中国のスマホメーカーvivoの折りたたみスマートフォンがマニアを中心に注目される。今回は、219gという世界最軽量をアピールした「X Fold3」を実際に手に取れる機会があったので、今回レビューを残したい。
世界最軽量の折りたたみスマホ「vivo X Fold3」を体験!あまりの軽さに驚く
今年のvivoのフォルダブルスマートフォンは「全部載せ」の上位モデルvivo X Fold3 Pro、軽量化全振りのvivo X Fold3の二本立てになった。今回レビューするvivo X Fold3は1世代前のSnapdragon 8 Gen 2を採用するかわりに、コストを抑えた端末だ。スペックは以下の通り
SoC:Snapdragon 8 Gen 2
メモリ:12/16GB
ストレージ:256/512GB/1TB
ディスプレイ
カバーディスプレイ:6.56インチ 2748×1172
メインディスプレイ:8.03インチ 2748×2200
ピーク輝度:4500ニト 120Hzリフレッシュレート対応
カメラ
メインカメラ:5000万画素
超広角カメラ:5000万画素
2倍望遠カメラ:5000万画素
バッテリー:5500mAh
80W急速充電
重量:219g
vivo X Fold3のメインディスプレイは8.03インチの大画面を採用しているため、動画視聴や複数アプリを展開した際の操作が快適だ。閉じた状態のカバーディスプレイでも一般的なスマートフォンのように利用できる。
カバー画面、メイン画面のどちらもLTPO 120Hzのリフレッシュレートに対応し、ピーク輝度4500ニトの高い画面輝度を備えている。ディスプレイの仕様は上位のX Fold3 Proと同様なので、廉価機種とは言えある意味コスパも良いのだ。
一方で指紋センサーは側面の電源ボタン一体型とするなど、軽量化ゆえの削ぎ落としも見られる。本機種はvivo X Foldシリーズで唯一、画面内指紋認証に対応しない。

画面を閉じた状態のカバーディスプレイは6.56インチ。画面比率も21:9とXperia 1 Vなどに近い印象だ。ヒンジ側のベゼルは従来よりも削られており、体感的にも普通のスマートフォンと同様に利用できる。

画面を展開すると8.03インチの大画面。この手の製品の中でもかなり大きい部類だ

フレックスモードにもしっかり対応。軽くてもヒンジの作りはしっかりしており、画面の角度は135度くらいまで保持できる
vivo X Fold3の特徴は厚みが4.65mm、閉じた状態で10.2mmと驚異的な数字だ。重量は219gと軽量化も極限まで行われている。厚みはXiaomi MIX Fold 4が単独4.59mm、閉じた状態で9.47mmとするなど先行しているが、重量では226g。vivoの方が未だ世界最軽量の端末なのだ。

本体はかなり薄く、軽量に仕上げた。参考に隣に置いたAQUOS R8 proとも大きな差はない

本体はガラス製の背面を採用。カラーはレビューで紹介するブラック、ホワイトがある。
プロセッサはSnapdragon 8 Gen 2を採用。今年のフラグシップではないものの、その分価格を抑えている。メモリはLPDDR5、ストレージはUFS4.0規格のものを採用している。

高負荷な学マスも最高画質で遊ぶことができる。フォルダブル端末なので発熱面で不利な点はあるが、それでも快適な部類だ。
カメラ性能は上位機種には引けを取るものの、十分なハードウェアスペックだ。ソニーのIMX920(1/1.49型)のイメージセンサーを採用した5000万画素のメインカメラをはじめ、5000万画素の超広角カメラ、5000万画素の2倍望遠カメラを備える。フロントカメラは1600万画素のものがカバー画面。メイン画面のそれぞれに採用されている。
同社のハイエンドスマートフォン同様にレンズのZEISS T*コーティングも備えるが、上位モデルのようなV3といった独自プロセッサは備えない。それでも、同社が得意とする夜景なども非常に綺麗に撮影できる。

