現地時間3月2日。バルセロナで発表されたXiaomiの新型ワイヤレスイヤホンXiaomi Buds 5 Pro。ハーマンチューニングにトリプルドライバー搭載をはじめとしたオーディオハードウェアも強いが、なんといってもサプライズで出されたWi-Fi対応版の音がとてもよかったので軽くレポートを残したい。
Wi-FiのBluetoothワイヤレス?そのヒミツは「XPAN」という新技術
さて、Wi-Fi通信ができるBluetoothイヤホンと聞いて、何のことやらと思う方が大半だろう。そこには2023年のクアルコム Snapdragon Summitで公表された新技術「XPAN」の存在がある。
XPANは「Qualcomm Expanded Personal Area Network Technology」の略称であり、簡単に言えば、Wi-Fiの電波にBluetoothの音声プロトコルを載せて伝搬するもの。これによって、大容量かつ低遅延の通信が可能になる。
現時点ではスマートフォン向けはSnapdragon 8 EliteまたはSnapdragon 8 Gen 3チップ。イヤホン側にはSnapdragon S7 Pro Gen 1の組み合わせが必須となるため、対応環境は極めて少ない。
XPANに対応するXiaomi Buds 5 Pro Wi-Fiでも、Wi-Fiモード(XPAN)が利用できるのは現状でXiaomi 15 Ultra、Xiaomi 15のみとアナウンスしている。Xiaomiに確認したところ、他メーカーの機種においてXPANの利用可否については不明としている。
筆者はMWC2025のクアルコムブースにてXPANを体験。テストケースでは非常に高品質なサウンドを楽しめたほか、携帯電話の展示会場という非常に厳しい環境下でも3Mbpsを超える高ビットレートで通信することを確認した。


XPANの実測伝送ビットレート。ベストエフォートなので値は上下するものの、基本的に高いビットレートを維持している

クアルコムいわく、Xiaomi Buds 5 Pro Wi-Fiは世界初のXPAN対応の完全ワイヤレスイヤホンだと言う。
そんなXiaomi Buds 5 Pro Wi-Fiを軽く聞いてみた限り、このイヤホンの高音質なサウンドには驚いた。特に 情報量が段違いであり、popsはもちろん、定位感が重要なクラシック 音源などでは真価を発揮できそうな印象。
サウンドチューニングの違いなどもあるとは思うが、好評なHuawei FreeBuds Pro 4とはもはや好みの差という領域。少なからず、スマホメーカーが作ったイヤホンの中では、3本の指に入る位の高音質な商品だ。そんな商品をバルセロナで一足先に体験できたのは非常にラッキーだった。

XPAN対応機種はまだまだ少ないものの、ワイヤレスイヤホンの常識を覆す革新的な技術だと考える。日本での発売もぜひ期待したい。