Xperia 1 VII実機レビュー 出荷停止を乗り越えた「唯一無二」のフラッグシップの実力に迫る

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  ソニーのフラッグシップスマートフォン「Xperia 1」シリーズは、近年スペック競争とは一線を画し、体験価値の積み上げを重視してきた。2025年6月に発売されたXperia 1 VIIもその延長線上にある。
 一方で、発売後わずか1ヶ月で発生した製造不良による出荷停止騒動や、価格帯を考慮すると、市場での立ち位置はやや難しいものになっている。本稿では実使用のレビューを踏まえつつ、進化点と課題を整理する。

 端的に言えば、半年間の実使用を通じて見えてきたのは「派手さはないが、確実に使いやすくなっている」という評価だ。

目次

Xpeia 1 VIIのスペックは保守的だか、順当にアップデート

 Xperia 1 VIIの基本スペックは前世代を踏襲している。6.5型の有機ELディスプレイ(FHD+ 19.5:9比率)に、Snapdragon 8 Eliteを搭載。メモリは12GB/16GB、ストレージは256GB/512GBから選択でき、最大2TBのmicroSDカードに対応する。バッテリー容量は5000mAhで急速充電に対応する。

 カメラは超広角(4800万画素、16mm)、広角(4800万画素、24mm)、望遠(1200万画素、85-170mm)の3眼構成。音響面では3.5mmイヤホンジャックとフロントステレオスピーカーを搭載し、リアカメラには専用のマイクも用意。クリエイター向けのXperiaらしさを堅持している。

 もちろんIP68防水防塵、おサイフケータイ、ワイヤレス充電といった基本機能も網羅する。

 サイズは約162mm×約74mm×約8.2mm、重量は197gと軽量。サイズ感的には従来のXperia 1 VIと同じであり、画面保護フィルムは使いまわしができる。

カメラ部も基本的なデザインは変わらない
シャッターキーを備える
イヤホンジャックを引き続き採用する

 スペック上での変化は控えめだが、各要素は着実にブラッシュアップされている。そのような意味では「スペック表に現れないところ」が強化されている。

 このほか、AI機能としてデジタル一眼カメラ「α」や、オーディオプレーヤー「ウォークマン」、テレビ「ブラビア」といった専用機に搭載されている最先端の技術と各領域で培ったAI技術を、Xperia向けに最適化した「Xperia Intelligence」として搭載。

 後述するフレーミング技術、ブラビアの色彩表現、アップスケーリング機能のDSEE Ultimateといったものよって、撮影でも視聴でも高い次元の体験価値をリアルタイムに実現できるとした。

カメラは超広角の刷新と動画機能が強。着実な進化を遂げた部分

 カメラで最も注目すべき進化点は、超広角カメラの高性能化だ。前機種から約2.1倍大型化した1/1.56型センサーの採用により、特に暗所性能と動画撮影時の余裕が大きく向上している。

 広角カメラは前世代から引き続き2層トランジスタ画素積層型CMOSイメージセンサー「Exmor T for mobile」(1/1.35型)を採用し、レンズ性能の向上により解像感とノイズ処理が改善された。

従来と比較して、レンズ周りが改良されている

 これに合わせて、ソニーは「AIカメラワーク」「オートフレーミング」機能を新たな体験として打ち出した。AIカメラワークでは、被写体を常に画面中央に捉え、歩行しながらの撮影でも安定した映像を生成する。Vlogや人物撮影で有効だ。

 オートフレーミングは、動画撮影時に引きと寄りの映像を同時に記録し、編集を行わずとも視聴しやすい動画を生成できる。

 いずれも超広角・広角カメラが対応しており、「失敗しにくい動画撮影」という方向性を強く意識した機能構成となっている。また、Snapdragon 8 EliteのISP性能向上により、全体的にノイズ処理やズーム時の画質補完が向上した点も見逃せない。

 望遠カメラは前機種から据え置きだが、レンズ精度の向上により画質が改善。85-170mmの可変焦点域で最大7倍ズーム、マニュアル撮影によるテレマクロにも対応している。手ぶれ補正も強化され、従来よりも微ブレの少ない撮影が可能になった。

超広角カメラは暗いところでも強くなった
昼間から夜景までバッチリ撮れる。夜間でもズーム処理がきれいになった
フードフォトもバッチリ

ディスプレイは「見やすさ」の改善。オーディオ面はウォークマンの技術を取り入れて進化

 ディスプレイはサイズ、解像度等は前機種から変わらないものの、ピーク輝度が約20%向上。加えて、前面と背面のデュアル照度センサーを新たに搭載した点が実用面で大きな進化。

 従来モデルでは逆光下で輝度調整が追従しきれない場面もあったが、本機では背面センサーが環境光を検知し、より適切な明るさに自動調整される。屋外利用時の視認性は大きく改善された。

明るい場所でのディスプレイの視認性も向上した

 1-120Hzの可変リフレッシュレートにも引き続き対応し、バッテリー効率と滑らかな表示を両立している。

 オーディオ面は引き続きXperiaシリーズの大きな特徴だ。今作ではウォークマンにも採用される高音質パーツや金配合ハンダ、非磁性銅メッキ加工の高音質抵抗を採用し、音の歪み低減を図っている。サウンドチューニングもウォークマン寄りのチューニングとなっており、前作から進化を感じられるポイントだ。

