中国のスマホメーカーHONORの折りたたみスマートフォンがマニアを中心に注目されている。今回は、閉じた状態で9.2mmという世界最薄をアピールした「HONOR Magic V3」を実際に手に取れる機会があったので、今回レビューを残したい。
世界最薄の折りたたみスマホ「HONOR Magic V3」を体験!極限まで切り詰めた薄さに驚く
今年のHONORのフォルダブルスマートフォンは「全部載せ」の上位モデルHONOR Magic V3とコストを抑えたのHONOR Magic Vs3の二本立てになった。今回レビューするHONOR Magic V3はまさに「全部のせ」と評価したいスペックは以下の通り
SoC:Snapdragon 8 Gen 3
メモリ:12/16GB
ストレージ:256/512GB/1TB
(グローバル版は12/512GBのみ)
ディスプレイ
カバーディスプレイ:6.43型 2376×1036
メインディスプレイ:7.95型 2344×2156
ピーク輝度:4500ニト 120Hzリフレッシュレート対応
カメラ
メインカメラ:5000万画素
超広角カメラ:4000万画素
3.5倍望遠カメラ:5000万画素
フロントカメラ:2000万画素
バッテリー:5150mAh
66W急速充電
50W無接点充電
重量:226g

今回レビューするのはグローバルモデルだ。パッケージは中国メーカーの折りたたみスマートフォンらしく豪華だ。
HONOR Magic V3のメインディスプレイは7.95型の大画面を採用しているため、動画視聴や複数アプリを展開した際の操作が快適だ。閉じた状態のカバーディスプレイでも一般的なスマートフォンのように利用できる。カバー画面、メイン画面のどちらもLTPO 120Hzのリフレッシュレートに対応し、明るい画面を備えている。

画面を閉じた状態のカバーディスプレイは6.43型。画面比率もXperia 1 Vなどに近い印象だ。ヒンジ側のベゼルは従来よりも削られており、体感的にも普通のスマートフォンと同様に利用できる。

画面を展開すると7.95型の大画面。この手の製品の中では大きい部類だ

閉じた状態は普通のスマートフォンだ。 本体はガラス製の背面を採用。カラーはレビューで紹介するブラックのほか、グリーン、オレンジ系のReddish Brownがある。
ヒンジは画面角度の保持が可能だ。薄型化した新機構のヒンジを採用し、50万回の折りたたみに耐える高い耐久性を備えている。ヒンジも以前より固めとなり、Xiaomi MIX Fold4のような緩さは感じない。この辺も従来モデルからしっかり進化している。
一部アプリはフレックスモードにもしっかり対応。軽くてもヒンジの作りはしっかりしており、画面の角度は135度くらいまで保持できる
HONOR Magic V3の特徴は厚みが4.35mm、閉じた状態で9.2mmと驚異的な数字だ。重量は226gと軽量化も極限まで行われている。厚みはXiaomi MIX Fold 4が単独4.59mm、閉じた状態で9.47mmの厚みとしたが、はやくも更新してきたのだ。


本体はかなり薄く、軽量に仕上げた。参考に隣に置いたXperia 1 VI(8.2mm)に近いところまできており、厚みは普通のスマホだ。

あまりに薄くしたため、片側にボタンを収めることができず、電源ボタンと音量ボタンは異なる面に付いている。指紋センサーは側面の電源ボタン一体型だ。
プロセッサはSnapdragon 8 Gen 3を採用。今期のフラグシッププロセッサを採用し高い性能を有している。メモリはLPDDR5、ストレージはUFS4.0規格のものを採用している。


高負荷な学マスも最高画質で遊ぶことができる。フォルダブル端末なので排熱面で不利な点はあるが、それでも快適な部類だ。
折りたたみでも存在感を示すカメラ性能の高さ。フラグシップとも見劣りしない
カメラ性能もフラグシップらしい充実したハードウェアだ。ソニーのIMX906(1/1.56型)のイメージセンサーを採用した5000万画素のメインカメラをはじめ、4000万画素の超広角カメラ、5000万画素の3.5倍望遠カメラを備える。フロントカメラは2000万画素のものがカバー画面、メイン画面のそれぞれに採用されている。

