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Technics EAH-AZ80 レビュー ニュートラルなサウンドに驚く。全方位で強いイヤホン

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 この夏に満を持してTechnics(パナソニック)より登場し完全ワイヤレスイヤホン。その中でもLDACに対応し、新型の大口径ドライバーによってさらに高音質を目指したEAH-AZ80を今回レビューしてみる。

目次

Technicsから3万円クラス!待望のフラッグシップイヤホン

 市場競争が過熱する完全ワイヤレスイヤホン。そんな中、日本でも発表段階から大きく注目されていたTechnicsブランドのハイエンドイヤホン「EAH-AZ80」が満を持して発売された。

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箱はコンパクト。カラーはブラックとホワイトの2色展開

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本体はAZ60とは異なるデザインで、同社の上位モデルとして位置づけられる

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充電ケースは蓋が金属製、下部は樹脂製。素材差が明確に出るので、価格帯を考えるとチープ感は否めない。

 EAH-AZ80の対応コーデックはSBC/AAC/LDACに対応している。LDACではハイレゾ相当となる24bit/96kHz再生も可能なため、より高音質での再生が可能だ。

 コーデック面ではトレンディなところを押さえるが、核となるオーディオ面については、10mm口径のアルミ振動板を採用したドライバーユニットを採用している。これには振動板周囲を柔らかいエッジで支えるフリーエッジ構造を採用。幅広い周波数帯域で色付けのないきめ細やかな再生と広いサウンドステージを実現したとのことだ。

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EAH-AZ80にて採用される10mm径のアルミ振動板採用のドライバーユニット

 これに加えて「ハーモナイザー」「アコースティックコントロールチャンバー」と呼ばれる音響機構を採用。どちらもドライバーユニット付近の空気の流れを制御する物理的機構となり、これによって理想的な帯域バランスを達成することができた。

ニュートラルなサウンド。こんな音が完全ワイヤレスで聴けることに驚き

 前述の通り、オーディオハードウェアには抜かりないEAH-AZ80。サウンドにも妥協はないとのことなので聴いてみることにする。今回の試聴曲はこちら

ラブライブ!虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会より  Feel Alive/R3BIRTH

Friends-時空を超えて-/リン・ミンメイ(飯島真理)×ミレーヌ・ジーナス(櫻井智)

PARADOX/雨宮天

スロウリグレット/田所あずさ

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今回の試聴環境はスマートフォンにソニーのXperia 1 Vを使用し、LDACの環境で使用する。この機種ではストリーミング環境でも単独で24bit/96kHz環境の再生が可能だ。

 EAH-AZ80を実際に聴いてみると、完全ワイヤレスイヤホンとは思えない高品質なフラットと評すべきニュートラルなサウンドが体感できた。これには筆者も驚くばかりだ。

 高域のキラキラ感はやや抑え目ではあるものの、抜けの良さはある。解像感の高いボーカル、量感のある質の良い低域、空間表現の巧さは特筆できる。

 ヴォーカルの表現は柔らかくシルキーと言うべきか。艶やかではないが、生き生きとした様子を感じ取ることができる表現が適切かと思う。また、ハイ上がりと言ったものを一切感じさせないパワフルな出音に驚くばかりだ。

 細やかな表現についてはコーデックに大きく依存する。伸びやかな高域や芯のある低域を体験したいのであれば、LDACでの利用を強くオススメする。完全ワイヤレスイヤホンでここまで鳴らせるのであれば上出来すぎる。

 最初に「スロウリグレット」を聴いてみる。透き通るヴォーカル、高域の広がりも感じ取れるサウンドであることがわかる。解像感の高さから目が覚めるような感覚も味わえ、塞ぎ込まれたような窮屈さや過度な濃密さと表現されるものはない。

 続いて「PARADOX」を聴いてみる。疾走感のあるメロディに弾むビートがこのイヤホンではより際立つ印象だ。低域のレスポンスが良いので、まさに弾むように刻んでいく様もあって、筆者としてはこの曲を聴いたときが「AZ60との大きな差」を体感できた。

 曲を「Feel Alive」に変えてみる。低域のレスポンスの良さ、空間表現に関しては高く評価したい。かなり低域が効く楽曲となるが、解像感を持ちつつボーカルなどには被らない。やはり、この解像感とレスポンスの良さは、アルミコート振動版を採用したドライバーユニット点が生きていると感じられる部分だ。

 最後に「Friends-時空を超えて-」を聴いてみる。ベースラインのどっしりとした芯がありながら、一歩前にでるようなシルキーなヴォーカルの表現が気持ちいい。このような楽曲との相性が良いように感じた。

