電気自動車(EV)を自宅で充電できたら便利。EVオーナーに限らず、これから検討する方の中にもそう考える人は多いだろう。夜のうちに満充電にしておけば、朝にはいつでも出発できる。しかし、いざ設置しようとすると意外に費用がかかる。
「だったら自分で工事すれば安く済むのでは?」と考える人もいるかもしれないが、それは絶対にやってはいけない。EV充電器の設置は第二種電気工事士以上の資格を持つ人しか行ってはならない「電気工事」に該当するのだ。
EV充電器の設置には「電気工事士」の資格が必要
EV用のコンセントを新たに設置する場合、「電気配線器具の設置」に該当する。この作業を行うには、電線の結線や機器への接続などを伴うため、電気工事士法で定められた有資格者による工事が義務付けられている。
具体的には、第二種電気工事士以上の資格が必要であり、これを持たぬ者が作業を行うことは法律違反となる。罰金が課されるだけでなく、不適切な施工による感電や火災など重大な事故につながるリスクもある。


なぜ電気工事の「DIY」は危険なのか
そもそも電気工事を安易にDIYでやってはいけない理由は、単に「法律だから」だけではない。電気工事には、ほんのわずかな施工ミスが命取りになる要素が多いからだ。
例えば、ケーブルの被覆(ビニール等)を剥く際に内部の銅線を傷つけてしまったり、端子への圧着が甘かったりすると、発熱やショートの原因になる。配線に使うケーブルも使用用途や使用する電力量。さらには設置する環境に応じたものを選定しなければならない。
実際、わずかなミスという名の「施工不良」が機器の故障で済めばいいものの、最悪の場合は漏電等による第三者の感電事故、家屋の火災の原因になるケースも報告されている。
そのため電気工事士試験は、筆記試験に加えて実技試験が課される。ケーブルの処理や端子の締め付けといった細かい作業を確実にこなせるかどうかが問われるのだ。

EV充電器の工事はプロに依頼するのが結果的に安全で安い
近年ではYouTubeやSNSなどで「自分でコンセントや照明を取り付けてみた」といった動画を目にすることもあるが、これは有資格者以外が行うことは非常に危険な行為だ。
表面上は「線をつなぐだけ」「ケーブルを配線するだけ」と簡単そうに見えても、配線にはアース処理、防水加工も含まれる。このほかにも、電力の契約容量やブレーカー容量の確認、電力量や配線距離に伴うケーブルの選定など、専門的な判断と技術が求められる。
仮にDIYで取り付けたとしても、施工不備によるトラブルが起きた場合、充電器のメーカー保証や各種保険の対象外になる可能性が高い。そうなれば、修理費や損害賠償のほうがはるかに高くついてしまうだろう。
EV充電器の設置は補助金もうまく活用してプロに任せよう
一見すると簡単そうに見えるEV充電器の設置だが、実際は専門知識と技術が求められる危険な作業だ。資格を持たない人が工事を行えば法的な問題にもなりかねない。
もし自宅でEV充電を検討しているなら、まずは電気工事店をはじめEV充電器の施工ができる業者に相談すること。電気自動車の購入時にメーカーから工事費用の負担があったり、自治体によっては設置補助金が出るケースもあるため、結果的に費用を抑えられることも多い。
安全で快適なEVライフのためにも、DIYではなくプロの力を借りることがおすすめだ。


