POCOキラー爆誕?5万円で原神も学マスも快適なスマホ iQOO Z10 Turbo+ レビュー

当ページのリンクには広告が含まれています。
  • URLをコピーしました!

 中国には独自のジャンルにカテゴライズされる「ミッドレンジゲーミングスマートフォン」というものがある。今回はその中でも、Dimensity 9400+の圧倒的な高性能、8000mAhの大容量バッテリー採用で特にコストパフォーマンスに優れる「vivo iQOO Z10 Turbo+」をレビューしていきたい。

 なお本機種は電波法103条の6並びに、電波法4条の2項の解釈に基づき、日本で電波を発した状態で使用している。

目次

iQOOシリーズの高性能ミッドレンジスマホ「iQOO Z10 Turbo+」をチェック

 vivo iQOO Z10 Turbo+はミッドレンジながら高い性能を備えるスマートフォンだ。本機種はプロセッサにMediaTek Dimensity 9400+を採用し、高速なメモリとストレージを採用するなど、廉価機種の中でもモバイルゲームに特化した仕様だ。スペックは以下の通り

SoC:MediaTek Dimensity 9400+
メモリ:12/16GB
ストレージ:256/512GB
画面:6.78型 FHD+解像度
120Hz対応 OLEDパネル
カメラ
標準:5000万画素
超広角:800万画素
フロント:1600万画素
バッテリー:8000mAh
90W充電対応(約50分でフル充電可能)
防水、防塵:IP64
OS:Android 15(Origin OS 5)


カラー
ホワイト
グレー

ゴールド

価格
2299RMB(約4万7000円)〜

 iQOO Z10 Turbo+の基本的なデザインは、同社のiQOOブランドのフラグシップ「iQOO 13」に準拠している。同じデザインの延長線にいる機種だ。本体カラーはグレー、ゴールド、ホワイトの3色展開。今回はグレーを使用する。

本体は樹脂製だが、見た目以上に質感は良い。
本体は8.2mmと比較的薄い。防水はIP64等級を取得しており、一般には「防滴」に近い仕様だ

iQOO Z10 Turbo+のスペックをチェック。Dimensity 9400+採用で5万円で学マス、原神が快適に動くフラグシップ級のゲーム性能に驚く

 iQOO Z10 Turbo+はコストを抑えながらもフラグシップ級のプロセッサを採用した高性能なスマートフォンだ。立ち位置的にはナンバリング(今期は15)、Neoシリーズに次ぐ廉価な機種であり、Turboの中でも上位に当たる。 

 例年5万円前後の価格で展開してくる製品郡であり、競合製品はXiaomiのREDMI Turbo(POCO Fシリーズ)やOnePlus Aceシリーズ。ミッドレンジの中でも性能重視のコストパフォーマンスに優れた商品だ。


 今回は末尾に「Turbo+」の名前を冠しており、通常のiQOO Z10 Turbo(Dimensity 8400)やZ10 Turbo Pro(Snapdragon 8s Gen 4)よりも高性能なプロセッサを採用し、差別化を図っている。

 iQOO Z10 Turbo+のプロセッサにはDimensity 9400+を採用し、LPDDR5X Ultra規格のメモリ、UFS4.1規格の高速なストレージを備える。メモリは12または16GB、ストレージは256または512GBの仕様が選択できる。micro SDカードは利用できない。

 また、独自開発のQ2チップを採用。対応コンテンツでは最大144Hzのフレーム補完、1.5K解像度へのアップスケーリングを同時に行うことが可能。下位のiQOO Z10 Turbo ProなどはQ1チップ(1世代前)の採用に留まるので、この辺りも差別化されていることがわかる。

プロセッサはDimensity 9400+を採用する


 本機種に採用されるDimensity 9400+はMediaTek製のハイエンドプロセッサ。TSMC 3nmで製造され、高いAI性能などを備える上位モデルに当たる。主に2025年に販売されたフラグシップ級の機種に採用されており、日本ではXiaomi 15T Proなどで採用される。

