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さようなら”ホームボタン” なぜこのタイミングで全画面の新型iPhoneが出たのか考える

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 AppleはiPhoneの新モデルiPhone 16eを発表した。今作ではホームボタンが廃止されたほか、iPhone SEシリーズではなく、あくまでiPhone 16の廉価モデルという立ち位置の端末となった。

 プロセッサにはiPhone 16と同じA18(GPU4コア仕様)を採用。より高効率に通信できる独自設計の通信モデム「C1」を採用。Apple Intelligenceにも対応するほか、人工衛星を用いた緊急SOS発信にも対応する。価格は日本向けで税込9万9800円から

目次

なぜこのタイミング?新型iPhoneが出た理由を考える

 さて、なぜAppleはこのタイミングでiPhone SEに代わる新型を発売したのだろうか。大きな理由としてふたつ考えられる。まずは欧州地域向けのlightning端子に対する規制が大きな理由だ。この端子は実質iPhoneとiPad専用(後に一部周辺機器も対応)であったものの、他社製品にまで波及することはなかった。

 欧州では自社規格ながらもiPhoneの普及を受けて「選択を強制させる」としてlightning端子を規制し、USB Type-C端子への共通化を明文化した。これを受けてiPhoneでは2023年以降の端末からUSB-C端子に切り替わっている。
 iPhone SEは現行品において最後のlightning端子を持つスマホということもあり、欧州方面の規制に準拠する以上、早急なハードウェアの変更が必要だった。

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lightnig端子は小型化し、向きを気にせずに使えるという、当時としては革新的な利点を備えていた

 もうひとつの目的はApple Intelligenceの起爆剤だ。Appleが力を入れるAI機能だが、現時点で利用できる端末はかなり少ない。iPhoneでもiPhone 16シリーズ、iPhone 15 Proシリーズとここ2年以内に登場した機種に限られる。

 このラインナップに比較的廉価なiPhone 16eが加わることで、Apple Intelligence対応端末がよりお求めやすい価格で手に入る。まさに普及の鍵を握っている存在なのだ。
 AppleとしてもApple Intelligenceに対応するラインナップを拡充させることが先決のようで、最新のiPad miniはハードウェアの仕様は大きく変えず、A17 Proチップを搭載してまでAI機能に対応させている。

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iPhone 16eはApple Intelligenceに対応する

 意識している地域はやはり日本が考えられる。日本でのApple Intelligence対応は2025年の4月とアナウンスされており、iPhone 16eの投入タイミングからすぐに対応する。やはり、iPhoneが多く普及している地域で「Apple Intelligence」を普及させる起爆剤としての役割が大きそうだ。

 これは前作のiPhone SE(第3世代)が「5G通信対応への起爆剤」として投入されたことを考えると、今回のiPhone 16eがApple Intelligence普及の起爆剤という理由は至極真っ当な話なのだ。

さようなら”ホームボタン” これも時代の変化か

 最後になるが、今回のiPhone 16eの登場によって、Appleの端末からホームボタンを備えたスマートフォンが消えることになる。初代iPhoneから続くデザインアイデンティティのひとつであり、iPhoneをイメージ付ける大きな要素だっただけに無くなることは惜しい部分もある。

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iPhoneと言ったらこのホームボタンを連想する方も少なくない

 その一方で、iPhone SE(第3世代)はiPhone 8から続く筐体に5G対応チップを載せているものの、基本的な構成はiPhone 8から。筐体サイズ感は2014年発売のiPhone 6から変わらない。

 スマートフォンとして評価しても「令和のガラケー」「スマホ界のシーラカンス」と評されるほど、トレンドから大きく外れたところにいる機種であったことも事実。

 今思えば、2017年発売のiPhone 8をそのまま5G対応させたようなスマホであり、Appleというブランド力がなければ消費者に受け入れられることはなかっただろう。

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iPhone 8の要素そのままにアップデートされているのがiPhone SEだった

 iPhone SE(第3世代)は5G通信対応とはいえ、輝度が低く直射日光に弱い4.7型、16:9比率の液晶パネル。画面上下の大きなベゼルという構成はコンテンツを楽しむ上でもマイナス要素になる。

 その点、新型のiPhone 16eはFace IDを採用した全画面モデルに。ディスプレイもiPhone 14シリーズと同じものになったので、画面占有率、性能共に大きく向上した。これには小型液晶を採用していた携帯電話の多くが有機EL(OLED等)に移行していることもあり、液晶機種のほうが希少になっていることも考えられる。それに伴って生産しているメーカーも少なくなっており、今後の調達はむしろ高コストになるのではないかと考える。このタイミングでの全画面化(OLED化)は適切だと考える。
 Apple Intelligence対応は廉価帯のiPhoneとしては大きなアップデート要素であり、最新のAI機能をしっかり利用できる。これに伴って基本性能もiPhone 16シリーズと同じレベルまで向上させた。

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iPhone 16eはフルディスプレイ

 性能を下げてまで安価に提供しなかった背景には、欧州や米国の一部州で規定される「発売後のソフトウェアアップデート提供期間」に配慮したと思われる。特にEU圏の端末の販売終了から5年間のアップデート提供が必須という項目が大きく、この部分が旧チップを採用しなかった理由と考える。

 iPhone 16eは上位機種同様に衛星通信SOSに対応するなど、日本でも購入してから少なからず4年間は安心して使うことができるだろう。

 USB-C端子への変更は欧州方面での規制対応に加え、多くの外部アクセサリーが使えるなど利便性の向上にも一役買っている。正直、iPhone 16eはこれから買う初めてのiPhone、Apple Intelligenceを体験したいというユーザーにはこれ以上ないくらいにおすすめな仕上がりなのだ。

 もちろん、ホームボタンに備える指紋センサー(Touch ID)が無くなることを受け入れられないという声も出るだろう。ただ、初のFace IDを採用したiPhone Xの登場から8年を迎えようとしている。
 その間にFace IDも進化しており、マスク着用対応に加え、認証精度も大きく向上している。そろそろ利用する我々も「時代の変化」と受け入れるべきだと考える。

 最後になるが、筆者としてはiPhone 16eは買う前に少し考えてみて欲しい。Apple Intelligence対応と大きいものの、MagSafe(急速ワイヤレス充電)に非対応であったり、超広角カメラを備えないというコストカットも見られる。
 2万円ほど足せば上位のiPhone 16が買えることを考えると、iPhone 16eはコストパフォーマンスが良いとは言い切れない。為替等の影響や最低容量が128GBと大きくなったことも要因にあると思うが、安くなくなった事は事実だ。必要に応じて慎重に選ぶことが大切だと考える。

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