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Huawei FreeBuds Pro 4 レビュー 新チューニングとLDAC対応で高音質なイヤホン

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 ファーウェイが日本でも2月に発売した新型の完全ワイヤレスイヤホン。最新技術を惜しみなく投入したFreeBuds Pro 4を手に取れる機会があったので、今回レビューする。

目次

ファーウェイの最新イヤホンをチェック!今回は新しいサウンドチューニングが特徴

 市場競争が過熱する完全ワイヤレスイヤホンの市場。今年も各社ハイエンドモデルや新型商品が発表されるなど、注目度は高い。そんな中、スマホメーカーとしてお馴染みのファーウェイが、満を持して発売したフラッグシップイヤホンがFreeBuds Pro 4だ。

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箱はスマホメーカーのイヤホンでよく見かけるタイプだが、かなり大きい。今回はブラックを使用する

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ケースは艶消しの加工がされている。サイズはやや大きいが、Qi規格の無接点充電にも対応

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本体の収まり悪くない。いわゆるAirPods Proのような形状になるが、ケースの取り出し口に傾斜をつけたことで取り出しやすくなった

 FreeBuds Pro 4の対応コーデックは、SBC/AACに加え、LDAC/L2HC 4.0(ファーウェイ独自)に対応している。LDACではハイレゾ相当となる24bit/96kHz再生も可能な一方で、低遅延が特徴のaptX系には非対応だ。

 コーデック面ではトレンディなところを押さえるが、核となるオーディオ面についても妥協はない。ドライバユニットは11mm経のものを採用。マグネットを4つ配列しており、高い駆動力を持たせることで14Hzからの低域を再現できるという。

 これに加えて、高域用には独自開発のマイクロ平面振動板ドライバを搭載。マイクロ平面ドライバーはマグネットにハルバッハ配列(磁界を片側に集中させ、磁力をより高める配列)を採用し、伸びやかな高域を再現できるとした。これらを調整するネットワークは、デジタルクロスオーバーを採用した2Wayのものとなる。

 加えて、従来に引き続きAEM(Adaptive Ear Maching)も可能。これはイヤホンを装着している際に内部のセンサーを使用して、外耳道の構造や装着時の密閉度を検出し、常に最良の音質に最適化する機能。

 サウンドチューニングは、Huawei Soundという同社のノウハウを盛り込んだ。ファーウェイ自体も2012年から音響ラボを設立して研究を続けており、FreeBuds Pro 4は音響技術の賜物と評価できる。

 今回はファーウェイだけでなく、外部からチューニング監修も行った。中央音楽学院(中国の音楽芸術ジャンルの最高学府)の教授をはじめ、クラッシク演奏者の協力を仰ぎ、Freebuds  Pro 3からさらにチューニングを追い込んだ。従来よりも音の定位感にフォーカスを当てており、L2HC 4.0の持つ大容量伝送も生かした「クラッシク音楽も正確な定位感で楽しめる」とした。

www.sohu.com

進化したチューニングが織りなす最高音質サウンド。LDACでも高音質だが、それより上のL2HC 4.0も気になる

 音にも妥協はないと触れ込みのFreeBuds Pro 4を早速聴いてみることにする。今回の試聴環境はスマートフォンにソニーのXperia 1 VIを使用。LDACの環境で使用する。ストリーミング環境もスマホ単独で24bit/96kHzの再生が可能な機種だ。

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 FreeBuds Pro 4を実際に聴いてみると「所詮はスマホ屋のイヤホンじゃん。」と下に見ていた自分を昨年同様に殴りたくなる。抜けの良い高域、滑らかで解像感の高いボーカル、厚みのある低域。音に関しては何を取ってもApple AirPods Pro(第2世代)などからひとつ抜けたところにいる。

 高域は伸びやかで解像感の高さが特徴的。いわゆるハイブリッド型ながら変なクセはなく、BA型のような金属的な固さや冷たさもない。平面ドライバーを使っている関係もあって、適度な抜けの良さも兼ね備えている。

