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【レビュー】話題のAndroid搭載激安音楽プレイヤー「Oilsky M308」が思った以上に高音質だった件

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 どうもこんにちは。今回は最近ひそかに話題な中華メーカーの音楽プレイヤー(DAP)がセール価格でお買い得と話題になっている。Android搭載でESS製のDACも積んでいながら、セールで6000円ほどで買えてしまう「Oilsky M308」をレビューしたい。

目次

Android搭載のオーディオプレイヤー。そもそもちゃんと使えるのか確認

 Oilsky M308は2021年に発表された同社のフラグシップにあたるデジタルオーディオプレイヤー。とはいっても当初の定価は99ユーロ(1万6000円前後)とDAPの中ではエントリー帯の商品。OilskyブランドではかつてのiPodに相当するハードウェアを多く展開しており、主に欧州方面で50ユーロ以下の廉価な音楽プレイヤーを求める層にウケているようだ。

 特徴として音質に特化したサウンドハードウェア、大画面かつAndroid OS採用による操作性の向上、各種ストリーミングサービスを利用できる点をアピールしている。各AndroidバージョンはAndroid 9を採用しており、今でも多くのアプリが使える。

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パッケージはどことなくチャイナ感漂よう

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本体の質感は価格を考えたら非常に良好。

 Oilsky M308は金属製の重厚感あるボディに金色のボリュームノブを採用。このデザインはどこかHiBy R8SSを感じさせる。ボリュームは100段階のロータリーボリュームを採用と気合が入っている。

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本体画面は2.8型と超コンパクト。画面解像度は640×480解像度

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操作ボタン系は本体右側に備わる。背面はガラスパネル

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プリインストールアプリはFiio Music、AIMPといった音楽プレイヤーアプリに加え、ストリーミングもSpotify、TIDALが入っている。Googleサービスも利用できるので各種アプリも利用できる

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付属品には純正のレザーケース、画面保護フィルムに64GBのSDカードまで付属してくれる豪華仕様

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最低限にまで情報を省いたSDカードが付属。一応64GBとして使えた

 こんなプチ鈍器のようなプレイヤー。メーカー曰く当然サウンドハードウェアに抜かりはないという。DACにはESS製のES9018Q2Mを採用し、24bit/192kHzまでのPCMとDSD(PCM変換)に対応する。アンプ部には「MAX97720」なるものを採用し、パワフルな出音が可能なようだ。

 DACのES9018Q2MはいわゆるES9018K2Mの亜種にあたり、低消費電力と小型パッケージをアピールしたもの。このDAC自体は2016年ごろに登場した廉価帯の音楽プレイヤーで採用がみられる。また、LGやvivoといったメーカーの音質重視スマートフォンにも採用されている。

 ちなみにアンプチップのMAX97720は、SHANLINGのエントリー帯音楽プレイヤー「M1」に採用されている。当時、手のひらサイズのコンパクトな筐体から壮大な音を鳴らすと話題になった機種だ。スペック上のアンプ出力は28mw(32Ω)、ダイナミックレンジは103dB(32Ω)としている。 

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出力端子は3.5mm。USB端子からのOTG出力はできないので、別ハードでの音質強化やトランスポート端末として使うのは難しそう

 こんな商品が1万2000円というのも十分安いが、なんとAmazonにて40%オフのクーポンが配布されている。(一部は半額クーポンもあったという)これはもうお買い得以外の何物でもない。

意外にも高音質でパワフルなサウンドにびっくり。6000円でこの音ならアリ

 そもそもちゃんとした音が鳴るのかすら疑問の声も上がる本機種。実際に聴いてみるとサウンドに関しては意外にもしっかりと鳴っている。サウンドはESS系のDACの音っぽいが断定はできない。手持ちではLG V50 ThinQ(ES9218)に近い音色だったので、ちゃんとDACは入っているものと思われる。

 LG V50 ThinQと比較するとアンプのパワーが違うので、Oilsky M308のほうがしっかりイヤホンをドライブしてくれる。そこはちゃんとDAPとしての意地を見せてくれる。

 筆者的にはハイゲインモードで音量は65/100の設定なら、大抵のイヤホンは音量が取れる印象。伊達にSHANLING M1クラスの出力を持っているのであれば納得で、ヘッドホンもポータブルの密閉型なら十分すぎる音量で楽しめるはずだ。

 Oilsky M308はどちらかと言えば繊細というよりダイナミックな鳴らしっぷりが特徴の機種。手元の機種で相性が良かった機種はVictor HA-FW10000やFinal A8000、qdc TrESといったところ。相性的にはCampfire Audio Andromedaだと高域のシャリ感がきつめに感じることもあったので、このようなイヤホンではローゲインが推奨。BA型よりもダイナミック型のほうが相性よさそうな印象だ。

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普通に音が良かった。ゲテモノだと思ったのになんか悔しい

 ちなみに簡易的に試したところ、ストリーミングでは24bt/48kHzまでの再生が可能なようで、ビットパーフェクト再生には対応していない模様。まぁ、セールで6000円のDAPにそこまで求める理由もない。

 Bluetoothは地味ながらLDACに対応。Bluetooth用の音楽プレイヤーとしてもしっかり使えるが、接続性はあまりよくない。あくまで「部屋の中で聴く」くらいにとどめておいたほうがよさそうだ。

