様々な機能を内包し、便利になりつつあるスマートフォン。新機能が増える半面、そういえばあの機能ってもうないの?となるものも。今回は最近のスマートフォンではめっきり見なくなった「FMラジオ」機能だ。
少なくなった「FMラジオ」対応スマホ。廉価帯やarrowsシリーズが対応
スマートフォンはあらゆる情報を得られる方向に進化してきた。日本向けには地上波放送(テレビ放送)も記憶に新しい。その中でもFMラジオ機能は古くから「圏外でも情報を得る手段」として電波の入らないエリアや災害時などのシーンで重宝された。
そんなFMラジオ機能を採用する機種が年々減少しており、現行機では稀な存在になっている。この機能はiPhoneやPixelが対応していないことに加え、かつて対応していたブランドの機種も数を少なくしている。
2024年発売の機種ではモトローラのg14やaiwa Phone 2、シャオミのRedmi 14Cなどの2万円前後の廉価機種、国内向け基盤の強いFCNT(富士通)のarrows we2シリーズ、らくらくシリーズが中心的だ。
価格帯的には2万円前後の廉価な機種が多くを占めており、ハイエンド帯での採用は2023年発売のソニー Xperia 1 V(キャリア向け)シャープ AQUOS R8 pro(キャリア向け)が最後だ。

FMラジオ受信機能に対応するarrows we2 Plus
Xperia 1VIではシリーズで長らく続いていたFMラジオ受信機能を廃止した
ラジオ機能の減少は「イヤホンジャックの廃止」も大きな理由
FMラジオ機能を搭載する機種が少ない背景に、3.5mmイヤホンジャックを備える機種が少なくなったことが要因のひとつに挙げられる。
スマートフォンのFMラジオ機能は有線イヤホンをラジオのアンテナの代わりに使うものが大半。このため、有線イヤホンを物理的に利用できない機種では、FMラジオ機能も備えていないものが多い。
一応アンテナなしでも利用できる場合もあるが、受信感度はかなり弱くなるため、明瞭に聞ける場面は少ない。ロッドアンテナを備える機種も今や皆無だ。
先ほどリストアップした機種は全て3.5mmイヤホンジャックを備えている。有線イヤホンを接続することで、FMラジオを聴くことができる。近年では「ラジスマ」と呼ばれるインターネットラジオと通常のFM放送を切り替えて利用できる機種も存在する。それでも、イヤホンジャックをアンテナ代わりに利用する点は変わらない。
また、インターネット経由で聴けるラジオ配信サービスが登場した点も、スマートフォンからFMラジオ機能を廃する理由のひとつと考える。radikoなどをはじめとしたアプリの登場により、インターネット経由で住んでいるちいきはもちろん、遠い地域のラジオ放送も聴くことが可能になった。一部機種では従来のFMラジオ機能に代わってプリインストールされているものもある。
FMラジオが役に立つのは災害時。必要と感じた方は要チェック
実はスマホからFMラジオ機能がなくなったからといって「ラジオを聴かない人が増えた」というわけでもない。
LINEが2022年に実施した「普段からラジオを聴いていますか」という題の調査では、全世代平均で50%前後とし、40代以上では半数以上が日常的にラジオを聴くという結果になった。
この調査では若い世代を中心にスマートフォン(アプリ含む)を使ってラジオを聴く方が多いことにも触れている。このため、ラジオ放送を聴く端末がポケットラジオ等からスマートフォン等でインターネット経由のものに変化したことが適切だ。
一方で、本調査はラジオ局の放送だけでなく、ポッドキャスト等のインターネットラジオ、個人配信も含まれている。一般的な「ラジオ」とは違う可能性がある点に留意が必要だ。
そのため、FMラジオ聴く人が少なくなっているからラジオ機能を廃止する訳ではなく、ラジオを聴く手段が変化したことによるスマホ側の対応と考えたほうがよさそうだ。
最後になるが、スマートフォンでFM放送を受信できる最大の利点は、災害時等でインターネットから正確な情報を得られない場合でも、地域に根ざした正確な情報を得ることができる点、ラジオだけの利用に特化すれば長時間情報収集が可能な点だ。

必ずしも必要な機能では無いものの、いざと言う時は「あって良かった」も安心できる機能のひとつ。テーマに挙げた通り、対応する機種が少なくなっているので、関心のある方は、キャリアショップや家電量販店等でスマートフォンのFMラジオへの対応状況を確認してほしい。