 そして大きく進化したポイントは低域再生。特に密度とレスポンスは大きく向上しており、EDMをはじめとした現代音楽にもしっかりマッチする。

 この高域の抜けの良さはかコーデックに大きく依存する。伸びやかな高域を体験したいのであれば、LDACやL2HC環境での利用を強くオススメする。ボーカルの滑らかさや低域の量感、レスポンス共に高いレベルだと感じた次第だ。完全ワイヤレスイヤホンでここまで上手く鳴らせるのであれば上出来だ。

 最初にスロウリグレットを聴いてみる。透き通るヴォーカルに対して、高域の伸びやかさ、ボーカルの艶やかさがしっかり伝わるサウンド。塞ぎ込まれたような窮屈さや過度な濃密さと表現されるものはなく、いい意味でハイレゾを意識したチューニングとなっている。

 曲をEutopiaに変えてみる。低域のレスポンスの良さ沈み込み、窮屈さを感じさせない空間表現に関しては高く評価したい。この曲自体かなり低域が効く物になるが、低音がしっかり効きながらも解像感を持ちつつボーカルなどには被らない。この解像感とレスポンスの良さは、低域用ドライバーに強力なマグネットを採用した点が生きていると感じられる部分だ。

 ここで曲をETERNAL WIND ~ほほえみは光る風の中~に変えてみる。冒頭の静けさの中のボーカル表現も悪くない。後半のドラムスとベースが入ってくる低域は、11mmの大口径ドライバを採用した重厚感のあるもの。この重厚感は従来機のFreeBuds Pro 3のさらに上を行くもので、グルーブ感の演出も見事だ。

 不確定性☆COSMIC MOVEMENTは「デカルチャー!!ミクスチャー!!!!!」収録のランカ・リーがカバーするバージョン。配信音源もハイレゾということもあり、この機種の持ち味であるワイドレンジを存分に活かせる。

 どうしてもボーカルを魅惑的に聴かせる機種ではないものの、このような部分では「物足りなさ」を感じるかもしれない。サウンドステージも比較的広い機種なので、このような曲でも窮屈さを感じさせずに気持ちよく聴ける。非常に上手なチューニングと評価する。

 ここまで聴いてきて、LDAC接続でもサウンドクオリティはかなり高いことが分かる。所詮はスマホ屋のイヤホンと馬鹿にしていたのは申し訳ない限り。日本でもしっかり高音質で楽しめそうだ。

 そして、このイヤホンには2.3Mbpsという圧倒的な情報量を転送できるL2HC 4.0という機能が存在する。この環境で聴いてしまうとLDAC接続には満足できなくなってしまう新境地なのだ。

強力なノイズキャンセリングが売りのFreeBuds Pro 4。通話性能も最強クラス

 さて、音質についてはこの辺りにして、ここからはノイズキャンセリングやマイクの品質について書いてみる。今回このイヤホンを利用して、すごいと感じた点はノイズキャンセリングの効き目だ。筆者も多くのイヤホンを利用してきたが、ここまで効きの良い機種はそう多くない。今作もかなり高い次元に持ってきている。

 ノイズキャンセリングの感度はかなり強力。FreeBuds Pro 4は従来比で30%向上したノイズキャンセリング性能を備える。モードは「くつろぎ」「標準」「ウルトラ」の3つとなり、これらをインテリジェントに切り替えることも可能。

 進化したノイズキャンセリング性能はすごいもので、電車の走行ノイズから街の喧騒。はたまた重機の動く工事現場の脇というかなりの騒音下でも、音楽を再生していればほとんどわからないもの。ウルトラの設定はBOSEのQuietComfort Ultra EarBudsともいい勝負ができるくらいの進化だ。