 より新しいDimensity 9500の登場で型落ちになるとはいえど、5万円クラスの価格帯のスマホに積まれるものではない。

 本機種の基本性能は極めて高く、パフォーマンスは5万円クラスのミッドレンジの中には収まらない。CPU、グラフィック性能共に高く、高画質なゲームにもしっかり対応できる。
 基本性能は最新のハイエンド機と比較すると劣るが、高負荷なゲームでもある程度負荷をかけない限りは大きな差を感じられなかった。多くの場合はパフォーマンスに不満なく利用できると感じた。

 また、iQOO Z10 Turbo+には大型のベイパーチャンバーをはじめとした強力な冷却機構が搭載されている。これによって高い性能を長時間持続させることが可能だ。

 中国向けの一部ゲームコンテンツであれば 、Q2チップによる144FPS(フレーム補完)での動作も可能だ。中国のゲーミングスマートフォンはゲームコンテンツへ最適化されたものも多く、「ただ性能が高いだけ」でない機種も多いのだ。

原神はQ2チップによるアップスケーリングに対応する

 いくつかゲームを試してみる。原神などの高いハードウェア要件を必要とするコンテンツでも、最高画質で55〜57fps前後とこの価格の製品としてはかなり快適だった。

原神は画質「高」が推奨。Q2チップによるフレーム補完にも対応する。さらに上の最高画質でも十分楽しめる高い性能を持つ
GPUをゴリゴリ使う崩壊スターレイルも、最高画質設定でかなり快適に遊べる

 高負荷な学マスは最高画質の設定にできる。MVは60fps前後を出せるが、プロデュース画面や温泉撮影のモードでは55fps前後まで割り込む場面も見られた。

学マスの最高画質はかなり高い負荷だが、それでも、5万円のスマホでここまで動くと感動を覚える

キレイなディスプレイと8000mAhの大容量バッテリーを搭載!ゲームも動画視聴も安心の性能

 iQOO Z10 Turbo+のディスプレイには6.78型 1.5K解像度(2800×1260ドット)のAMOLEDパネルを採用。最大144Hzのリフレッシュレート、瞬間的に2000Hzのタッチサンプリングレートにも対応するゲーミング仕様だ。

 画面のピーク輝度も4500ニト(HBM:2000ニト)と明るいため、屋内のみならず直射日光の当たる屋外での視認性も良い。4320HzのPWM調光にも対応しており、画面ちらつきを押さえている。ブルーライトも抑えた目に優しいディスプレイだ。

 その一方、ディスプレイはフラグシップと比較すると旧式のものが使われており、消費電力面でやや不利となる。この辺は、コストを切り詰めた部分だと思われる。

ディスプレイはエッジのないフラットディスプレイ。

 vivo iQOO Z10 Turbo+のバッテリーはなんと8000mAh。iQOO Z10シリーズが軒並み7000mAhクラスととかなり大容量なものを採用しているが、その中でも群を抜いて大容量である。

 実際に使ってみると、大容量バッテリーを積んでいるだけあってやはり電池持ちは良い。ゲームなどで遊んでもバッテリーが減らないこと、SNSや動画再生がメインの用途では1日使っても半分くらい残っていた。


 しかも、これだけのバッテリーが入っていながら本体は212gと軽量だ。これは高密度バッテリー「Blue Ocean Battery」が採用されており、薄型軽量化を可能にしている。

バッテリーは脅威の8000mAh


 バッテリーの容量が多いため、充電には時間がかかる。この難点は90Wの急速充電でカバーしようというのが本機種のコンセプト。

 汎用規格のUSB-PPS 55Wに対応しているため、充電器は以前ほどシビアに選ぶ必要はない。コストを抑えるためなのか、ワイヤレス充電には対応しない。

 UIにはvivoの独自UI「Origin OS 5」が採用されている。Android 15ベースのこのUIは一応日本語にも対応しており、中国メーカーの機種としてはクセがあるものの、比較的使いやすく仕上がっているように感じる。