端末としては突っ込みどころ満載な玄人向け音楽プレイヤー

 Oilsky M308のディスプレイは2.8型、640×480解像度の液晶パネルを採用。今どきあまり見かけない解像度だが、そこまで粗さは感じない。

 操作感覚は2.45型のディスプレイを採用した古の超小型スマホUnihertz Jellyなどに近く、かなりタッチ操作がしにくい。操作用のキーが画面外に配置されている点が救いだ。

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本体は非常にコンパクト

 OSはAndroid 9.0を採用する。そのため、基本的な操作はスマートフォンと同じ感覚で利用できる。Google Playストアからアプリをダウンロードできるため、アプリは容易に追加できる。この辺りは初心者にも安心だ。

 プロセッサはMediaTek製のMT6750Vを採用。またの名をHelio P10という28nm世代のプロセッサであり、今となっては10年落ちくらいのミッドレンジスマートフォン向けに採用されていたもの。

 正直、NW-A100シリーズなど大して変わらないスペックのプロセッサだが、こちらのGPUは一応Mali T860なのでミリシタが動作する。今もSnapdragon 665が主流の音楽プレイヤーの中とはいえ、Oilsky M308の性能はさすがに性能不足に分類される。

 メモリは2GB、ストレージは16GBを採用する。ストレージはSDカードで増設することが前提のため、容量は控えめ。こちらも本音を言えばメモリは4GB、ストレージ容量は32GBくらいは欲しいところ。

 一応、SNSなどは使えるものの、動作はもっさりしているので、別途スマートフォンなどを使うとよさそう。Apple Musicなどのストリーミングアプリもワンテンポ待たされるような操作感だ。

 一方で5GHz帯のWi-Fiが利用できることもあって、ダウンロード速度は意外にも早い。ストリーミングアプリがワンテンポくらいの遅延で済んでいる理由のひとつと考える。

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プロセッサは懐かしさを感じるHelio P10
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ミリシタくらいなら動作する

 バッテリーは容量は1450mAhとさすがに少なすぎる。これは2012年のAndroidウォークマンNW-A800シリーズと大差なく、8コアプロセッサとサウンドハードウェアを動作させるにはかなり心もとない。

 実際、Apple Musicを1時間再生したところバッテリーは15%減ったので、連続再生でも6時間といったところ。あまり期待してはいけない。

 そしてここからは突っ込みどころの要素なのだが、まず技適マークが表示できない。さすが中華の謎端末と言いたいところだが、この点は何となく理解していたので、厳密に使う場合は総務省への特例申請が必要だ。

 加えてソフトウェア面も怪しいところ満載で、一部アプリではなぜかルート権限(普通は取れない)を取得していると検知されることがあった。特にApple Musicは最新バージョンだとルート検知で利用できないため、Ver4.6.0以前のものを別途インストールする必要がある。

 ほかにもシリアルナンバーが「0123456789ABCDEF」になっていたり、OSアップデートはOTA配信に非対応。アップデートを行うには、メーカーサポートに連絡してOSイメージを提供してもらってから、アップデートツールを使ってアップデートをかけるという…何かと面倒な機種だ。

 ハードウェアではUSB端子がOTG出力に対応しない。これは外部DACにデジタル出力ができないことを意味している。このため、トランスポート端末としてはかなり使いにくい。

 また、充電器に関しても「5V/1A出力のもの」を使わないとうまく充電できない。これは説明書にも記載があり、実際にPD対応の充電器では認識すらしなかった。まして本機種の多くは長期在庫だったのか、バッテリーが完全放電している例もあるよう。筆者のものも、到着したときは電池がない状態だった。

 ちなみに5V/1Aの充電器はiPhoneに長らく付属してきたあの四角い充電器が著名だ。見当たらない場合は100円ショップでも販売されているので、サクッと調達しましょう。

ちょっといい音の鳴るおもちゃ。ゲテモノ感あふれる端末を求める方にはアリ

 HOilsky M308はESS製のDACと出力のあるアンプチップを備えたことで、定価の1万6000円前後の価格でも「この音なら」と納得できる商品と感じた。もちろん、6000円前後の価格なら文句のつけようがない。スマートフォンのイヤホンジャックに比べたら、はるかに良質なサウンドを奏でてくれる。

 筐体や付属品を見ても到底1万円前後の商品とは思えないくらい豪華で、文句は言っていられない。この精神はSDGsで付属品を削減しまくるスマホメーカーにも見習ってほしいところ。

 もちろん、上記のようなゲテモノ感こそあれど、適度に怪しい日本語の説明書が備わっている点など「謎端末」としてのハードルは低い。初めての謎端末としてもおすすめはできる。もちろん自己責任ですが。

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普通にDAPとしてはアリでした

 筆者としては、よくわからん端末が欲しい方。安くて手っ取り早くApple MusicやSpotifyといったストリーミングサービスを楽しみたい方におすすめだ。みなさまもOilsky M308音を手にとって、より良い音で生活の質を上げてみるのはいかがだろうか。

※大人気で売り切れたらしい。代わりに2万円以下で高音質と感じたHiByのDAPのリンクを貼っておきます。

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