 通話時は3つのマイクに加えて、骨伝導センサーとAIアルゴリズムも用いて高音質な通話を可能にしている。こちらもVPU(Voice Pickup Unite)の配置を最適化し、従来の2.5倍音声を収音できるようになったとしている。

 また、FreeBuds Pro 4は100dBというかなりうるさい場所でも利用者の声を抽出して通話ができるようになっている。聴覚保護機能も付いており、AirPods Proなどと同じく「電子耳栓」としても利用できる。風切り音の抑制も進化し、風速10m/sの環境下であれば問題なく抑制できるという。

 通話品質は良好で、実際にノイズの多い屋外でも通話先にしっかり音声を届けることができていた。この辺りはスマホメーカーらしいノウハウが多く詰め込まれている。

 音以外の部分もしっかり評価したい。この機種の特徴として、IP54相当の防水対応にマルチポイント接続がある。マルチポイント接続は2つの端末との同時接続が可能で、例えば、プライベートと仕事用で携帯電話を分けて2台利用している場合、前者から音楽を再生し、後者の着信待ち受けを常時を行うことが可能。

 FreeBuds Pro 4では接続した両方の機種で対応していればLDACコーデックが利用できる。ファーウェイの端末間であれば、L2HCコーデックによってシームレスな接続が可能。スーパーデバイスからワンタップで接続したい端末に切り替えて利用できる。ちなみにイヤホンのOSはHarmonyOS 5.0となっており、日本向けでは初のHarmonyOS NEXT採用のデバイスとなりそうだ。

 バッテリー性能はANCオフで連続約7時間、充電ケースと組み合わせで最長33時間。ANCをオンで連続約4.5時間、充電ケースと組み合わせで最長22時間バッテリーが持続するものとなる。多機能ゆえに少々電池元が悪い点が惜しいところだ。

 フィット感についてはよく見るあの形状。やはりこの形状は人間工学的にもよくできているのか上位に入る装着感だ。イヤーピースは低反発フォームタイプも付属しており、より高いフィット感を体験できる。

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イヤーピースはシリコンタイプが4サイズに加え、低反発タイプも3サイズ付属する

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操作部に「くぼみ」が設けられており、操作しやすくなっている。

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イヤホンはアプリ「AI Life」から制御可能

高音質、高性能ノイズキャンセリングを備えるFreebuds Pro 4。このスペックで2万円台は破格

 今回のHuawei FreeBuds Pro 4だが、構成は前作と大きく変わらないことから「単なるマイナーチェンジ」くらいなものと思っていたらいい意味で裏切られた。

 地道なハードウェア強化、コーデックの強化といった「進化」を感じる要素は多く、チューニングもプロが監修して進化させた特にL2HC 4.0の環境で聴いたときは「ワイヤレスイヤホンの新境地」と言える高いレベルを見せつけられた。

 音響のパーソナルイコライジング、平面ドライバー搭載ハイブリッド構成、LDAC対応で卓越した音質、強力なノイズキャンセリング、高品質なマイク性能。これだけの機能を備えながら、実売2万8800円と中国向けよりも安価な設定としてきたことは高く評価したい。

 完全ワイヤレスイヤホンの場合、通常のイヤホンに比べて出荷数が多い分パーツコストを圧縮できる。それ以上に、処理アルゴリズムやハードウェアを自社開発していることも、この価格に抑えた理由だと改めて感じる。研究開発に惜しみなくコストを投入し、グローバル展開できる販路とブランド力を持ったファーウェイだからこそできるものだ。

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 事実、米国の制裁でスマートフォンの展開は難しくなったものの、ウェアラブル端末やワイヤレスイヤホンについては好調であり、日本でも比較的売れ筋の商品となった。

 スマホ屋のファーウェイが本気で作ってきた完全ワイヤレスイヤホンのニューモデル。サウンドクオリティや機能性などのトータルでの完成度はかなり高く、LDACの環境で使ってもなかなか素晴らしいものであった。興味がある方はぜひ検討してみてはいかがだろうか。

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