Galaxy S25 EdgeはプロセッサにSnapdragon 8 Elite for Galaxyを採用。カメラは2眼となったが、メインカメラに2億画素のイメージセンサーを採用。Galaxy S25などより上位の構成とした。ディスプレイは6.7型とGalaxy S25+に近いサイズながら厚さ5.85mmまで薄型化した。重量も163gにまで軽量化を果たしている。価格は米国向けで1099ドルからとしている。

Galaxy S25 Edge(MWC Barcelonaにて展示されていた模型)
わずか3900mAh。スマホの薄型化はバッテリー容量を減らす言い訳にはならない
Galaxy S25 Edgeは6.7型ディスプレイと2億画素カメラを採用。5.85mmまで削ぎ落とした薄型ボディは163gという軽さを実現。一見理想的な進化に見えるが、バッテリー容量は3900mAhとかなり控えめだ。
これは公称スペックにも現れており、本機種の連続動画再生時間は24時間としている。これはGalaxy S25の29時間よりも少なく、3年前のGalaxy S22+の22時間と大きく変わらない。これでは、メーカー直々に本機種が目に見えて電池持ちが良くないと言っているようなものだ。
充電速度も25Wと昨今の1000ドルオーバーのハイエンド機とは思えないほどゆっくり。この点はGalaxy S25と同じスペックであり、バッテリー容量が少ないことから実使用にはあまり影響しないと考える。正直なところ、現在のスマートフォンにおいて、薄型軽量化はバッテリー容量を減らしてもよいという言い訳にはならないと考える。
それは中国勢のスマートフォンを見ると明らかだ。OPPOやXiaomi、vivoもGalaxy S25とほぼ同じサイズの小型スマホを発売したが、バッテリー容量は軒並み5000mAh以上と大容量な構成だ。これらの機種のうち、Xiaomiはグローバル展開も行っている。従来のような「本体が小さいからバッテリー容量は少ない」という固定観念を壊しに来ている。
薄型のスマートフォンにもバッテリー容量には妥協はない。一例としてTECNOがMWCで展示した「SPARK Slim」は5.75mm厚のボディに5200mAhのバッテリーを収めるなど、薄さと大容量バッテリーを両立している。

vivo X200 Pro miniはコンパクトながら5700mAhの大容量バッテリーを備える


TECNOはMWCにて動作する実機を展示。モックのみの展示だったサムスンを牽制した
5.75mm厚に5200mAhのバッテリー、45Wの急速充電にも対応する
これらをみていると、薄型化してもバッテリー容量を削る理由にはならないことがわかる。公称スペックからも、薄いだけで電池持ちが良くないことが分かりきっているスマートフォンに対し、どれだけのユーザーが付いてきてくれるのだろうか。
なぜ?サムスンが今薄型スマホを出さなければならない理由とは
なぜ今、サムスンはこのタイミングで薄型スマホを投入するのか。その背景には二つの狙いがあると考える。一つは市場での差別化。スマホの進化が鈍化する中、物理的なデザインの変化で注目を集めたいという思惑を感じられる。
もう一つは、各方面で噂される薄型iPhoneへの対抗措置と考える。Appleが新モデルを出す前に、先手を打って市場での優位性を確保する戦略といえる。
Galaxy S25 Edgeは、こうした潮流に対し「マイナスの進化」ともいえるアプローチを取った。バッテリー容量の限界を「薄さ」で覆い隠し、今発売することで「5G時代の薄型スマホ」として先行して次回作までの時間を稼ごうというものだ。
しかし、近いうちに高密度バッテリーを武器にする中国勢に追い抜かれるのは必至とみている。これは前項のTECNO SPARK Slimなどを見れば明らかだ。サムスンが踏みとどまるには、競合と同じ高密度バッテリーの採用に踏み切るか。自社製の低消費電力に優れるディスプレイやチップセットの採用、高度なソフトウェアの最適化を用いて容量が少ない分を穴埋めするしかない。
最後になるが、現在のスマートフォンには「手に馴染む」サイズ感や重量バランスがトレンドになりつつある。Galaxy S25 Edgeのような薄型スマホはそのような場面で、大画面でも軽量な端末としてアピールできるはずだ。王道になるかはわからないが、それに近い進化の方向だと筆者は考える。
一方で、Galaxy S25 Edgeは、技術の進化がもたらした“薄さ”を象徴する存在であると同時に、バッテリーと性能のバランスに課題を残すモデルになってしまった。
重ねてにはなるが、薄いだけで電池持ちが良くないことが分かりきっているスマートフォンに対し、どれだけのユーザーが付いてきてくれるのだろうか。これからのスタートダッシュが今後のサムスンの「薄型スマホ」の命運を分けそうだ。