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TANCHIJM FISSION レビュー 12種の音変に加えUSB端子も備える「沼直行」のイヤホン

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 比較的手に届く価格の有線イヤホンながら、まるで中・上位モデルのような音質と作り込み、サウンドのカスタマイズ性の高さで話題を集めているTANCHJIMの最新イヤホン「FISSION(フィッション)」。今回はその独自構造と音の変化、基本性能を交えてFISSIONの魅力に迫ってみたい。

目次

TANCHJIMのニューフェイスは「4U」の進化系な「音変イヤホン」

 TANCHJIM FISSIONの最大の特徴は、ノズルごと交換できるフィルター機構、同社の「4U」と同じくダイヤルによる物理的な音質調整機構を備える「音変」ができる構成だ。最大で12通りの音を選べるこの構成。ある意味で一度で12度おいしいイヤホンだ。

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イヤホンのシェルは同社の4Uやbunnyにも通づるコンパクトなデザイン

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ケーブルは2Pin仕様。コネクタは3.5mm、4.4mmバランスのほか、USB-C端子にも対応するマルチプラグ

 USB端子はDACを備えており、TANJICHMアプリからのDSPチューニングも可能。イヤホンジャックを備えないスマートフォンにはこちらがおすすめだ。

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USB−C端子で接続した際はDSPチューニングが可能。ゲームイコライザというゲームごとに音の設定変えて使うこともできる

 デザイン面では「4U」「bunny」と共通のサイズ感の筐体にゴールドを散りばめたTANCHJIMらしい工業美を備える。筐体はサンドブラスト加工されたアルミニウムボディを採用。フェイスプレートはサファイアガラスを採用し、メタル筐体と洗練されたスタイリッシュなコントラストを生み出します。

 FISSIONは10mm径のダイナミックドライバーを採用。TANCHJIM独自のDMT(Dual Magnetic Technology)構造を採用しており、その第5世代が採用されている。従来よりも磁気効率を高めつつ振動板の駆動力を確保したことで、よりワイドレンジに鳴らせるようになった。

  また、デュアルキャビティ設計を採用している。これはドライバー周辺に2つの音響キャビティ(音響空間)を配置し、内部の空気圧を調整することで、低域のレスポンスを向上させている。

 実際に音を聴いてみると、その解像度の高さと定位の明確さが伝わる。ボーカルの輪郭がくっきりと浮かび上がり、ギターやピアノの残響も非常に自然。特に中高域における空気感と広がりの美しさが際立ち、TANCHJIMらしい豊満なサウンドを楽しめる。

 標準の状態の低域は、過不足のない適度な量感で、全体として非常にバランスが良い。やや柔らかくウォームな質感を感じさせながらも、芯のあるタイトな鳴り方も併せ持ち、聴き心地は極めて良好だ。ただし、後述するノズルを変更しても、極度にチューニングが変わるわけではない。ドンと響く重低音や、迫力あるアタック感を前面に押し出すようなチューニングではない点は注意しておきたい。

 中音域からボーカルにかけては、素直で癖のない音色が特徴。音像は全体的に近く定位し、声の存在感が際立つ。中高域の抜けも良好で、TANCHJIMらしい上方向へ伸びるような空間表現が心地よい。特に女性ボーカルは艶やかで、しなやかな美しさを持ち、情感豊かに響いてくる。

 高域は音の線がやや細めで繊細だが、耳に刺さるような刺激はなく、優しく美しい音色を奏でてくれる。定位も明瞭で、空気感を伴って自然に上方向へ広がっていくため、控えめながらもしっかりとした存在感がある。鋭い印象こそないものの、聴き疲れしにくいナチュラルなサウンドが魅力だ。

 音場は左右および上方向にかけてしっかりと広がり、立体的な音の展開が楽しめる。中高域の抜けの良さと奥行き感が空間表現に貢献しており、クラシックからライブ音源まで幅広いジャンルに対応可能な柔軟さを持っている。

ノズル交換とダイヤル位置で音が変わる。選べる12通りのチューニング

 TANCHJIM FISSIONには、交換可能なノズル(サウンドフィルター)が3種類付属している。それぞれ「バランス」「温かみのある低域」「クリアな高域」に相当し、ノズルを取り替えることで音の傾向をガラリと変えることができる。

 本機種ではノズルごと“ねじ込み式”で交換できる構造を採用しており、特別な工具いらずで交換可能。ネジ山も精密に切られており、ステムがぐらつくこともない。

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ノズルはステンレス(デフォルト)に加え、黄銅、チタンを選べる

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サウンドフィルターはねじ込み式を採用

 加えて同社の4Uと同じダイヤル式の可変サウンドチューニングが可能。サウンドフィルターとの組み合わせで12通りのサウンドを楽しめる。

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チューニングはナチュラル、モニタリング、ポップ、アトモスフィアから選択できる

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本体には調整用のダイヤルを備える。ダイヤルを回すマイナスドライバーも付属する

 実際に試してみると、いい意味で「同じイヤホンか?」と思えるほどの変化がある。リスニング体験がとにかく楽しい曲や気分に合わせてチューニングを切り替えられるこの自由度は、まさにFISSIONの最大の武器だ。

 ステンレスフィルターはナチュラルバランスで、TANCHJIMらしい女性ボーカルが一歩前に出るような音を再生を楽しめる。すべての帯域がバランスよく鳴り、ジャンルを問わず万能な印象を持つ。

 チタンノズル(高域重視)では、抜けの良い音になる。アコースティックや女性ボーカルがよりきらびやかに。シンバルや弦楽器の高音域に輝きが出る反面、刺激が強くなる場面も感じられた。

 黄銅ノズル(低域重視)では、ベースが柔らかくなるような印象。ドラムやベースラインがより厚みを増し、包まれる感覚でポップスやEDM、ロックで迫力を求める人に最適。空間はやや近めになる。

音変イヤホン+スマホユーザーにも安心のUSB端子ケーブル。初めての有線イヤホンにもおすすめ

 TANCHJIM FISSIONは、130ドル(2万円前後)のイヤホンだが、単なる「音がいい」では終わらず、気分や音楽に合わせて「好みの音を選べる」という価値を提供してくれる。

 物理的なフィルターを変更したり、ダイヤルを回すというアナログ方式な「音変」要素は、サウンドチューンをする体験で所有感を満たしてくれる。

 またイヤホンジャックも一般的な3.5mmのほか、4.4mmバランス、USB-Cに先端を変えるだけで利用できる。スマートフォンからDAPを用いた高質リスニングを始め、今後のアップグレードにもしっかり応えてくれるイヤホンだ。

 そのような意味ではイヤホン沼に直行させるような製品。スマホからUSB DACを用いたバランス接続、リケーブル、フィルターチューニングといった最初期に試したいことを全て試せる機種だ。

 音の繊細さや定位感を求める人、ジャンルごとに音の傾向を変えたい人、あるいは1本で複数の表現を楽しみたい“音楽好き”にこそ、このFISSIONは強くおすすめできる。2万円という価格で12通りの音を楽しめるので、初めての有線イヤホンとして購入してもどれかひとつはお気に入りのサウンドが見つかるはずだ。

提供:HiFiGo

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