フォルダブルスマートフォンとしては充実したカメラ構成だ



標準カメラはきれいに撮影できる。折りたたみスマートフォンでもカメラ性能は向上している




望遠カメラは3.5倍相当。遠くのものもはっきり写すことができる。テレマクロには非対応だ



デジタルズームでも補正が入るので、10倍望遠くらいまではきれいに撮影できる





昼間はもちろん、夕暮れや夜間でも綺麗に撮影できる
本体のバッテリーは5150mAhと大容量。新型のバッテリーが採用されており、薄型、軽量化しながらも、大容量のバッテリーを搭載できた。66Wの急速充電に加え、50Wのワイヤレス充電にも対応している。
急速充電に関しては、速度が抑え目な機種が多い折りたたみスマホの中ではしっかりと差別化されているポイントだ。
このほか、IPX8等級の防水に対応し、水深2.5mに30分間沈めても動作するとした。防塵性能の記載はないものの、メーカーのデモとして、洗濯機に本機種を入れて洗濯しても問題なく動作する様子が示された。
高い耐久性も持ち合わせている。グローバル向けの発表では、報道陣の前で実際に本体を落として耐久性を示す場面も見られた。
OSはAndroid 14ベースのMagic OSが採用されている。最新バージョンでは各種機能が追加され、マルチタスクの使い勝手も洗練されてきた。
近年はアプリ側もフォルダブル端末に対応しはじめ、海外メーカーの機種でも利用しやすくなった。



各種折りたたみスマホ向け機能も備える

画面分割も問題なく可能だ
これ以外にAI機能もいくつか備えており、画像編集などが利用できる。グローバル版はGoogleのAI機能にも対応する。10月のアップデートによって「かこって検索」などへの対応も公表されている。
ついに厚みは9mm前半へ。折りたたみスマホの進化の衝撃
今回、改めてHONOR Magic V3を触ってみて、折りたたみスマホにおける技術の進歩をまざまざと感じさせられた。
筆者としても、久しぶりにフィーリングで衝撃を受けたスマートフォンだった。はじめて触った時は、思わず笑いが飛び出る軽さ、薄さに驚いた。そして、画面を展開したら軽量さをまざまざと実感する。ある意味、7〜8インチのタブレットサイズで重量は220gクラス、厚みも4.35mmでIPX8の防水性能を備える。こんなものが数年前に出ていれば、余裕で難民を生み出しそうなスペックだ。
昨年のMagic V2が229g、厚さ9.9mmという折りたたみスマホの重量感に革命を起こしたが、これをゆうに超えてきたのだ。特に課題だった防水性能とカメラ性能の強化という従来モデルの惜しい点をしっかりと改善したのだ。
そんな HONOR Magic V3にも惜しいところがないわけではない。本体の薄型化ゆえに冷却性能で劣るため、プロセッサの性能を発揮しきれない点など、薄型化しすぎたゆえの弊害が起こっている。この辺の軽量化とスペック維持のバランスを見極めるのは難しいところだ。
それでも、グローバルスタンダードのGalaxyと比較するとソフトウェアの作り込みは引けを取るが、驚異的なハードウェアでそれらのマイナスポイントを感じさせない魅力を伝えてくる。筆者はこの軽さと薄さに感心させられた。
HONOR Magic V3は10999香港ドル(約20万円)で販売されている。中国向けだけでなく、グローバル版も展開されることから、ポジション的にはGalaxy Z Fold6などと同じセグメントの端末だ。
廉価をアピールするHONOR Magic Vs 3とは異なり、フラグシップらしいハードウェアにしっかり仕上げてきた。Galaxy Z Fold6よりも4から5万円安い価格もシェア獲得を狙う攻めの姿勢だと感じる。
HONOR Magic V3は可能であれば、ぜひ一度手に取って欲しいスマートフォンだ。一度でも触ってみれば、折りたたみスマートフォンのイメージが変わるかもしれない。コレよりも重く、厚い折りたたみスマートフォンには戻れなくなるかもしれない。