中国・深センといえば電子街の宝庫。世界中のスマホやガジェットが集まる街として知られる一方で、中古品の中には非正規リペア品や再生品の流通量も桁違いだ。
ITmediaに寄稿した記事でも触れたが、ここ深センでは再生品のGoogle Pixelも流通しており、「安い代わりに状態が読めない」という独特の市場が形成されている。
そんなわけで、前回の取材に続いて再生品が「実際、どんなものなのか」を確かめるべく、思い切って Pixel Foldの再生品(非正規品)を1300元(約2万8000円)で購入してみた。日本の中古相場は7万円前後なので、価格だけ見れば激安。しかし、それなりの訳あり端末であった。
深センの中古Pixelはほぼ「非正規再生品」訳アリ端末も多数存在する
深センの電子街で売られているPixelは、多くが業者による再生品(リファービッシュ)となる。ただし メーカー公式ではなく、街場の工房で修理やパーツの組み換えがされたものが大半だ。そのため、以下のような特徴がある。
・修理の質が店、個人によってバラバラ
・使われている修理パーツが純正とは限らない
・そもそも故障品ベースの修理品が多く、訳ありな端末もある
・防水性能、耐久性は当然ながら期待できない

この手の修理品は見た目が綺麗でも、内部がどう修理されているかは分からない。外装だけ交換して「新品級」と称して売られるケースも普通にある。今回のPixel Foldは外装はボロボロながら、内部の故障したパーツを取り替えたものなので、まだ信用できる製品ではあった。


深センで買った中古再生品のPixel Fold。見た目はボロいが価格は驚きの2万円台
正直なところ、今回のPixel Foldはかなり“覚悟して買うタイプ”の個体だった。
今回のPixel Foldはディスプレイに細かな傷、外装には大きめの傷がいくつか見られる。折り目部分のフレームにも使用感がある。とりあえず動作に問題のない完動品とのことなので、日本でいう中古のC〜Dランクといったところ。
見た目の時点で「状態悪いな」という印象。とはいえ、価格は1300元(約2万8000円)と、日本の中古品相場の7万円前後と比較してもかなり安い。
ここまで安価な理由は不明だが、ひとつは仕入れ値がかなり安いこと。中国ではGoogleサービスが使えない関係で、Pixelの機能がほぼ使い物にならないこと。端末も年式が経っていることが安い理由と思われる。



深センで買ったPixel Fold。ちゃんとスマホとして使えたのは運が良かった
そんな深センリファビッシュのPixel Foldだが、動作には何ら問題はなかった。
画面はカバー画面、展開時のメイン画面共に問題なく、ジャンク品であるようなライン抜け、素子の劣化といったものも見られない。タッチパネルも問題なく利用でき、折りたたみ画面にありがちなセンサーの故障も見られない。
カメラも問題なし。全カメラをちゃんと認識し、オートフォーカスや手ぶれ補正も機能している。カメラガラスに修理時に混入したと見られるチリはあるものの、写真の写りには支障がなかった。
通信周りは4G/5Gのセルラー通信、Wi-Fi、Bluetoothを含めて問題なし。アプリ動作、充電周り、ボタン操作に関しても特に不具合はなかった。


ここまで見ると「え、普通に使えるじゃん?」と思う一方で、使う上の不安は当然ある。
とくに 防水性能は事実上ゼロと考える。Pixel Foldは本来IPX8だが、非正規修理品にその期待は禁物。ヒンジまわりも水の侵入を防げる気がしない。
もちろん、保証などはあるはずもない。Pixelの場合、深センに渡っている経緯も様々で、中にはホットモックだったものや、盗難品、分割未払いといった訳アリな端末も見受けられる。また、複数の端末から使える部品をはぎ取って修理した「ある種のキメラ」の可能性もあるため、仕向け国の保証も考えにくい。
深センで見つけたPixel Foldは北米版。技適は出せるがFeliCaはNG
今回手に入れたのは北米版のPixel Foldだった。技適マークは表示できるものの、FeliCa(おサイフケータイ)は利用できない。過去には日本版の製品を見かけたこともあったので、この辺りはしっかり探し込めば日本で使えそうなものも見つけられそうだ。
さて、日本国内で「合法的に使えるか」という観点では、技適表示が出るのは助かる。厳密には非正規の分解歴があるので技適マークは無効となるが、今回は電波法103条の6並びに電波法4条の2に基づき、日本で合法的に利用している。
通信バンドはそこそこ合っているので、サブ機として使うには問題はなさそうだ。ただし交通系ICや決済系が使えないため、メイン機としての実用性は低い。


マニアなら深センでPixelガチャを試してる価値はあり。ただし難易度は高め
深センで今回のような「訳アリのPixel」を買うことは、率直に言えば おすすめはしない。理由は以下の通り。
・端末の品質のばらつきが激しく、知識がないと見極めが困難
・店主とのコミュニケーションが困難(英語は通じないと思った方が良い)
・内部の修理品質をユーザー側で確認できない(運が良ければ修理してる様子を見れることはある)
・不適切な修理で防水性能が失われている可能性が高い
・アメリカ版やヨーロッパ版では一部機能(特にFeliCa)が使えない(この辺りの見極めも必要。売る側は分かっていないことも多い)
ただし、ガジェット好きで、壊れても笑って思い出にできる“割り切り精神”がある人ならアリだと思う。深センでしか味わえない“ガジェットガチャ”としては、非常に面白い経験だと思う。
実際、2万8000円でPixel Foldが買えてしまう事実は、やはり深センならではの異常な安さだ。ほかの機種も状態を選ばなければ日本の中古相場よりも安い機種が散見され、見極めと割り切りができればお得であるようには思った。
深センには「安さ優先で修理されたPixel」が出回っている。今回のPixel Foldも例に漏れず傷だらけだったが、最低限の動作はこなせた。とはいえ、品質は完全に“運”であり、メイン機としての信頼性は低い。
深センでPixelを買うのは万人にはすすめない。ただし、深センでスマホを漁るようなチャレンジャーなガジェット好きなら一度は試す価値アリ。そんな“スマホ沼”のような体験だった。

