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Google Pixel 10はゲームに不向き?前作以下の性能に10万円超えの価値はあるのか

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 スマートフォン市場において「ハイエンド」と呼ばれる領域は、おおむね10万円を超える価格帯に属する。Snapdragon 8シリーズを搭載したAndroidフラッグシップや、AppleのiPhoneシリーズなどがその代表格だ。これらの製品は、最新のカメラや美しいディスプレイだけでなく、重量級ゲームも快適に動かせる処理性能を備えていることが前提とされてきた。

 一方、同じ価格帯に位置するGoogle Pixelシリーズは、カメラやソフトウェア体験で高い評価を得ているものの、ゲーム用途となると「不向き」という声が少なくない。なぜ、Pixelはゲームで満足度が低いのか。その背景を整理してみたい。

目次

Pixel 10には刷新されたTensor G5を採用。GPU性能の低さ、最適化不足からゲーム性能は前作以下に

 Pixel 10シリーズには新型プロセッサ「Tensor G5」を採用。前世代のTensor G4比較でCPU性能、AI処理を担当するTPUの性能の向上、3nmプロセス製造によって過去最高性能をアピールした。過去の傾向からも、向かないと指摘されるゲーム性能も微増ながら進化していると思われた。

Googleの最新スマホ「Pixel 10 Pro」

 しかしその一方で、基本性能は価格的にも競合するSnapdragon 8シリーズやMediaTek Dimensityのハイエンドスマホに比べて大きく劣ることが判明。

 特にPixel 10シリーズのゲーム性能は前作のPixel 9を下回るレベルで低い。今回よりGPUにARM Maliではなく、採用例が極めて少ないPowerVRを採用。ドライバーの最適化不足、ゲーム側の対応の遅れによってPixel 9やPixel 8といった旧機種よりもパフォーマンスが出ず、一部ゲームでは不具合も確認できる状態となっている。

Pixel 10 Proで15分ほど原神を遊んだら30fps前後までフレームレートが落ちた
学園アイドルマスターでは高画質設定でも30fpsを下回る。同設定のPixel 9なら50fps以上で遊ぶことができる

ゲームに関しては5年前のハイエンドスマホと同等クラスの動作感。古い機種から乗り換えても動作が改善していないと感じてしまう。

 ベンチマークの結果、Tensor G5はGPUのドライバーが最適化されていない関係からか、発売時点で米国制裁を受けているファーウェイのプロセッサよりもパフォーマンスが出ていない。現時点のGPU性能は5年前のハイエンドスマホ程度に留まり、5万円前後で販売されているコストパフォーマンス重視のスマホよりも劣る。

Google Pixelの設計思想と「10万越えのスマホ」に対する利用者の認識に食い違いも

 では、Googleはなぜゲーム性能を重視していないのか。答えはシンプルで、ターゲットとしていないからと考える。Pixelはあくまで「AIと写真でユーザー体験を革新する」ことが目的の製品群であり、重いゲームを快適に動かすことは優先事項ではない。

 最大の理由は、Googleが独自に設計した「Tensor」チップにある。Pixel 6以降、GoogleはSnapdragonから離れ、自社のビジョンを反映したSoCを搭載するようになった。TensorはAIや機械学習の処理を高速化する設計が特徴で、写真のHDR合成や夜景撮影、リアルタイム翻訳、音声認識といった場面でその真価を発揮する。

 つまり、Tensorは「AIや写真のためのチップ」であって、「ゲームを快適に動かすチップ」ではない。Google自身も、Pixelを「ゲーミング」の性能をアピールしていない。

 ただし、ここに利用者の認識の違いがある。Pixel 10シリーズの価格が10万円を超える以上、ユーザーは「すべての面で妥協のない性能」を期待する。ゲームも動画編集も写真も、すべて高次元でこなせるのが当たり前だと思ってしまう。ましてや、Pixel 6などの頃に比べたら大きく値上げしていることもあり、潜在的に期待値を高めている。

 一定のシェアを持つ日本ではiPhoneやGalaxyと同じくらいGoogle PixelもテレビCMを放映、各種街頭広告の掲載も行っている。通信キャリアでもiPhone並の売り場待遇でアピールされている。ハイブランド志向をアピールしていることもあり、iPhoneやGalaxyと同じくらいのことができるものと思われる方も少なくない。

ショップでも大々的にアピールされる

 しかしPixelは、そのような利用者の期待に必ずしも応えない。対照的に、同価格帯のSnapdragon 8シリーズ搭載機は「カメラもゲームも妥協なし」というバランスを実現している。iPhoneやGalaxyと比べれば、Pixelのゲーム性能が割高に見えてしまうのも無理はない。

 現実には、Pixelは「一部の領域に極めて強く、他は並程度」という設計思想で成り立っているため、その期待とズレが生じやすいのだ。

今回もゲームは不向き。Pixel 10シリーズはソフトウェアアップデートに期待

 結局のところ、Pixelを買うかどうかは「自分がスマホに何を求めるか」で決まる。もしあなたが最新の3Dゲームを高画質で長時間プレイしたいなら、Pixelは最適解ではない。とは言え、10万円を超えるスマートフォンとしての最低ラインのパフォーマンスは持ち合わせてほしいもの。ゲームを重視しない設計思想とはいえ、プロセッサを刷新しながら前作の「Pixel 9でできたこと」ができないのはどうかと思う。

 Pixel 10シリーズは現時点のGPU定格クロック周波数がかなり低いこと、採用例が皆無のGPUということもありコンテンツ側の最適化も全く追い付いていない。クロック周波数の低さはGPUのドライバ更新で改善、パフォーマンスが向上する可能性はあるが、アプリの最適化はまだまだ時間がかかりそうだ。現時点でも気になる本体の発熱が改善するとは思えない。せめてものPixel 9シリーズよりも快適に遊べるよう、ソフトウェアアップデートに期待したいものだ。

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