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Technics EAH-AZ100 レビュー 磁性流体ドライバー採用で進化したサウンドに迫る

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 Technics(パナソニック)より完全ワイヤレスイヤホンの最上位機種「EAH-AZ100」が登場した。新たに磁性流体ドライバーを採用したほか、ノイズキャンセリング性能や外音取り込み性能も強化。

 CES2025でのお披露目以降、媒体問わず各所で高評価を叩き出していることから話題の最新機種。筆者も購入したので、おおむね1週間ほど使ってみてのレビューといこう。

目次

Technicsから待望の磁性流体ドライバーを採用。最上位イヤホンが堂々登場

 市場競争が過熱する完全ワイヤレスイヤホン。そんな中、日本でもCES2025での発表直後から大きく注目されていたTechnicsブランドのハイエンド完全ワイヤレスイヤホン、EAH-AZ100が満を持して発売された。

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箱はフラッグシップらしく高級感がある。カラーはブラックとホワイトの2色展開。

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ケースもコンパクトになった

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本体は前作のEAH-AZ80とは異なるデザイン。小型化したことで、フィット感を高めている。

 高音質な理由は対応Bluetoothコーデックと、後述する新型のダイナミックドライバーにある。EAH-AZ100の対応コーデックはSBC/AAC/LDACのほか、今回は新たにLC3に対応している。

 LDACはハイレゾ相当の24bit/96kHz再生も可能なため、より高音質での再生が可能だ。メーカー側もこのコーデックを前提に音を作り込んだという。

 コーデック面ではトレンディなところを押さえるが、核となるオーディオハードウェアも強化された。本機種には同社が実売13万円で販売していた「EAH-TZ700」とほぼ同じ「プレジョンモーションドライバ」が採用されている。
 このドライバーユニットは10mm口径のアルミ振動板に加え、磁性流体を用いてより滑らかに駆動できるようにした。このほか、振動板周囲を柔らかいエッジで支えるフリーエッジ構造を採用。幅広い周波数帯域で色付けのないきめ細やかな再生と広いサウンドステージを実現したとのことだ。

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EAH-AZ100にて採用されたプレジョンモーションドライバの仕様。メーカーサイトより引用

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Technicsのフラグシップ有線イヤホンEAH-TZ700。手作業で製造していることもあって高価だが、その実力は目を見張るものがある

 これに加えて「ハーモナイザー」「アコースティックコントロールチャンバー」と呼ばれる音響機構を採用。どちらもドライバーユニット付近の空気の流れを制御する物理的機構となり、理想的な帯域バランスを達成することができた。

濃密な低域を土台とした生々しいサウンド。こんな音が完全ワイヤレスで聴けるとは

 磁性流体採用ドライバーユニットなどをはじめ、オーディオハードウェアに抜かりないEAH-AZ100。サウンドにも妥協はないとのことなので聴いてみることにする。今回の試聴曲はこちら

電音部より Hyper Bass(feat.Yuomi)
マクロスΔより  GIRAFFE BLUES/シェリル・ノーム starring May’n
地球儀 – Spinning Globe /米津玄師
ロウリグレット/田所あずさ

 今回の試聴環境はスマートフォンにソニーのXperia 1 VIを使用し、LDACの環境で使用する。この機種ではストリーミング環境でも単独で24bit/96kHz環境の再生が可能な機種。EAH-AZ100の性能を最大限にまで引き出せるはずだ。

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 実際に聴いてみると、完全ワイヤレスイヤホンとは思えない高品質なサウンドが体感できた。量感のある質の良い低域、空間表現の巧さは特筆でき、基本性能はEAH-AZ80からしっかり進化したように感じる。

 高域のキラキラ感はやや抑え目ではあるものの、抜けの良さはある。ヴォーカルの表現は柔らかく、艶ややかな表現が魅力的。「生き生きとした様子」を感じ取ることができる表現が適切かと思う。
 もちろん、細やかな表現についてはコーデックに大きく依存する。伸びやかな高域や芯のある低域を体験したいのであれば、LDACでの利用を強くオススメする。完全ワイヤレスイヤホンでここまで鳴らせるのであれば上出来だ。

 筆者としては低域の濃密さ、レスポンスの良さが魅力的だと感じた。正直、EAH-TZ700を使っている身としては劣る部分もあるが、雰囲気的にはかなり近い印象。高レスポンスでリアリティのある低域を楽しむことができる。

 一方で前作のEAH-AZ80のニュートラルなサウンドとは異なる印象。モニターライクでクリアなサウンドのEAH-AZ80に対して、今回のEAH-AZ100は有線イヤホンのEAH-TZ700にも通ずる濃密な音作りを反映している。そのため、本機種はEAH-AZ80の単純な上位機種とはならないように感じた。

 最初に「スロウリグレット」を聴いてみる。透き通るヴォーカル、高域の広がりも感じ取れるサウンドであることがわかる。解像感の高さから目が覚めるような感覚も味わえ、塞ぎ込まれたような窮屈さや過度な濃密さと表現されるものはない。

 曲を「Hyper Bass」に変えてみる。低域、空間表現に関しては高く評価したい。かなり低域が多い楽曲となるが、解像感を持ちつつボーカルなどには被らない。この解像感とレスポンスの良さに加え、音の濃密さも加わった部分は磁性流体ドライバーが生きていると感じられる部分だ。

 最後に「地球儀」「GIRAFFE BLUES」を続けて聴いてみる。ベースラインの低域にはどっしりとした芯があり、グルーヴ感の表現も見事。一歩前に出るような柔らかいヴォーカルの表現も気持ち良く、非常に心地よい。

 特にロスレスやハイレゾ音源で聴くと、圧縮音源とは明確な差がわかる高いポテンシャルを秘めている。GIRAFFE BLUESをシェリル・ノームのカバーとした理由は、ハイレゾ配信されているからということもある。

