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【高いイヤホン買う前にまず読め】イヤホンスパイラルを体験談から簡単に説明。

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 みなさんは「イヤホンスパイラル」という言葉をご存知だろうか。

 ここではちょっと興味がある方はもちろん、もっと知りたいという方にもわかりやすく書いてこう。簡単に言えば「好みの音が見つかるまでイヤホンを買い続けること」なのだが、どうしてそうなるのかまとめてみよう。

目次

LV.1 まずは音楽に興味を持つ

 実のところ、このステップは多くの方が既に踏んでいる。ここでは、スマートフォンや携帯音楽プレーヤーを用いて、出先で音楽を聴くことが好きという状況だ。

 プレイヤーはスマートフォンが大半。イヤホンもスマートフォンの付属イヤホン(Apple EarPods)で満足という方はここ止まりな方も多いでしょう。

でも…もっといい音で聴きたいですよね?幸せになれるんですよ…良い音って。

LV.2 付属品以外のイヤホンを買ってしまう

 ようこそ。

 あなたは今付属品のイヤホンから卒業して、イヤホン沼への第1歩を踏み出しました。おめでとうございます!さて、付属品以外のイヤホンに変える理由として、大きい理由をを並べると以下のようになる。

・付属品のイヤホンでは耳に合わない

・イヤホンに利便性を求めたい

・イヤホンに遮音性が欲しい

・もっといい音で聴きたい

 だいたいこんな感じの理由になります。特にEarPodsなどのイヤホンが耳に合わない、遮音性や利便性を求めて別のを使う方も多いのです。現在のところ、利便性を求める機種はの多くは「Bluetoothイヤホン」にカテゴライズされる。記事執筆当時以上に、完全ワイヤレスイヤホンもかなり多く登場した。

 ここでのイヤホンは概ね3000円前後の予算であることが多く、基本的に「聴ければなんでもいい」という層が多い。最近では3000円前後でも音の良いイヤホンが出ており、以前に比べるととても良い時代へと変化した。

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安くていい音と言えば筆頭に上がるFinal E1000。学生さんのお財布事情にも優しいお値段でここまでの音が鳴るのはすごい

でも、もっといい音で聴きたいですよね?

LV.3 自分なりにこだわったイヤホンを買う

 ここまで来たらもう沼に膝下くらいまで浸かりましたね。お湯は温かいのです。イヤホンにかける予算は1万円前後まで上がることが多く、「音にこだわる」という明確な意思が垣間見えるようになる。量販店等で「自分の好きな音楽とプレイヤー」でイヤホンの試聴するようになるのもこのライン。明確な意思を持って買うイヤホンなだけあって、グッと愛着が湧くのだ。

 バランスド・アーマチュアやダイナミック型、PTZ、ESTなどに加え、リケーブル、ポタアンと言った専門的な言葉を耳にするようになるのもこの頃。多くのメーカーはこの価格帯が市場的にもアツくなっており、今は有線、ワイヤレス問わず1万円クラスと言えば多くのラインナップが存在する。

多くの方はここで「感動」を覚えます。

 付属品や低価格の製品とは明らかに違う、音が良いという感覚を知ることになる。これが、病みつきの怖い感覚なのは知る由もなく。

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E1000の上位モデルであるE3000。より上品な鳴らし方となり、音の響きの良さは価格帯を考えると特筆できる

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数多くのイヤホンオタクを生み出したShure SE215。10年以上のロングセラーなことに加え、リケーブルも可能な仕様。イヤホンスパイラルの発端になった方も多い

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5,000円前後で3Way 3BAという中華メーカーの価格破壊を見せつけたKZ AS06。価格を超えたスペックを持つだけあって、サウンドクオリティも価格比でかなり高い

ここならまだ戻れます。

戻るなら今ですよ。いやこれほんとに。ここから先の「お湯」は心地よく、本当に深いですよ…

LV.4 より上位の音を知ってしまう

 あの時…あの機種を聞いた瞬間。あなたの足元が一気に崩れて沼へと引き込まれる。膝上程度だった心地よさが一気に肩までくるのです。お風呂と同じで…肩まで浸かるお湯は温かいのだ。