フォルダブルスマートフォンとしては充実したカメラ構成だ




標準域はきれいに撮影できる。折りたたみスマートフォンでもカメラ性能は向上している


デジタルズームでも補正が入るので、5倍望遠くらいまではきれいに撮影できる




昼間はもちろん、夕暮れや夜間でも綺麗に撮影できる
本体のバッテリーは5500mAhと大容量。エネルギー密度を高めた新型のバッテリーが採用されており、薄型、軽量化しながらも、大容量のバッテリーを搭載できた。80Wの急速充電にも対応している。急速充電に関しては、速度が抑え目な機種が多い折りたたみスマホの中ではしっかりと差別化されているポイントだ。
OSはAndroid 14ベースのOrigin OSが採用されている。最新バージョンでは各種機能が追加され、マルチタスクの使い勝手も洗練されてきた。近年はアプリ側もフォルダブル端末に対応しはじめ、海外メーカーの機種でも利用しやすくなった

画面分割も問題なく可能だ
ついに210g台へ。触れるともう他の機種は使えないレベルの軽さに驚く
今回、改めてvivo X Fold3を触ってみて、折りたたみスマホにおける技術の進歩をまざまざと感じさせられた。全部載せの上位機種とは異なるが、vivo X Fold3は一度でも触ったらその感覚が体に染みつくほどの鮮烈な体験だ。昨年のMate X3と同じような体験だが、一回り大きくなって20gの軽量化はもはや体が驚くレベルの異次元だ。
筆者としても、久しぶりにフィーリングで衝撃を受けたスマートフォンだった。はじめて触った時は、思わず笑いが飛び出る軽さで、触らせてくれた店舗のスタッフも笑顔になるのだ。そして、画面を展開したら軽量さをまざまざと実感する。
ある意味、7〜8インチのタブレットサイズで重量は219g。こんなものが数年前に出ていれば、余裕で難民を生み出しそうなスペックだ。
筆者もこの機種に触れてから改めてHONOR Magic V2やHuawei Mate X5、Xiaomi MIX Fold 3、Galaxy Z Fold6といった名だたる折りたたみスマートフォンを触ってきた。それでも、vivo X Fold3を超える衝撃には至らなかった。あの重量感は他の機種の存在を過去のものにする…まさに「折りたたみスマホ2.5」の時代が来たのかもしれない。


従来モデルよりも薄型軽量化したGalaxy Z Fold6でも、vivo X Fold3の前では「凝縮感」を感じるくらい重い。折りたたみスマートフォンの20gは数字以上に体感できる。

通常のスマートフォンであるGalaxy S24 Ultraよりも軽いとなれば笑いしか起こらない
もともと重量級フォルダブルが多かったvivoの製品群。前作のX Fold2が軽量化されてもなお279gだったことを踏まえると、フラグシップのX Fold3 Proが236g、本レビューのX Fold3は219gと大きく軽量化された。従来モデルの惜しい点をしっかりと改善したのだ。
vivo X Fold3にも惜しいところがないわけではない。ペン入力には非対応だったり、防水性能がなかったりといったトレンドは追い切れていない。これは軽量化ゆえの削ぎ落としと感じられる。
グローバルスタンダードのGalaxyと比較するとソフトウェアの作り込みは引けを取るが、驚異的な軽量ハードウェアでそれらのマイナスポイントを感じさせない魅力を伝えてくる。筆者はこの軽さから、もう他の機種に戻れないのだ。
vivo X Fold3は6999元(約15万円)で販売されている。いわゆる廉価版の機種であり、同じセグメントの端末を展開するHONORと張り合う姿勢だ。
廉価で軽量をアピールするHONOR Magic Vs 3とは異なり、廉価モデルは「圧倒的な軽量化」という上位モデルと別の魅力を備える方向の差別化を図ってきた。上位モデルを検討した方も悩ましい選択肢を出されたと思っている。
vivo X Fold3は可能であれば、ぜひ一度手に取って欲しいスマートフォンだ。一度でも触ってみれば、折りたたみスマートフォンのイメージが変わるかもしれない。そして、コレよりも重い折りたたみスマートフォンには戻れなくなるかもしれない。