 ここまで聴いてきて、EAH-AZ80のサウンドクオリティはかなり高いことが分かる。さすがに有線のイヤホンには劣るが、LDAC環境であれば有線環境に近いところまで来ている。

 また、フィット感も良好な仕上がりだ。大柄な本体ながら耳のくぼみ(コンチャ)に綺麗に収まる設計となっており、しっかりと耳に収まる。この辺りは前作のAZ60よりも良好な仕上がりだ。

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イヤーピースも7サイズ同梱されるなど、フィット感にはかなり注力されている

トリプルペアリングが便利すぎる!サウンド以外の特徴もチェック

 さて、音質についてはこの辺りにして、ここからはマイクの品質や操作性について書いてみる。EAH-AZ80では音質重視の構成ながら、機能面にも抜かりはない。ノイズキャンセリング、外音取り込み機能もしっかり備え、アプリからの調整も可能だ。

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EAH-AZ80の各種設定はアプリから行うことができる。ここでは、各種モードの切り替えイコライザーの設定のほか、タッチセンサーのカスタマイズを行うことができる。

 通話音質も良好だ。ノイズリダイレクションによってノイズを抑えて通話が可能。また通話相手の環境音ノイズをソフトウェアで抑えることも可能となっており、ふたつあわせて快適な通話を可能としている。音声アシスタントとしてGoogleアシスタントだけでなくAmazon Alexaを呼び出すこともでき、Alexa build inの認証も取得している。

 音以外の部分もしっかり評価したい。この機種の特徴としてはIPX4相当の防滴対応に加え、接続のしやすさも特徴。Google Fast PairやWindows PCのSwift Pairにも対応しており、煩わしい設定などは不要だ。

 筆者が最も惹かれたものは業界初のトリプルペアリングだ。名前の通り3台の機種との接続が可能で、メーカーとしてはリスニング用の音楽プレイヤー、ビデオ会議用のパソコンやタブレット端末、通話用のスマートフォンの3機種の接続を想定している。

 端末間の切り替えも非常にシームレスに行うことができた。一方で、このモードで接続した場合はLDACコーデックが利用できなくなる点には注意してほしい。

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筆者は通話用の携帯電話を3台保持しているため、トリプルペアリング可能なEAH-AZ80はまさにピッタリな存在だ

 EAH-AZ80はバッテリーは本体で最長7時間、ケース併用で24時間の連続再生が可能になっている。LDAC接続時は4.5時間となるが、これでも体感的な電池持ちは比較的良い部類に入る。

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ケースはコンパクトで、ワイヤレス充電にも対応する

完全ワイヤレスイヤホン史上最強クラスの高音質。3万円台の価格も納得

 さて、今回レビューのEAH-AZ80というイヤホン。依然として市場で評価が高いAZ60を超える「フラグシップ」を目指した音質特化の商品だ。筆者としては、ワイヤレスイヤホンでこの音が聞けるとは正直、思ってもみなかった。過去にいろいろなものを聞いてきたが、ここまでニュートラルな音作りとしたイヤホンは有線無線問わず多くない。

 このように書くと「モニター」のような音作りで「つまらない音」と思われる方もいると思うが、決してそんな事は無い。ディップやピークの設定が非常に考えられおり、長時間のリスニングでも聞き疲れさせない。その上で、音楽の必要な部分は余す事なくしっかり表現する良い音作りをされたイヤホンだ。

 ただ、AZ60とは音の方向性がかなり異なるので、好みに合わない方もいると思われる。よりニュートラル(モニターライク)になったこちらのサウンドの方が、筆者としては好みに刺さった。

 この上で、アクティブノイズキャンセリングや外音取り込みと言った近年トレンドの機能もしっかり備える。他社で見かける「音だけに極振りした製品」ではないことをうかがわせる。

 加えて、トリプルペアリングや高度なノイズ、キャンセリング、高音質な通話機能もこの商品の大きな特徴だ。特にトリプルペアリングは、現時点でテクニクスのイヤホンでしか利用できない機能なので、これを目的に選ぶなら本機種並びに同時発売のEAH-AZ60M2の2択となる。

 そんなEAH-AZ80の価格は3万6800円。完全ワイヤレスイヤホンとしては高価なものとなるが、その価値に見合った音質、機能面、通話品質を備えた傑作と言える商品だ。

 最後になるが、筆者としても、今年発売された完全ワイヤレスイヤホンの中でEAH-AZ80は上位3位に入るレベルの高音質な商品だ。Noble Fokus Mistiqueのように音に極振りした製品もあるが、使い勝手や独自の機能といったところもしっかり配慮されている点で選ぶなら本機種となる。

 完全ワイヤレスイヤホンにとことん高音質を求める方は、今年最注目製品のひとつであるTechnicsのイヤホンをチェックしてみてはいかがだろうか。

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