「Ultra級のProがある。」スマホマニアとしては聞き捨てのならない話を聞いてしまい、気が付いたら手元にあったスマホがOPPO Find X9 Proだ。
新型イメージセンサーを搭載したメインカメラ、2億画素のペリスコープ望遠、スペクトルカメラによる自然な色再現。最新プロセッサに7500mAhの大容量バッテリー。
これらのスペックを眺めているだけなら「昨年の最上位らしいな」程度の印象だったが、実際に使ってみると「Ultra級」と納得させられた。今回は、そんなOPPO Find X9 Proをレビューしたい。
[:contents]
OPPO Find X9 Proはデザイン一新。日本でも欲しかった紅を入手
カメラ特化のスマートフォンの進化は留まるところを知らない。2025年も終わる前に各社カメラ性能を重視したハイエンドスマホを展開してきた。今回はOPPOがおくるハイエンド「OPPO Find X9 Pro」。ざっとスペックを書くとこんなところだ
SoC:MediaTek Dimensity 9500
メモリ:12/16GB
ストレージ:256/512GB/1TB
画面:6.78型 2772×1272
カメラ
リアカメラ
標準:5000万画素 f1.9 1型センサー
超広角:5000万画素 f2.2
望遠:2億画素 f2.1
望遠:5000万画素 f2.6
フロント:3200万画素
バッテリー:7500mA/h
100W充電 無接点充電対応
OS:ColorOS 13.1(Android 13)


Find X9シリーズは円形カメラではなく、iPhoneなどと同じような配置。カメラを大きく主張しないデザインでフルモデルチェンジを図った
Ultraにも負けない!OPPO Find X9 Proの高いカメラ性能は圧巻
OPPO Find X9 Proはメインカメラに1/1.28型の大型センサーを採用。このほかに15mm相当の超広角カメラ、70mm相当の望遠カメラを備える3眼構成だ。
望遠カメラはペリスコープ方式を採用。1/1.56型の2億画素のイメージセンサーを採用するほか、f2.1と明るいレンズが特徴だ。
メインカメラにはソニーの新型イメージセンサーであるLYTIA LYT-828を採用。新世代のセンサーによって、以前よりも性能を高めることができた。
望遠にはサムスン製の「HP5」というイメージセンサーを採用。2億画素構成としたことで10倍前後までは画質劣化を抑えて撮影できるとした。また、レンズはf2.1と明るく、最短撮影距離が10cmと寄れる点もポイント。大型センサーと明るいレンズの組み合わせで、夜間のテレマクロ撮影も簡単にこなせる。

今作ではこれらのカメラとは別に、スペクトルカメラを備えている。スペクトルカメラは色波長を捉えることに特化したもので、従来よりも自然な色を表現できるようになった。また、オプションとして専用の3.28倍のテレコンバーターレンズも用意されている。


加えてFind X9シリーズのカメラチューニングは、スウェーデンのハッセルブラッドが監修している。これにOPPOのLUMOイメージングが合わさり、従来よりも富んだ表現を可能にした。
OPPO Find X9 Proでの作例は以下のようになる。デフォルトのクォーターマークに画角が表示されるのでそちらを参考にしてほしい。






OPPO Find X9 Proでは比較的自然な色調、質感の絵が出る印象だ。一般的な彩度を盛って鮮やかさを演出するGalaxy などとは異なり、かといって過度に「カメラ」を意識したチューニングとは異なる印象だ。
メインカメラは大型センサーを採用しているだけあって、ボケの表現などが豊かな印象だ。自然な色長はスペクトルカメラのおかげだ。
そしてOPPO Find X9 Pro最大の特徴が70mm相当の望遠カメラだ。レンズのf値がペリスコープ方式ながらf2.1と明るいことに加え、1/1.4型の大型センサーを搭載。最短撮影距離が約10cmとこちらはかなり寄れる。






テレマクロに関してはかなり優秀。大型センサーを用いて寄れることもあり、やや暗い場面でもきれいに撮影できる。


超広角カメラも見事だ。OPPOのハイエンド機では、超広角カメラの性能を重視しており、この機種も例に漏れない。明るいところはもちろん、夜景などの場面では他社の機種と比較してもかなり綺麗に撮影できる。



夜景もきれいに撮影できる。かつてのDimensityプロセッサ搭載機で見られた塗り絵感、HDRの弱さはかなり改善されており、チューニングがうまくなったと感じさせられる。
手持ちでもサクサク撮影できる点はこの機種のポイント。シャッターボタンを備え三脚検知モードも備え、ある程度長時間の露光も可能になっている。望遠カメラでも大型センサーを採用していることで、これらのレンズでも夜景が綺麗に撮影できる機種となっている。