AI処理でキレイに撮れるカメラ。オマケの立ち位置ながら十分な実用性

 vivo iQOO Z10 Turbo+はメインカメラに5000万画素、ソニー製のLITYA LYT-600というセンサーを採用している。f1.79と明るいレンズを採用し、光学式の手ぶれ補正も備える。この他に800万画素の超広角カメラ、1600万画素のフロントカメラを備える。以下に作例を示していく。

カメラ配置はvivo iQOO 13シリーズと同じような配置

 いくつか撮影してみたが、思ったよりも綺麗に撮れている。さすがに10万円クラスの高価な機種には劣るが、この価格帯の機種としてはかなり綺麗な写真が撮れる。


 高性能なプロセッサを採用したことで画像処理性能が高いことに加え、上位機種ゆずりの機能もいくつか利用できる。筆者が今まで使ってきたミッドレンジスマホの中でも、撮影できる写真のクオリティはかなり上の方だ。

 超広角カメラはスペックが落ちるので、明暗差のある場面ではメインカメラと大きな差が出てしまう。それでもきれいに撮影できる


 夜景モードの写りもミッドレンジとしてはきれいだ。メインカメラには光学式手ブレ補正も備えるため、撮影もしやすいvivoのスマートフォンらしく夜景モードは充実している。筆者がよく使う「サイバーパンクモード」もしっかり備えている

サイバーパンクモードも備える

背伸びしたミッドレンジ。安くても超高性能な玄人向けスマホが欲しい方にオススメ

 iQOO Z10 Turbo+を評価するのであれば、ハイエンドのゲーム体験を比較的廉価に体感できる高いコスパを持つスマートフォンだ。約5万円というコスト制約の中、画面性能とプロセッサ性能の高さ、大容量バッテリーを備えたゲーム性能に特化した構成だ。

 一方で他の機能は価格相応に抑えたアンバランスな構成だが、スマートフォンに「パフォーマンス」を求める方には嬉しい構成だ。
 価格は2299元(約4.8万円)からと一般にミッドレンジスマホに該当する価格帯だ。それでも、基本的な性能は10万円を超えるフラグシップに迫るところもあり、ミッドレンジの中でも「ワンランク上」のスペックを持つスマートフォンがほしい方にはアリな機種だ。

 この手のスマートフォンは、ゲーム機市場が国の政策で規制されていた中国市場というかなり特殊な事情の関係で存在する機種だ。

 政府の規制の関係で任天堂のDSをはじめとした携帯ゲーム機が根付かなかったこともあり、携帯電話やスマートフォンが携帯ゲーム機の代替えを担うような環境が出来上がった。

 今回レビューしたスマートフォンは「ミッドレンジゲーミングスマホ」というカテゴリーで若い層を中心にターゲットとしている。端末価格も日本円で3〜5万円という「携帯ゲーム機らしい価格」で激しいシェア争いが行われている。
 さて、日本でこのようなスマホが広く受け入れられるかと問われると微妙なところだ。この手の機種の場合「ゲーム性能」以外をかなり削ぎ落としている。日本では広く求められるおサイフケータイ(FeliCa)を備えなかったり、防水性能が低いといった難点がある。

 どちらかといえば、ゲームが遊べる「2台目スマホ」という認識で購入すると良さそうだ。中国でも本機種はゲーム機に近いポジションで売られているため、ある意味スマホゲームを遊ぶための「ゲーム機」として買うのもありだ。

 もちろん海外スマホという特性上、使う上では多少の知識やセットアップのノウハウが求められる。仮に何かあってもサポートの望みは薄いことも踏まえ、どちらかといえば玄人向け。いくら高性能でも、初心者にはあまりオススメできないスマートフォンだ。

 そんな海の向こうの特殊な事情のもと存在するコストパフォーマンスに優れたスマートフォン。ライバルはPOCO F7あたりになるが、それよりもさらに高性能なiQOO Z10 Turbo+。興味のある方はチェックしてみてほしい。

この記事が気に入ったら
フォローしてね!

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!
目次