の高速道路走行時くらいの17kWh/100kmほどに落ち着いてくる。

 それでも夏より多めなのは変わらないが、通勤や街乗りの短距離移動メインだと消費電力が高めの状態が続き、電費が大きく落ちるように感じた。

 もちろん、消費電力が増えることは航続距離にも影響する。SEAL AWDでは夏場はほぼ公称値どおりの570km走れたのに対し、冬場は 一般道を465km走行で残量1%。実質470km程度といったところ。走行距離では概ね2割ほど少なくなっている。

 数字だけ見ると落差は大きいが、EVでは一般に冬場は公称値の8〜7割程度まで航続距離が落ちるという認識はあった。そのため、EVユーザーとしては「冬はこんなもの」という範囲に収まっている。

 もっとも、より電費を良くするためには暖房を切り、シートヒーターとハンドルヒーターをうまく使う。膝掛けを使うなどの工夫をすれば稼げる。ただ、SEALの場合はそこまでしなくても十分な走行距離を確保できていると感じた。

 それにしても温暖な中国 深セン生まれのEVながら、こんな寒冷地でも大きく性能が落ちることなく運用できる点は嬉しい。BYDも中国国内でも寒いハルビンや大連といった寒冷地でもテストをしており、その成果をしっかりと感じ取ることができた。

冬の急速充電はどう?プレコンのないSEALだと受け入れ性能が低下することも

 そして冬のEVで多くの人が不安に感じるのが充電性能だ。家庭での普通充電(3kW)であればなんの問題もなか充電できるのだが、不安となるのは出先の急速充電器を使った場合だ。

 SEALの場合、夏場は強力なバッテリー冷却システムを備えることで、熱ダレすることなく余裕を持って過ごすことができた。一方で。寒冷地などでバッテリーを温めるヒートアップ機能を備えないため、冬場は厳しいと思える場面だ。

 実例として、よく利用する50kW級急速充電器では、いつも実測44kW前後で受け入れてくれる。これが、気温が0℃を下回ると、実測値で32kW程度に低下した。

 これは低温環境下でリチウムイオン電池を保護することが主な理由。10分ほど充電してバッテリーが適度に加熱したら元に戻った。

気温が低いのか実測値は32kWまで落ちた

 急速充電時も周囲の気温が低いはいえ、出力が落ちるだけで「充電が止まる」「エラーになる」ということはなかった点は安心材料だ。

 BYD SEALには冷却系のコンディショニング機能はあるが、テスラのような充電前の事前冷却、加熱(プレコンディショニング)機能は備えていない。環境によっては、急速充電性能を存分に活かせない点は惜しい。

 実際、ある程度距離を走行した後、高速走行後に急速充電を行う分にはなんの問題もなかったが、充電待ちで待機した後や走行距離が短い場合はバッテリーが温まりきらずに、充電の受け入れを抑えることがあった。

 ここは冬の寒冷地だとやや不利に働く部分だと感じた。プレコンディショニング機能を持つ車両が少し羨ましくなるが、使い手の工夫次第でなんとかなりそうな印象だ。

SEALでは今のところ凍結して充電口が開かないなどの症状には出会していない

新潟の冬は厳しい。それでも今のEVなら「普通に乗れる」

 寒冷地でEVに乗ると、どうしても電費と充電性能は悪化する。立ち往生リスクなどを理由に「豪雪地帯でEVは絶対にダメ」なんて言われたこともあった。

 しかし、「EVで雪国は実用に耐えないレベルか?」と問われれば、その答えはNOだ。以下にまとめるようになんら問題なく利用できる。

・充電出力が落ちても実用範囲。10分ほどで回復

・航続距離は短くなるが、冬でも長距離も十分こなせる

・通勤や街乗りならまったく問題なし

 むしろ、静かで暖かいキャビンや発進時の安定感は、雪国ではガソリン車以上に快適な場面すらある。スノーモードも備えるAWDの足回りもパワフルで、ある程度の走破性も備える。

 万一の立ち往生時でも、積雪による排気系からの一酸化炭素中毒のリスクがないなど、安心と思える要素もある。

 確かに、これからの新潟の冬はキツい。それでも、現行のEVは「冬でも普通に使えるレベル」に到達していると確信した。

 昨今の車両には日本メーカーでもプレコンディショニング機能を備え、冬場でも安心して乗れる車両も登場している。これからEVを検討する方も、過去の常識にとらわれず、安心して検討してほしい。

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