 この辺まで来てしまった方は、恐らく量販店や友人の勧めでうっかりいいイヤホンを聴いてしまったのでしょう。家に帰って手持ちのイヤホンを聞いてもモヤモヤが残る。言語化の難しい「何か」という感覚が頭の中に常にいる状態に。

そう、あの時聴いてしまったあの音です。

 こうもなれば、モヤモヤを解決するために一区切りをつけようとするのが人の定め。イヤホンにかけられる予算がガツンと上がり、人によっては5万くらいは平気で出すようなことも。

 もちろん、ここに辿り着くまでに多くのイヤホンを調べたり、実際に聴いたりした結果、あらぬ知識や知見もついてしまいます。イヤホンのメーカー名はぽんぽん出てくるようになり、イヤホンも「アレ」とかではやく型番が脊椎反射のように出てくるのだ。

 「シュアのなんか…3つ入ってるやつ」「エンパイヤーなんとか」とは言わなくなる。「あぁ〜535ね。LTDかなそれ?」「EMPIRE EARS  Legend Xはいいよね〜」などと口にし出す。

 行き着く先には怖いことに「2BA 1DDのハイブリッドが2万切りとか安すぎでしょ!」とほざき始める。ちょっと前までイヤホンに1万円?高くね?と言っていた方でもこうなるのが沼の存在だ。

 この辺りまで来ると、ポタアンや高級プレイヤーにも興味が出てくるのは自然なこと。ネットの製品情報を見ようものなら、誘惑だらけ。初めて聴いたSE535やUE900sと言った上位モデル…これらの音は麻薬です。一度脳に刻まれてしまうと忘れてしまうことは難しいでしょう。

いいですか!高いイヤホンは麻薬ですよ。

中毒性がありますからね。聴く時は注意してください!

これが「第2の感動」というもの。これを知ってしまったら、もう沼の外へ戻ることは難しいでしょう。

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今でも再販が望まれるUltimate Ears UE10 Pro。末期では1万6000円で購入可能なこともあり、購入者の多くをリケーブル沼に叩き込んだ名機として名高いモデル。空気感のある広い音、マルチBA特有の情報量の多さといったステップアップにはぴったりなイヤホン。

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一時期ヒットを飛ばしたJVC HA-FX850。ウッドハウジングのダイナミック型でウォーム系のサウンドが特徴。リケーブルができることで人気となった。これで聴くクラシック音楽などは味が出て独特の趣がある。

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ボーカル特化のFinal Heaven VI。これで聴く女性ボーカルものはほんとに素晴らしい。そのため買っても良いレベル。

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試聴して一聴惚れしたTAGOSTUDIO T3-02。全く聴き疲れさせない滑らかな音が特徴。

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何年経っても色褪せない魅力を持つShure SE535 LTD。今でもファンが多いモデルのひとつで、ボーカルがかなり近いのが特徴。1万円クラスのイヤホンを聴いてた方がこれを聴くと、音楽が持っていた情報量の多さに驚くという。

残念ながら肩まで浸かってしまうと、人は自由に身動きをとれません。

 おやおや?隣にいる方が手を伸ばして”アップアップ”してますね。助けてあげましょうか。

LV.5 ここはイヤホン沼の底。求める音を探求し続ける

ようこそ。沼の底の世界へ

 イヤホンといえどここはオーディオの沼…深い、ふかーい沼ということを忘れてはいけない。ここから先は自らが求める音と運命的な出会いをするまでは、いつまでも泳ぎ、もがき続けることになる。ここまで来たあなたの手元には、複数のイヤホンが生えていることでしょう。それこそ数万円クラスのものをいくつも…なんてことも。

「エロい音がする」

曲で使い分ける

気分で使い分ける

名機だから持っておきたい

 などと自分に言い聞かせて正当化しながら、理想的な「」を探し続ける。予算は半ば青天井。時に清水の舞台から飛び降りる覚悟で、イヤホンの購入ボタンをポチる…そんな日々を送ることになる。

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時にポタフェスなんかのイベントでド級のスペックを持つプレイヤー、興味本位で聴いた数十万円のフラッグシップイヤホンを聴いて頭を抱えることも

 これらを耳にして「なんだこれ。めっちゃいいじゃん!」となれば、まだあなたは幸せもの。多くの場合、ここに来るまでに肥えてしまった耳をお持ちの読者さまの頭にはこんなワードが浮かぶことだろう。