 筆者としては、これらの曲を聴いたときに「EAH-AZ80との大きな差」を体感できた。

 フィット感も良好な仕上がりへ進化した。耳のくぼみ(コンチャ)に綺麗に収まる設計となっており、この辺りは前作のEAH-AZ80よりもコンパクトになったことで、より多くの方にフィットするようになった。

 イヤーピースも新型のものが同梱されるなど、フィット感にはかなり注力されている。その一方でメッシュのイコライザーが入っているので、低域が多いと感じる方は社外品に換装するのもありだ。

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軸には3種類のシリコン使用した新型のイヤーピースが採用された

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社外品では日本ディックス製のCOREIR-コレイル-BRASSが相性が良いように感じた。純正の低域の量感が気になる方はチェックしてみてほしい

ノイズキャンセリング、外音取り込みも進化!音以外の特徴もチェック

 さて、音質についてはこの辺りにして、ここからはマイクの品質や操作性について書いてみる。EAH-AZ100は音質重視の構成ながら、機能面にも抜かりはない。ノイズキャンセリング、外音取り込み機能もしっかり備え、アプリからの調整も可能だ。

 ノイズキャンセリングはアダプティブ処理にも対応。今回ではパーソナライズ設定も可能になり、周囲のノイズ量に合わせて精度を調整できるようになっている。

 また、外音取り込み機能も大きく進化。Apple AirPods Proとまではいかなくても、違和感を抑えた状態で取り込むことができる。筆者としてもここは大きく評価したい部分だ。

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EAH-AZ100の各種設定はアプリから行うことができる。ここでは、各種モードの切り替えイコライザーの設定のほか、タッチセンサーのカスタマイズを行うことができる。

 通話音質も良好だ。ノイズリダイレクションによってノイズを抑えて通話が可能だ。また通話相手の環境音ノイズをAI処理で抑える「Voice Focus AI」も搭載。相手方のノイズが大きい場面でも、AZ100側でAI補正をかけ、聞き取りやすくしてくれる。

 音声アシスタントとしてGoogleアシスタントだけでなくAmazon Alexaを呼び出すこともでき、Alexa build inの認証も取得している。

 音以外の部分もしっかり評価したい。この機種の特徴としてはIPX4相当の防滴対応に加え、接続のしやすさも特徴だ。Google Fast PairやWindows PCのSwift Pairにも対応しており、煩わしい設定などは不要だ。

 筆者が最も惹かれたものは業界初のトリプルペアリングだ。名前の通り3台の機種との接続が可能で、メーカーとしてはリスニング用の音楽プレイヤー、ビデオ会議用のパソコンやタブレット端末、通話用のスマートフォンなどの3機種の接続を想定している。

 切り替えも非常にシームレスに行うことができた。今回からは接続端末の優先度も設定できるようになり、より使いやすくなった。このモードでは高音質なLDACコーデックが利用できなくなる点に注意してほしい。

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通話用のスマートフォンを3台持っているような方には、トリプルペアリング可能なEAH-AZ100はまさにピッタリな存在だ。 

 EAH-AZ100はバッテリーは本体で最長10時間、ケース併用で28時間の連続再生が可能になっている。本体はコンパクトになりながら、EAH-AZ80よりも長時間の再生が可能になった。

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ケースはEAH-AZ80と比較してコンパクトになった。ワイヤレス充電にも対応する

ワイヤレス最強クラスの高音質サウンドと機能面。4万円台の価格も納得

 さて、今回レビューのEAH-AZ100というイヤホン。市場で評価の高いEAH-AZ80を超える「フラグシップ」を目指し、生音というテーマを取り入れた音質特化の商品だ。

 筆者はワイヤレスイヤホンでこの音が楽しめるとは、正直思ってもみなかった。過去にいろいろなものを聞いてきたが、音作りまでしっかり追い込んだイヤホンは有線無線問わず多くない。

 ディップやピークの設定が非常に考えられおり、グルーヴ感の演出ではメーカーのアピールする「生音」も伝わってくる。音楽の必要な部分は余す事なくしっかり表現する良い音作りをされたイヤホンだ。
 ただ、サウンドはニュートラルなEAH-AZ80とは方向性が異なるので、好みに合わない方もいると思われる。テクニクス製品は販路も広く、比較的多くの家電量販店で試聴できるので、購入前に試してみることをおすすめする。筆者としてはニュートラルなEAH-AZ80の音も捨て難いが、EDMなどを聴く場面、楽しく聴く場面ではEAH-AZ100の方が好みに刺さった。

 この上で、アクティブノイズキャンセリングや外音取り込みをはじめとした近年トレンドの機能もしっかり備える。近年の音質特化機種で見かける「音だけに極振りした製品」ではないことをうかがわせる。

 これに加えて、トリプルペアリングや高度なノイズ、キャンセリング、高音質な通話機能もこの商品の大きな特徴だ。特にトリプルペアリングは、現時点でテクニクスのイヤホンでしか利用できない。

 そんなEAH-AZ100の価格は39,600円。完全ワイヤレスイヤホンとしては高価なものとなるが、その価値に見合った音質、機能面、通話品質を備えた傑作と評価できる商品だ。

 完全ワイヤレスイヤホンにはNoble Fokusシリーズのように音に極振りした製品もあるが、ノイズキャンセリング機能をはじめとした音以外の要素、アプリの使い勝手や独自の機能といったところ考慮して選ぶなら本機種となる。

 完全ワイヤレスイヤホンに高音質はもちろん、普段使いの勝手の良さも併せて求める方は、今年最注目製品のひとつ「EAH-AZ100」をチェックしてみてはいかがだろうか。

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