どうもこんにちは。これまで300台以上のスマートフォンを使ってきた筆者が、今回じっくりレビューするのはサムスンの最新折りたたみスマートフォン「Galaxy Z Fold7」だ。
発売から2ヶ月、日常使い・撮影・ゲーム・仕事など、あらゆるシーンで使い込んできたが、その完成度には正直驚かされた。
厚さわずか8.9mm、重量215gという“折りたたみの常識を覆す軽さ”を実現しながら、2億画素カメラや高性能なSnapdragon 8 Elite for Galaxyを搭載。単なる進化ではなく、“薄くて軽いのに全部入り”という、新しいGalaxy Foldの姿を提示してきた。
本記事では、ディスプレイ・性能・カメラ・使い勝手を中心に、2ヶ月間のリアルな使用感をお伝えする。「折りたたみはまだ早い」と思っている方にも、ぜひ読んでほしい一台だ。
Galaxy Z Fold7は薄くて軽い!競合と勝負できるハードウェアを備えてフルモデルチェンジ
Galaxy Z Fold7は現時点の折りたたみ端末として最も完成度の高いスマートフォンのひとつ。従来のコンセプトを完全に一新して、大画面、高性能なカメラ、薄型軽量化を全て入れこんだ「Ultra」なスマートフォンに近い存在へとアップデートされた。
特に4.2mm、閉じた状態でも8.9mmという驚異的な薄さ。横に折りたためるスマホでは世界最軽量の215gという、一般的なスマートフォンと同じレベルの重量感に仕上げてきた。強力なマルチタスクや高い基本性能をはじめ、課題だった折りたたみ機構も改善され、より魅力的な製品に仕上がった。ボディの薄型化、軽量化も基本的なスペックは下記の通りだ。
SoC:Qualcomm Snapdragon 8 Elite for Galaxy
メモリ:12GB
ストレージ:256/512GB/1TB
メインカメラ:2億画素 f1.8
超広角カメラ:1200万画素 f2.2
3倍望遠カメラ:1000万画素 f2.4
フロントカメラ:1000万画素
フロントカメラ:1000万画素(カバー画面)
カバー画面:6.5型Dynamic AMOLED FHD+解像度
メイン画面:8.0型Dynamic AMOLED 2X QXGA+解像度
120Hzリフレッシュレート対応
バッテリー容量:4400mAh
OS:Android 16 OneUI 8
Galaxy Z Fold7では前作のコンセプトをガラッと変え、グローバルトレンドである「薄型軽量」「大画面」にフォーカスしてきた。従来のFold6も240g以下に抑えるなど軽量化に取り組んでいたが、軽量化を進めるハードウェアで先行する中国勢に引けを取る面も多かった。
今回はその中国勢に真っ向勝負を挑んだ。画面サイズはGalaxy Z Fold6から一回り大きい8.0型、カバーディスプレイも6.5型へと大型化され、より一般的なスマートフォンに近い見た目となった。


そして発表会でも度肝を抜いた点が「薄型、軽量化」だ。Galaxy Z Fold7は厚さ4.2mm、閉じた状態でも8.9mmという驚異的な薄さを実現。これは先行したOPPO Find N5やHONOR Magic V5に全く引けを取らない。
横に折りたためるスマホでは世界最軽量の215gという重量にも驚き。一般的なスマートフォンと同じレベルの重量感に仕上げてきた。2025年では210g台の機種としてvivo X Fold 5(217g)、HONOR Magic V5(218g)が登場したものの、特定の構成、カラーのみの重量とした。Galaxyはどの色ま構成を選んでも全て「215g」としている。



実のところ筆者は発表会に先立って行われたGalaxyの内覧会にも参加したが、この時点でジャーナリストや評論家の方々からもこの重量を説明された時は思わず声が出たくらいだった。筆者も短い時間の中で当時世界最薄のOPPO Find N5と比較しながら触ったが、すぐにでも欲しくなったくらいだ。

Galaxy Z Fold7は待望のディスプレイ大型化。でも失ったものも
Galaxy Z Fold7の大きなアピールポイントはディスプレイの大型化だ。画面サイズはGalaxy Z Fold6から一回り大きい8.0型、合わせてカバーディスプレイも6.5型へと大型化している。
120Hzのリフレッシュレート対応に加え、サムスンらしく自社製のAMOLEDパネルを採用し、高輝度で視認性の高いディスプレイを採用。偏光板レス仕様によって発光効率がよく省電力性能にも優れるという。