「イヤーピースをSpinfitに変えたら合いそう」

「ケーブルを8N-OFCに変えたら、もう少しマイルドな音になるかな?」

「バランス接続したら平面感が変わるかな?」

「ウォーム系のプレイヤーなら相性いいかも」

 前述の予備知識をもとにこんなことを言い出すことも少なくない。現に筆者もそうだ。もちろん、このレベルで渡り合える仲間は非常に頼もしく、心強い。時に味方かと思えば時に新たな扉を開いく散財の引き金になることもあるが、それも一興だ。

 このようなことが続くと気がつけば…手元にはイヤホンだけでなく、プレイヤー、ポタアンやDACにケーブル…がいっぱいあることでしょう。

 そして究極のフィット感を求めてCIEM(カスタムイヤーモニター)を注文してしまうことも。あろうことか、オーダーメイドのイヤホンを作ってしまうのです。ここまで来て気がついたら、あなたのそのイヤホンは6桁円ですよね…なんてことも。

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Ultimate Earsのロングセラーイヤモニ「UE 5Pro」筆者はこれで2BA機への概念が変わった

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リファレンスイヤモニのUltimate Ears Reference Remastered。やや感度が悪いが、少し大きめの音量で鳴らすとこれまた気持ちが良い。

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JH Audio Rosie。リスニング用途ならとってもノリの良い音を鳴らしてくれるモデル。低域調整ダイヤルを最大にして聴くEDMは麻薬以外の何物でもない。定期的に聴きたくなる。

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Westone W60。とにかく良い。6BAモデルながらびっくりするくらい装着感が良いし、クロスオーバー周波数の調整がほんと素晴らしい。

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低域の出方が独特なShure SE846。BA型と思ってこれを聴くと高確率で肩透かしを食らう。。そのくらい低域が特徴的だ

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筆者の愛用イヤホンではFitEar TOGO334。やはり何年経っても色褪せない魅力、CIEMにも引けを取らないユニバーサルイヤホンとして現在でも高い評価を持つ機種。

ここまで来たらあなたは沼の住人です。

大丈夫!住人は皆優しい方ばかりですよ!さて、ここまで来ました。どうでしょう。

イヤホンスパイラルに陥ってわかったこと。

・イヤホンの音質向上と費用対効果は5万円がピークだが、価格が高いほど基本性能は高いことが多い

 イヤホンの場合、筆者的に5万円がピークラインで、音質向上がわかりやすい範囲と考える。ここから上はなだらかになるものの、概ね価格に比例する印象。5万円もあれば、ほとんどのメーカーの上位機種が買えることもあり、それ以上は好みとこだわりの世界と感じる。職人にしか作れない音、このメーカーじゃないと出ない音…そうのようなマニアックな世界だ。

・イヤホン以外で音質向上を狙う費用対効果

 イヤホンは本体以外の多くの要因で音は良くも悪くもなる。ざっくり費用対効果が大きい順に並べると以下の通り。

・DAC(ポタアン)

・プレイヤー

・イヤーピース(イヤホンのゴム)、耳あて

・ケーブル

・貼りもの(インシュレーターなど)

・体調(とても大事)

 経験上、プレイヤーとポタアンのウェイトは大きいと感じる。近年見られるスティックDACでも効果は大きく、スマートフォンとの接続でもかなり大きな効果を得ることができます。

 イヤーピースはお手軽ながらフィット感と音に対して重要な部分。耳に最も近い要素となるので、これを変えた時の変化は大きい。

 ケーブルは音が変わるものの、筆者としては「ニュアンスが変わる」「味付けが少し変わる」程度の認識だ。伯方の塩から岩塩になるくらい。料理でも岩塩が合うもの、合わないものがあるのと同様に、リケーブルも合う合わないがある。必ずしも音がいい方に変わるとは限らない。

イヤホンの沼に落ちる。スパイラルもわるくない

 さて、イヤホンの沼ですが、そこまで怖くはない。何よりこれは「好きなアーティストに対するファン活のひとつ」と筆者は正当化している。好きなアーティストの歌を音楽を「いい音で聴く」というだけのこと。

