様々な製品の登場で市場をにぎわすワイヤレスイヤホンたち。今回はXiaomiがAmazonなどのEC販路限定で取り扱う1980円の激安ワイヤレスイヤホン、Redmi Buds 6 Activeをレビューする。
もはや激安を通り越して価格破壊。「Redmi Buds 6 Active」をチェック
市場競争が過熱する完全左右独立型イヤホンの市場。3万円を超える製品も当たり前になる中、コストパフォーマンスを重視した中国メーカーも多く登場した。
今回はその中でもスマートフォン大手のXiaomiが、価格破壊もいいところの1980円という小学生のお小遣いでも購入できそうな完全ワイヤレスイヤホンを発売した。それがRedmi Buds 6 Activeだ。

箱は一般的なイヤホンでよく見かけるタイプ

ケースと本体はブラック、ホワイト、ブルー、ピンクの4色展開。今回はブルーを選んだが、廉価モデルでここまでカラーリングが多い機種もそうない

ブルーとピンクはケースの蓋がシースルーになっており、イヤホン本体を視認できる

本体の収まりも悪くない。いわゆるAirPodsのようなもので、特段取り出しにくさもなく使いやすいものだ。

イヤホンの形状は一般的なものだ

タッチセンサー付近は中の基板がシースルーで見えるところもいい。
1980円という価格を考えれば高音質なサウンド。イコライザでカスタマイズも
Redmi Buds 6 Activeの対応コーデックとしては、SBCに対応している。AACに対応しない点は惜しいが、そもそもこの価格帯でワイヤレスイヤホンという製品が少なく、ましてや大手メーカーの製品となれば皆無だ。
イヤホンのプロセッサにはBluetooth 5.4対応のチップを採用したことで、混雑した環境でも音切れしにくくなっている。
そういう意味ではこの判断は妥当と評価するべきだ。ちなみにSBCでも320kbpsの情報を伝送できるため、理論上はMP3の高音質音源相当で楽しめる。
オーディオハードウェアについては14.2mm経のドライバーユニットを採用している。インナーイヤー型だが、低域再生に重点を置いており、Xiaomi Acoustic Labにてチューニングされたサウンドとしている。そんなRedmi Buds 6 Activeを早速聴いてみることにする。今回の試聴曲はこちら
Boom Boom Pow/花海咲季
きまぐれユモレスク/箱崎星梨花
nexus/ClariS
スロウリグレット/田所あずさ
今回の試聴環境はスマートフォンにソニーのXperia 1 VIを採用し、SBCの環境で使用する。

今回のレビューではXperia 1 Vを使用した
Redmi Buds 6 Activeの感想として、実売価格1980円の商品と考えれば十分すぎるサウンドに正直驚いたところだ。インナーイヤー型の割には低域も出ており、サウンドはソリッドというわけでもなく適度に角も立たない。聞き疲れしにくいサウンドとなっており、本当に2000円以下とは思えないくらいよく作り込まれたサウンドだ。
高域やボーカル域はシャリ感こそあるが、廉価な機種でみられる「キンキンするシャリ感」はかなり抑えられている。聞いてて耳が痛いと感じることはないが、低域が支配的なので閉塞感を覚える方もいることだろう。
最初にスロウリグレットを聴いてみる。ドラムスやベースがやや前に出てくるためか、ボーカルの低位感がやや奥まる印象がある。ドラムスのキックやベースラインがどうしても軽めに感じてしまうが、この機種は1980円の製品であることを考えれば十分すぎる。
ここで曲を「nexus」、続けて「Boom Boom Pow」に変えてみる。低域の量感はインナーイヤー型なのでどうしても劣るが、この価格帯にしてはかなり良質な低域を鳴らしてくれる。
低域のレスポンスがあまり良くないので、弾むようにビートを刻む前者では、どうしても残響感のようなものを感じてしまう。後者では最低域が厳しいこともあって、薄いサウンドになってしまう印象だ。ソリッドなサウンドを好む筆者とは合わないが、この辺りはワイヤレスで1980円という価格を考えたら許せてしまう。
ここで曲を「きまぐれユモレスク」に変えてみる。ボーカルラインがメインで、低域はやや控えめだ。全体的に尖りのない丸い音だが、筆者的には割と好みのバランスで聴くことができる楽曲と感じる。この楽曲がスローで尖った音使いをしていないところもあり、適度に丸い低域に包まれる感覚は心地よい。少しノスタルジーなサウンドと評価してもよいだろう。
この機種には5種類のイコライザーも利用できる。筆者としてはイコライザーを「音量を上げる」という設定にすると、よりパワフルなサウンドが楽しめるのでオススメだ。何度も言うが、実売1980円のイヤホンに求める音としては十分すぎるのだ。
Redmi Buds 6 Activeのイチオシは音ではなく、1万円クラスの機種顔負けの充実した機能の数々
さて、音質についてはこの辺りにして、ここからはマイクの品質や本体の質感について書いてみる。Redmi Buds 6 Activeにはデュアルマイクノイズリダクションという機能を備え、周囲の音や風切音を軽減させることができる。実際に使ってみたが、通話が聞き取りにくいといったことはなかった。
Redmi Buds 6 Activeの特徴は他にもある。安価ながらもGoogle Fast Pair、空間オーディオに対応する。また、専用アプリに対応し、イコライザーのほか、イヤホンを探す、各種操作割り当ての切替も可能だ。オマケに本体は防滴まで備えており、1980円のワイヤレスイヤホンでここまで多機能な機種が過去にあったものかと思わせる。知る限り思い当たらない。