実際に使ってみると、屋外で使用した時の画面の視認性は抜群に良く、ちょっと前の折り畳みスマホに感じた「外で見にくい」といったシーンはかなり少なくなっている。またヒンジ機構も一新されたおかげで、以前よりも折り目がかなり抑えられている。もちろん触ればわかるものの、以前よりヒンジ部分の段差が少ない印象だ。

そんなGalaxy Z Fold7だが、前作までのGalaxy Z Foldシリーズから失われた要素がある。それが画面内にカメラを埋め込んだ「アンダーディスプレイカメラ(UDC)」とスライタスペンへの対応だ。
どちらも薄型軽量化した関係で実装が難しくなったとメーカー広報より説明を受けた。これは先行したスペシャルエディションでも同様。それもあってか後発のHONOR Magic V5ではペン対応をアピールしている。
正直、スライタスペンも1万円以上する別売のオプションであり、欲しい人以外は使わなかったことも事実。筆者はなくても困らない派だったが、ペン対応を理由に選び続けてきたユーザのことも考えると悩ましい部分。
またアンダーディスプレイカメラについては、nubiaのような「本当に目立たないカメラ」もできない上に、カメラの高画質化(400万画素)もできなかった。このため、せいぜいビデオ会議程度にしか利用できなかったことも事実。
今回はこの機構を廃止した代わりに、インカメラの性能も1000万画素となり、従来よりも明るくはっきり撮れるなど大幅に進化。展開した大画面で複数人でセルフィーを撮ったりする場面には非常にありがたい進化だと言える。中途半端なUDCを積むならこちらの進化の方が望ましいと感じた。

Galaxy Z Fold7は性能は向上!薄型化ゆえに長時間のゲームは厳しい結果に
Galaxy Z Fold7の核となるプロセッサはQualcomm Snapdragon 8 Elite for Galaxyが搭載されている。折りたたみ端末でもGalaxy S25シリーズ同様の高性能なプロセッサが採用されているのだ。
レビューしてる機材についても、パフォーマンスに不満はない。冷却機構では不利になりがちな折りたたみ端末でも、重量級のゲームは余裕で動作する。一方で軽量化のためにベイパーチャンバーは廃されたため、以前の機種よりも余裕がない点は惜しい。






高負荷な崩壊スターレイル、学園アイドルマスターも快適に動作する。最新のプロセッサを搭載していることで、本体の発熱もかなり抑えられているものの、ベイパーチャンバーが廃されたことで30分以上の長時間のゲームは厳しいようにな感じだ。
本体スピーカーはステレオ構成。大型のスピーカーを採用しているので、スマホのスピーカーにしては音質も良い。薄型化してもこのあたりがGalaxy Z Fold6からしっかり進化している点はすごいと感じた。
電池持ちはGalaxy Z Fold6比較で向上。プロセッサの刷新、省電力部品の採用で消費電力が抑えられているのだ。 実際、動画視聴に関してはより大容量のバッテリーを備えるOPPO Find N5(5600mAh)が1時間の動画再生で11%消費したことに対し、Galaxy Z Fold7(4400mAh)では7%の消費にとどまった。
本体の最適化も終わってこなれたタイミングにはなると思うが、原神のようなゲームを2時間遊んだり、30分の動画撮影などを加えても、モバイルバッテリーなしで1日利用できた。
Galaxyと言えば「One UI」というカスタムUIを採用している。競合するAndroidスマートフォンよりもカスタム度が高く、中国メーカー機とiPhoneのいい所どりをしたようにも見える。この辺りの完成度の高さもあって非常に満足度の高い仕上がりだ。特に折りたたみ端末に関しては、Galaxyが無類の強さを持つ秘訣と言える部分で、競合他社の折りたたみ機種を使ってみてもソフトウェアの使いやすさでは右に出る機種がいないのだ。


マルチタスクについては他社の追従を許さない仕上がり。複数のアプリをただ動かせるだけでなく、柔軟に配置したり、自由なウィンドウサイズで動かすことが可能。一部機能特化の折りたたみスマートフォンはハードウェア的にもバランスが悪い機種が多いなか、ソフトウェアを含めた全方面に強いのはGalaxy Foldシリーズの強みだ。