動画撮影についても、強力な手ぶれ補正によって快適な撮影が可能だ。HDR補正も強力で、撮影中でも望遠カメラにスムーズに切り替えられるなどiPhoneに近い感覚での撮影ができる。
OPPO Find X9 Proは綺麗に撮れる広角カメラ、暗いところでも扱いやすい望遠カメラを備えることで、スマートフォンの撮影体験をより良いものにした。使い勝手の良さに注力することで、同じくカメラ性能をアピールしているvivo X300 Pro、Xiaomi 17 Proとは明確に差別化を図っていることがわかる。
OPPO Find X9 ProはDimensity 9500と大容量バッテリーが強い
OPPO Find X9 Proに関してはカメラ性能に注目が行きがちだが、ディスプレイ性能なども高い仕上がり。ディスプレイは6.78型。AMOLEDパネルを搭載し、画面解像度は1.5K。画面輝度は全白時で1800ニトと高く、屋外での視認性も向上した。3840HzのPWM調光にも対応し、ちらつきも抑えられている。


プロセッサはDimensity 9500を採用している。3nm世代最新のプロセッサであり、Snapdragon 8 Elite Gen 5と競合する。搭載メモリは16GBと必要十分。 冷却性能も大容積の冷却機構を搭載しており、プロセッサーとの組み合わせもあってか、長時間のゲームも問題なく遊ぶことができた。
ストレージもUFS4.1規格の高速なものが採用されている。省電力ながら高速の伝送が可能になっており、仮想メモリ等を利用してもパフォーマンスの低下を抑えられていると言う。

OPPO Find X9 Proを使ってみると、ハイエンド機というのもあって動作にストレスは感じない。Dimensity 9500はかなり優秀なチップセットなのか、ゲームなどでの発熱も抑えられているように感じた。普段使いではまず困ることのない高い パフォーマンスを持ち合わせている。



バッテリー容量は7500mAhとカメラフォンとしてもトップクラスの大容量。Ultraを冠した機種はカメラにスペースを割く関係から、バッテリー容量は少なめの設定となるため、Find X9 Proの大容量バッテリーは差別化要素にもなっている。
加えて、80Wの高速充電にも対応。ワイヤレス充電のほか、端末から無接点充電可能なリバースチャージにも対応。単純に容量が増えたため、バッテリー持ちはFind X8 Ultra(6100mAh)比較で体感的にも大きく向上している。
ソフトウェアはColorOS 16を採用。アクションボタンではマナーモードのほか、AI機能のトリガーと来ても利用できる。
例えば、気になった場面でボタンを押したらBreeno Memoryに保存、要約してくれる。記憶の補助装置として使える点ではNothingのEssential Spaceに近いものだ。


素晴らしいクオリティのOPPO Find X9 Pro。兄弟機のFind X9は日本でも発売
OPPO Find X9 Proのカメラに関して、前作のFind X8世代からハードウェアスペック周りを大幅に強化した。
各社の新型センサーを搭載したことに加え、画像処理で不利とされてきたDimensityプロセッサでも、チューニング次第で高度なHDR処理などを可能にした。これらのあわせ技によって、高いクオリティでの写真撮影が可能になった。
筆者としては、Find X9 Proは旧モデルのFind X8 Ultraの要素を引き継ぐ「撮影体験が楽しいカメラスマホ」と評価したい。
簡単にキレイに撮れるカメラはもちろん、基本性能の高いハードウェアでマニュアルモードの追い込みなどにも応えられる点は大きな利点だ。テレマクロ性能を重視した望遠カメラも嬉しい進化だ。
もちろん、Dimensity 9500による高い性能を持ち合わせ、7500mAhの大容量バッテリーといった要素で快適に使える点もポイント。長期間のアップデートが行われることも公表されており、長く使っていける端末となることは間違いないようだ。
卓越したパフォーマンス、Find X8 Ultraゆずりの撮影体験、大容量バッテリーといった要素は「Ultra級のPro」という感想。満足度が高いと同時に、Find X9 Ultraはどんな進化を遂げるのか気になって仕方がない。
その一方で、アプリ側が対応しないことによる最適化不足もあり、フルで性能を発揮できるにはもう少し時間がかかりそうな印象もあった。
日本では下位モデルのFind X9が12月23日より発売されている。カメラの仕様や端末サイズが異なるものの、ハッセルブラッドチューニング+スペクトルカメラでの自然な色表現、Dimensity 9500搭載、7000mAhオーバーの大容量バッテリー採用といった要素は備えている。特に日本向けはKDDIでの取り扱いとFeliCaに対応する点が大きい。

そんなOPPO Find X9 Proは中国だけでなく、グローバル市場でも展開される。中国では5299元(約11万円)。グローバル向けは地域の税制などによるが、概ね17〜20万円前後の設定だ。
筆者としては卓越したカメラを持つOPPO Find X9 Proを投入してほしかったが、他国と同じ価格だと20万円に迫る設定となる。この価格帯の機種でオープンマーケットメインは、ブランド認知度やコスト面でキツイという判断なのだろう。
他社の商品とも真っ向勝負できるレベルにまでカメラ性能が進化したOPPO Find X9 Pro。カメラ性能の高いスマートフォンを選ぶ際には、選択肢の一つに加えてみてはいかがだろうか。