フィット感については市場でもよく見るあの形状だ。やはりこの形状は人間工学的にもよくできているのか、完全ワイヤレスイヤホンの中でも上位に入る装着感だ。
バッテリー持ちに関しては公称値で6時間となっている。実際に使ってみてもあまり悪いという印象を受けなかった。ケースを用いると最大30時間の再生が可能だ。ケースは10分急速充電で60分利用できる。
Google Fast Pair対応は大きな特徴だ。極度に廉価な機種の場合、接続性や接続方法に難があるものが多いが、Redmi Buds 6 Activeはこの機能に対応する機種では恐らく最安値のひとつだ。。
この機能はAndroid端末においてGoogleアカウントが登録されている場合、イヤホン側もこれに紐づくものだ。日本では現在販売中のほぼ全てのAndroidスマートフォンで利用できる。これによって面倒なペアリングが作業がワンタップで行え、蓋を開けたらイヤホンに自動接続が可能になる。タブレット端末といった複数の端末ともシームレスに接続できるといった利点もある。

接続時にポップアップが出る

専用アプリ「Xiaomi Earbuds」から操作の割り当て、イコライザー、簡単に設定できる
簡単かつ、高い接続性やアプリによるカスタマイズ部分については1万円クラスのイヤホンに備わる機能だ。近年では廉価機種でも充実し始めたが、それでも1980円のイヤホンでここまで揃っているものは他にない。
加えて、Redmi Buds 6 Activeでは、スマートフォンからイヤホンを探すともできるようになっている。

2000円以下のイヤホンで「イヤホンを探せる」機能が備わっているイヤホンには初めて出会った
1万円クラスの接続性と充実の機能。1980円でも「これでいいじゃん」と思わせてくれるイヤホン
さて、今回レビューのRedmi Buds 6 Activeというイヤホン。音質も価格を考えれば納得できるレベルに仕上げており、Google Fast Pairや空間オーディオ対応といった「機能面」はかなり充実した商品だ。
アプリからのカスタマイズに加え、紛失時に音を鳴らしてイヤホンを探せるといった機能は、2000円以下の商品ではまず存在しないレベルだ。
筆者としては、初めての完全ワイヤレスイヤホンとしてかなりお勧めできる製品だ。音の好みはさておき、ふたを開ければスマートフォンと自動接続ができる。初回セットアップも簡単に行え、アプリからカスタマイズができる点は1万円以上する機種とも体験的には劣らない。
特に2000円以下の廉価な機種では日本語の説明も不十分な上に、ペアリングや接続性に難のある機種も少なくない。お試しでワイヤレスイヤホンを買ったら「使い物にならない」という意見も出やすい価格帯もこのラインだ。
そのような常識をある意味打ち砕く製品だ。ワイヤレスイヤホンで最も大切な接続のしやすさをGoogle Fast Pairでしっかりアピールした点は高く評価したい。前述するGoogle Fast Pair、専用のアプリでのカスタマイズ対応は同価格帯のゲオなどで販売されるイヤホンにもなく、立派なアドバンテージとなっている。
正直、この価格であれば「これでいいじゃん」と思わせてくれるだけのパフォーマンスを持ち合わせている。1万円の機種と比較すると確かにイヤホンの音質やアプリの使い勝手などで劣るが、その5倍の価格差を埋める体感ができるか?と問われると筆者は難しあと考える。
もはや2000円となれば、Amazonのセールなどで値下げされる廉価な機種よりも安価だったりする。常にプライムデーセールみたいなイヤホンだ。
Redmi Buds 6 Activeは、はじめてのワイヤレスイヤホンにはもちろん、職場用などの2台目とりあえず買っておけとも言えるような製品だ。
特にAndroidスマートフォンを持っている方には比較的お勧めできる製品だ。AACに対応していない点が惜しいが、安価でもしっかり使える商品を求める方はチェックしてみてはいかがだろうか。