フレックスモードでは専用UIになるアプリもある。それ以外のアプリでも操作画面やトラックパッドを表示することが可能だ
Galaxy Z Fold7のメインカメラは2億画素に強化!普段使いでも綺麗に撮れる
Galaxy Z Fold7ではカメラ性能も強化された。メインカメラは2億画素へアップデートされ、2倍ズーム時の画質劣化を抑えた。この他には1200万画素の超広角、1000万画素の望遠カメラを含めた3眼カメラだ。
ソフトウェアの最適化、プロセッサのISP性能が向上した関係で従来よりもズーム時の処理が自然になる等の進化をアピール した。

以下Galaxy Z Fold7での作例となる。基本的にオートで全て撮影している。





ここまではデフォルトの広角での作例だ。以前よりもGalaxyらしい青は抑え目ながらも、彩度やディティール処理がやや強めのチューニングで、簡単に映える写真が撮れることが特徴。
フォーカスエンハンサーによって、焦点距離や被写体に応じてメインセンサーとフレキシブルに切り替わる。これを利用すると、撮影時のミスはかなり少なくなっていると感じる。



3倍望遠はモノ撮りやフードフォトで使うと効果的だ。「ちょっと寄りたい」という時には重宝する画角となり、様々なシーンで利用できる。


超広角はダイナミックに情景を切り取れる。Galaxyの場合は広角端が広く、手ぶれ補正も優秀な点が特徴だ。こちらもフォーカスエンハンサーによって、シチュエーションに応じて標準カメラから自動的に切り替わる。シーン検出によって推奨してくる場面もある。




正直、今まで使ってきた折りたたみスマートフォンの中でも、綺麗に撮影できる印象だ。動画撮影も切り抜き処理は入るものの、非常に優秀な手ぶれ補正が備わっている。普段使いでは文句なしの撮れ具合と言える。
Galaxy Z Fold7は全方面で妥協なき折りたたみスマートフォン。高価な価値も十分に感じる仕上がりに
Galaxy Z Fold7というスマートフォンを2ヶ月間使ってきたが、筆者的には「最強の折りたたみスマホ」の決定版と評価できる確信に至った。他各社の折りたたみスマートフォンは、基本的にGalaxy Foldが持ち合わせないものを強化する方針で、例えばカメラ性能を強化したOPPO、軽量化をアピールするHONORなどが鎬を削る。
他社が「選択と集中」を図って得意分野を強化する中、折りたたみスマートフォンの覇者とも言えるサムスンから発売されたのは、大画面化、薄型軽量化、UIの成熟。何をとっても現時点でトップを走るスマホだった。
特にハードウェアでは中国勢に引けを取るだけと言われていた要素を一気にひっくり返し、重量で言えば世界最軽量に仕上げてきたのだ。折りたたみ端末としては数少ないIP48防水防塵対応であり、7年間のOSアップデート提供を予定していることもプラスだ。そして何より、このスマートフォンの本当の良さは「スペック表から見えてこないところ」に良さがある。
加えて、マルチタスク制御やタブウインドウ関係、各種アプリの最適化やDeXへの対応なども他社のスマートフォンとは異なる。デカい画面をコンパクトに持ち歩けるだけでなく、「デカい画面をどう活かすか」「コンテンツをどう使わせるか」と言った体験にも力を入れているのだ。
この辺りはカタログスペックだけでは見えてこないので、実際に使ってみてわかった感想だ。加えて、本体のアップデートもセキュリティパッチ配布までカウントすると7年間行うとしており、iPhone並の手厚いサポートも付加価値となっている。

筆者としてはGalaxy Z Fold7は今、間違いなく「買い」と声を大にして言えるスマートフォンのひとつだ。その一方で、価格は定価で約26万円と決して安いものではなかったが、それに見合う価値を持ち合わせている。日本向けではFeliCaにも対応するなど、国内向けに使いやすくまとまっている。複数容量を選択できたり、直販モデルも展開されるなど日本での注目度も高くなった機種だ。
さて、上記でも記してきたように、Galaxy Z Fold7でしか出来ない体験があることもまた事実だ 。筆者としてはこのスマートフォンを手にして、今現在における究極の折りたたみスマホを体験して欲しい。

