Google Driveなどのクラウドストレージに依存せず、自分の環境下で安全かつ効率的にデータを管理したい。そんなニーズに応える選択肢として、NAS(ネットワーク接続ストレージ)の導入を検討する方もいることだ。
様々な製品が登場しているが、UGREENから登場した「NASync DXP2800」は、“はじめてのNAS”としての理想形を体現したモデルとして注目される。
今回はメーカーさんより実機を提供いただいたので、性能面、操作性をレビューしていこう。
導入しやすさと本格スペックを両立したNAS UGREEN NASync DXP2800をチェック
NASync DXP2800は、UGREENが展開するNAS「NASyncシリーズ」のニューモデル。NASyncシリーズでは廉価モデルとなり、家庭用から小規模ビジネス用途まで幅広い活用が可能な2ベイ仕様のNASとなる。
もともとクラウドファンディングで支持を集めたモデルであり、扱いやすさと拡張性の高さが評価されていた。日本でもGREEN FUNDINGにて先行販売を行っていたが、好評につきこのたび一般販売となった。


外観はシンプルで前面にハードディスクベイを備える直方体デザイン。金属製のボディなこともあり、どことなく小型PCのような佇まい。本体サイズは約231×109×177mmで重量は約2.55kg。
本体背面のファンにはメッシュフィルターを備える。こちらはマグネットで着脱可能であり、工具不要なためメンテナンス性にも優れている。


ファンのメッシュフィルターは簡単に外せて手入れも容易だ
ファンの動作音も比較的静かな設計。リビングや書斎など、静音性を求める場所でも気兼ねなく使用できる。
下記はDXP2800の主なスペック。以下の通り
プロセッサ Intel Celeron N5105(4コア4スレッド)
メモリ 8GB DDR5(最大16GBまで拡張可能)
※システム内部に32GBのストレージを備える
対応ストレージ
3.5/2.5インチ SATA HDD/SSD ×2ベイ(最大64TBまで対応)
ネットワーク
2.5Gb Ethernetポート
USB端子
USB 3.2 Gen1 ×2、USB 2.0 ×2、USB-C(3.2 Gen 2)×1
映像出力 HDMI 2.0 ×1(4K@60Hz)
OS UGREEN独自NAS OS(UGOS Pro)

本体前面には電源ボタン、ステータスインジケータとUSB端子が2つ。USB Type-C端子も備えている

背面には3つのUSB端子、LAN端子、HDMI端子を備える
ハードディスクベイは2つあり、ロック機構の部分を押すと取手の部分が出てくる。いずれも3.5インチサイズ


本体にはM.2規格の端子も用意されており、対応するSSDも装着できる。ハードディスク、SSD共にネジなしで簡単に固定、接続できる点はうれしい
不意なHDDの脱着を防ぐためのロック機構も完備
プロセッサはIntel Celeron N5105を搭載、メモリも8GBを備える。本機種では家庭内で想定される複数人でのファイルアクセスや同時バックアップを用途としているが、これらのシーンにはに難なく対応。
HDMI端子をテレビ等に接続すれば、NAS本体に保存した動画等を直接再生できるなど、再生デバイスとしても活躍する。
複数台の機器がつながる環境では性能も必要となるが、この辺は4コアのプロセッサ、8GBのメモリでしっかりカバーできる。
加えて、2.5GbEポートにより、従来のNASよりも高速なデータ転送が可能。動画編集で扱うような無圧縮の大容量データ保存などもスムーズに行える。
セットアップは驚くほど簡単。初めてでも“詰まらない”おうちクラウド
NASと聞くと、「設定が面倒くさい」「PCに強くないと扱えない」と思う方もいるかもしれない。実際筆者もNASをまともに使うのは初めてだ。
端的に言えば、UGREENのNASyncは初心者でもあっさりと設定可能。アプリを使ってものの10分程度で使い始めることができた。
スマートフォンに専用アプリの「UGREEN NAS」を入れたら、NASync DXP2800と同じネットワーク(同じWi-Fi)に接続する。
アプリからNASが見えれば接続可能な状態。タップしてスマートフォン経由からNAS本体の初回セットアップができる。