 ボーカリストの声をより魅力的に、演奏者の奏でるメロディをより情熱的に聴きたい。それこそがいい音であり、イヤホンやプレイヤーにお金をかける理由だと考える。

 ハイレゾ音源が少し高いのも「アーティストや支える裏方のエンジニアへの応援」と考えれば納得できるでしょう。また、アーティストの使うイヤモニと同じものを使っている満足感や統一感も所有感を満たす要素だ。「私は推しと同じ音で音楽を聴いている」という感覚はとても良い。

それでも「いい音」の定義は無いのです。

 「いい音」の定義、ものさしは読者の皆様がそれぞれ持ってるもので、筆者が「このイヤホンはいい音だから聴いて欲しい」と書いたところで、感性が異なる1人の人間の意見にしかならない。

 「こんな音だよ」とはお伝えできても、読書が感動するかどうか。良いと思える音かどうかを伝えきることはできない。無責任かもしれないが、あくまで1人の意見としてチェックしてもらえるも幸いだ。

 筆者としても、可能であれば高価なイヤホンは購入前に試聴して欲しいところ。試聴機がなかったりで難しいところではあります。筆者も新潟の僻地に住んでいるので、この心情は理解できる。

 もし、この沼にいる間に「運命の音」に出逢えたらほんと幸せなこと。「これだよ!これ」という音に出逢えた方を見ることは傍から見てても嬉しいもの。上を見ればきりの無い世界ではあるが、きっとこれを読んでくれている読者さまに合う音はあると断言できる。

 最後にこれを書いた筆者がこの沼に落ちてしまった経緯をお話しましょう。よいこは真似してはいけません。学生の頃からの遍歴は以下の通り

・iPodを買ってもらう(iPod mini 2nd Gen.)

・ウォークマンを買ってもらう(NW-X1000)

・イヤホンを買ってもらう(SONY MDR-EX90SL)

・量販店でUE 10 ProとWestone 3にATH-CK10を聴いてしまう

・イヤホンを買う(ATH-CK10)

・ポタフェスでFitEar TOGO334を聴いてしまう

・イヤホンを買う(SE215SPE)

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ATH-CK10。この頃の2BA機も結構いいお値段したもの

・プレイヤーをNW-F880に変える

・ポタアンを買う(Fiio E07K)

・イヤホンを買う(UE 10 Pro)

・イヤホンを買う(Ortofon e-Q7)

・イヤホンを買う(MDR-EX800ST)

・イヤホンを買う(Westone 3)

・イヤホンを買う(Westone UM Pro 50)

・プレイヤーをNW-ZX1に変える

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ソニーのZX1を手にして。やっぱりこの頃になってだいぶ凝ってきたのだが、これが社会人になると…まぁお察しですね。

・イヤホンを買う(Westone W60)

・ポタアンを買う(OPPO HA-2)

・プレイヤーをNW-ZX2に変える

・スマホをGRANBEATに変える

・イヤホンを買う(UERR)

・イヤホンを買う(UE 5Pro)

・プレイヤーをAstell&Kern AK300に変える

・イヤホンを買う(SE846)

・イヤホンを買う(MDR-EX1000)

・プレイヤーをNW-ZX507に変える

・プレイヤーをFiio M11に変える

・イヤホンを買う(JH Audio Rosie)

・イヤホンを買う(FitEar TOGO334)

数年後

・イヤホンを買う(SONY IER-Z1R)

イヤホンを買う(Victor HA-FW10000)

・イヤホンを買う(Technics EAH-TZ700)

・イヤホンを買う(Final A8000)

・DAPを買う(HiBy R8SS)

・イヤホンを買う(SONY IER-M9)

・イヤホンを買う(UE18+ Pro)

・イヤホンを買う(EMPIRE EARS  Legend  EVO

・イヤホンを買う(qdc Tiger)

・DACを買う(Fiio Q7)

・イヤホンを買う(カナルワークス CW-U32GRV)

我ながらひどい。相変わらず沼の中すぎて、目も当てられない。ここまで「こうなってはいけません」とだけお伝えしたところ。イヤホンの値段を調べてはいけませんよ。それでは。暖かいお湯の中で皆さんをお待ちしております。筆者はこの心地の良い沼から上がることはできないようだ。

*1:ここに脚注を書きます

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