有線イヤホンでゲームや音楽を楽しめる

 本体スピーカーは高音域を拡張しつつ、低域〜中低域の出力を最大10%向上。さらに、DSEE UltimateやDolby Atmos、360 Reality Audio、360 Upmixにも対応し、有線・無線を問わず音質へのこだわりが見て取れる。

 Bluetooth接続時の送信パワーを最大2倍に高めた点も、混雑環境での安定性向上という形で効果を実感できた。

 このほかAuraCast対応に加え、ストリーミングサービスのSRC回避も可能という他社製品にない強みも備えているため、ワイヤレスイヤホンの母艦として運用する用途ならこれ以上の機種はないくらいの選択肢だと感じる。

ワイヤレスイヤホンのレビュワーさんは持っていて損はない

基本性能はSnapdragon 8 Elite採用で順当に進化。OSアップデートは4年間実施と長期化

 Snapdragon 8 Eliteの採用により、GeekBench 6のスコアはシングル:2390、マルチ:8567を記録。前世代のSnapdragon 8 Gen 3から性能が向上しているものの、競合商品と比べると性能はやや抑えられている。

 これでも日常使用では非常に快適で、高負荷な3Dゲームも比較的安定して動作する。発熱は高負荷時にそこそこ感じられるが、実用上問題になるレベルではない。

 Xperiaでは初の3nmプロセッサを採用したこと、従来よりも大型のベイパーチャンバーによる冷却性能も向上しており、長時間のゲームプレイでも従来より快適性を維持できた。

 5000mAhのバッテリーは優秀で、1日を通じて安心して使えるものの、6000mAh級のバッテリーを備える競合製品に比べると電池持ちは良いとは言えない。このあたりは後継機種に期待したい。

崩壊スターレイルも快適に遊べる
学マスは快適だが、長時間のプレイは本体がかなり熱くなる

 OSはAndroid 15を採用し、既にAndroid 16のアップデートが提供済み。本機種からOSアップデートは4回、セキュリティアップデートは6年の提供としており、従来の課題だったアップデート提供期間の短さを改善した。提供スピードも極端に遅いということもなく、不満は少ないものと考える。

近年まれにみる発売直後の出荷停止騒動。信頼性への影響はいかに

 本機を語る上で避けて通れないのが、発売からわずか1ヶ月後の2025年7月4日に発生した出荷停止騒動だ。「電源が落ちる」「再起動がかかる」「電源が入らない」といった深刻な不具合が報告され、ソニーは国内外で販売を一時停止する事態となった。

 原因は一部製造ロットにおける基板の製造工程の不備だった。具体的には、基板製造時の温度・湿度管理が十分でなかったため、基板に不具合が生じたという。ソニーは対象製品の無償交換を実施し、8月下旬には販売を再開したものの、フラッグシップモデルでこのような事態が発生したことは、ブランドイメージに少なからず影響を与えた。

 出荷停止までに購入した方の多くは予約、発売直後に購入した熱心なファンや長年のユーザーが大半ということもあり、既存ユーザー向けにニッチ化したXperiaにとって大きなブレーキとなってしまった。これが尾を引いてか、メディアや個人ブログのレビューもかなり少ない。

 現在は製造工程における温湿度管理の強化、品質評価体制の見直しが行われている。実際、交換後の製品や新ロットでは同様の問題は報告されていない。とはいえ、20万円を超える高価格帯製品において、発売直後に全数交換レベルの不具合が発生したという事実は、今後購入を検討するユーザーにとって判断材料の一つとなるだろう。

Xperiaシリーズとしての完成度は高いが、これからの立ち位置は難しい

 ここまで使ってみたが、抜本的な改善という要素は少ない。標準カメラと望遠カメラの仕様は従来機から据え置かれており、ディスプレイもハードウェア的には前作から大きな進化はない。

 その意味ではXperia 1シリーズの中では最もミクロな進化だと感じた。ただ、スピーカーなどの音響面の進化は大きく、Xperiaのアピールする体験重視の方向性は確実に成果を上げている。

 Xperia 1 VIIは、各要素を着実に改良したソニーのフラッグシップだ。一方で、発売直後の製造不良による出荷停止騒動は、ブランドの信頼性に大きな傷を残した。現在は問題が解決し、品質管理体制も強化されている。しかし、直販モデルで20万円台前半〜(値下げ後は19万円~)という価格設定と相まって、競合が多い価格帯において万人に勧めやすいモデルとは言い難い状況だ。

 ただし、フラッグシップ性能とイヤホンジャック、microSDカード対応を同時に満たす存在は、本機種が世界で唯一の存在となってしまった。

 音声収録を始めとしたクリエイティブな用途でスマートフォンを使いたいユーザーや、Xperiaブランドに愛着のあるユーザーにとっては、唯一無二の選択肢となるだろう。

Xperiaファンならきっと欲しくなる要素はふんだんに詰め込んだ

 今後は製品そのものの完成度に加え、ブランドとしての信頼回復が最重要課題となる。Xperiaらしい誠実な進化を続けてきたソニーだけに、次世代モデルでの巻き返し。そして何より、製造品質の徹底した管理に注目したい。

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