初回セットアップはスマートフォンのアプリから簡単にできる。筆者のようなNAS初心者でもあっさりとセットアップできた。
ストレージのフォーマットやRAID構成の選択もできる。この手の操作は少々専門的になるが、これもスマホからほんの数回の操作で完了する。RAID 1(ミラーリング)にしておけば、万が一の故障時でも片側のデータが保全されるため、データのバックアップとしても万全だ。
セキュリティ面も充実。NAS製品として初めて「ETSI EN 303 645認証」を取得。また、アメリカの「TRUSTe認証」を取得するなど、安心して使える要素をしっかり備えた。

ホーム画面からディスクの使用状況をはじめ、各種情報にアクセスできる
簡単に「おうちクラウド」を構築できる上に、セキュリティ面もしっかり確保。NASの設定につまづいても、 電話サポートと 2年間の保証にもしっかり対応。安心して初心者にも勧められる。
アプリによる機能拡張でより便利に。NASの機能もカスタマイズ可能
UGREEN NASyncの最大の特徴はNASにアプリやプラグイン形式で機能の追加が行える点。ただの保存領域だけの用途でなく、より便利に使える仕組みが備わっている。
例えばギャラリーの拡張機能を用いれば、写真や動画をスマートフォンのアプリのような操作で閲覧できる。加えて、AIを用いた機能も充実しており、人物識別やテキスト認識も行える。
類似、重複写真の識別やペットの識別機能はGoogle Photoなどのクラウド系サービスが強いが、これがNAS環境でも利用できる点は非常に便利。
ギャラリーアプリはスマートフォンの写真アプリと同じような感覚で利用できる。
他にも多くの機能が追加できる。センシティブコンテンツの自動識別は助かるユーザーもいることだろう
ギャラリーアプリは写真や動画のの自動バックアップはもちろん、契約しているクラウドストレージとの併用機能(Google DriveやDropboxとの同期)も可能。クラウドを用いたハイブリッド環境の構築はもちろん、クラウドストレージからNASへのデータ移行も容易に行えるので、非常に便利な仕様と感じた。
音楽の拡張機能は保存した音楽を自動識別し、プレイリストの作成や連続再生も可能な再生アプリとしても機能する。
この価格帯で高い完成度。コスパの高いNASを求めるならUGREEN NASync DXP2800は“買い”
UGREEN NASync DXP2800は、初心者にありがちな「NASは難しい」「設定が面倒」といったイメージを覆し、機能面をユーザーがカスタマイズできる製品だった。
製品をお借りした身ながら、今のNASはアプリによる連携もシームレスで、データの確認も簡単に行えた。ここまでユーザーフレンドリーな製品へと進化したのかと実感した次第。
アプリ方式を用いたNAS本体の機能追加による拡張性の高さ。スマートフォンアプリからの操作性の高さ、設定の容易さを備える。初めてのNASとしてはもちろん、業務用の小規模バックアップシステムとしても利用できそうだ。
今回レビューしたNASync DXP2800はストレージ別売で、55,880円(税込)の設定。
今回は発売記念セールも行われており、メーカー直販ストアでは15%オフの4万7498円、Amazonでは5882円引きのクーポン使用で4万9918円と5万円を切る設定となっている。
本機種はあくまで「本体のみ」の価格であり、使い始めるにはHDDやSSDを別途用意する必要がある。ストレージのことを考えると決して安い価格ではないものの、エントリーモデルのDXP2800でも最大で64TBのストレージ構成にできる。
例えば年額1〜2万円のクラウドストレージ(2〜5TB)を契約している方なら、本機のようなNASへ乗り換えると2〜3年で元が取れる計算になる。そう考えれば費用対効果は悪くない。
2ベイ仕様のNASync DXP2800でも最大64TBまで対応しているため、将来的な増設も視野に入れて容量を選べる。
RAID構成(冗長化)を行う場合は同容量・同モデルのHDDやSSDを2基揃えるのが基本。事前にストレージ選定を済ませておくことで、スムーズに運用を開始できる。
どこからでもアクセスできる便利さゆえに、有料クラウドストレージに依存しがちな現代。ときに「自分のデータは自分で管理する」という考えに至る方もいることだ。
自分のデータは自分で管理しつつ、クラウドストレージ並みの利便性は確保したい。もちろん、設定は簡単な方が良い。NASync DXP2800はその第一歩としてまさに“ちょうどいい”選択肢となることでしょう。
UGREEN NASync DXP2800 – 64TB大容量とRAID保護
提供:UGREEN