電気自動車で遠出するとなれば、急速充電器の利用は必須になってくる。筆者もEVに乗り換えたわけだが、この急速充電器を利用するにあたって利用が会員カードの認証が必要だったり、各種サービスへの登録が煩雑だったりであまり使う気が起きなかった。
そんな面倒な事情を認識してなのか、普通充電サービス「EV充電エネチェンジ」を提供するミライズエネチェンジと、全国で急速充電インフラの整備・運営を行うe-Mobility Power(eMP)が共同で推進している「EVおでかけ推進プロジェクト2025」というものがある。今回筆者はこちらの登録要件を満たした状態だったので、利用してみての感想を残しておこう。

現在、実証実験を行うにあたり参加者を募集中だ
eMP充電器のビジター利用でも簡単に!EVおでかけ推進プロジェクト2025の実証実験に参加してみた
EVおでかけ推進プロジェクト2025という企画は、急速充電をあまり使っていない方でも、もっと気軽に安心して充電できる環境を整えることで、EVでのおでかけや遠出が活発になるかどうかを検証するプロジェクト(実証実験)としている。本プロジェクトは、下記3点をすべて満たす方を対象としているため、実証実験への参加資格を満たしているか確認してほしい。
・急速充電に対応しているEVまたはPHEVを所有している方
・現在、EV充電カード(eMPネットワーク)を契約していない方
・本プロジェクトに対するフィードバック(アンケート等)をいただける方
筆者はBYD SEALを利用しており、長距離移動も少ないことから充電カード類の契約はしていなかったので要件は満たしている。今回、新潟から大阪までのロングドライブを計画するにあたり、この実証実験に参加してみることにした。

本プロジェクトでは、急速充電をよりスムーズに利用するために、参加者専用の「かんたん登録」方式を取り入れた。eMPの急速充電器をビジター利用する場合は、通常、毎回クレジットカードの登録が必要となるが、本プロジェクトでは参加者向けページから事前に登録することで、実証実験の期間中は都度の手続きなしで対象の急速充電器を利用できる。料金は無料で、料金体系はビジター利用だ。
実際、会員でないビジター利用でeMPの急速充電器を利用するたびにクレジットカードの番号入力を求めれらていたので、ガソリンスタンドでの給油のようにスムーズにはいかなかった。
実際に使ってみると、非常に簡単な手順で利用できた。充電器を接続したのちにQRコードをeMPアプリで読み取り、読み取り後は該当する充電口を選択。選択後は”充電開始”の部分をスワイプするだけで簡単に充電を開始できた。慣れてしまえば、セルフのガソリンスタンドとほとんど変わらない手間や時間で充電開始までたどり着ける。

アプリから簡単に充電操作ができる。面倒な入力がないため、充電器を装着したらものの1分で充電開始できる

eMPの充電器は高速道路のSAや道の駅などに多く設置されている。今回の大阪へのドライブでは4回利用した
縛りなく急速充電できることが当たり前になってほしい。そう感じた実証実験
EVおでかけ推進プロジェクト。正直、筆者としては充電する際の煩雑さがなくなり、手軽に充電できることが「当たり前」になってほしいと感じた。eMPの充電器は設置個所は多くても、ビジター利用の煩雑すぎる利用登録や決済情報の入力が必要となれば、利用に際して面倒と感じる方も多い。実際に筆者も最初に使ったときはこの入力が「毎回必要」とは想像もしなかった。
もちろん、充電カードを契約したほうがより簡単かつ、お得に充電できる。eMPカードも月額4180円で急速充電器が割安で利用できるプランを提供しており、月に3回(90分)以上利用するとビジター料金よりもお得になる設定だ。急速充電器をメインで利用したり、出先での充電が多いユーザーは積極的に検討すべきプランではあるが、自宅に充電器を設置していて、遠出はほとんどない場合はビジター利用でも十分だ。
充電カードの契約は乗っている車種や利用状況によっては必ずしも必要はないと感じている。例えば航続距離のある車種なら、自宅でフル充電したら片道230~250kmは程度なら無充電で帰ってくることもできる。急速充電器をメインで使わないのなら、充電カードは必ずしも必須ではないのだ。
BYD SEALのような受け入れ能力の高い車種では必ずしも30分間充電する必要もない。充電器側の制御で50kWに落ちたタイミングでアプリから充電停止したり、トイレ休憩の10分だけ充電するという使い方もできる。eMPの150kW級充電器で15分ほどの充電が4~5回ならビジター利用のほうがお得なのだ。

100kWクラスで受け入れしてくれる車両なら、10~15分の充電でも実用的な走行距離を蓄えることができる
もっとも、公共性の高い急速充電器としてはテンフィールズファクトリー(株)が展開するFLASHは充電量に応じた課金、支払い方法もクレジットカード、QR決済としており、充電カードを使用するインフラとは異なる形態を採用している。今回の実証実験と同じようなことを先行して行っている。
カードの契約で料金が大きく変動したりすることもなく、ビジター利用という縛りもない。ある意味一般的なガソリンスタンドのような感覚で利用できる。普及台数の多いeMPの急速充電器もビジター利用しやすい環境が整えば、実証実験の趣旨にある「EVで遠出」もストレスなく利用できると感じた。改めて手軽にかつ、簡単に急速充電できる環境を整備してほしいところだ。
