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Xperia 1 VI レビュー 進化したカメラと期待以上の電池持ち!変化してもソニーらしさは健在

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新型プロセッサで発熱も低減!妥協のないスペックを手にしたXperia 1 VI

 もちろん、Xperia 1 VIは基本スペックに関しても抜かりはない。下記にまとめるが、2024年のハイエンド端末らしいものに仕上がっている。

SoC:Qualcomm Snapdragon 8 Gen 3

メモリ:12/16GB

ストレージ:256/512GB

画面:6.5インチ フルHD+
120Hz LTPO対応、HDR10 BT2020対応

電源ボタン一体型指紋センサー

IP68等級の防水、防塵対応

バッテリー 5000mAh

サイズ:約74mm×約162mm×約8.2mm

重量:192g

OS:Android 14

 核となるプロセッサはQualcomm Snapdragon 8 Gen 3を採用している。基本スペックは今期のハイエンドらしい仕上がりだ。今作ではシリーズ初のベイパーチャンバーを採用し、冷却面も強化してきた。

 従来のXperia 1シリーズで感じた発熱もかなり低減された。これはメーカー側も「不快な発熱」を抑えることに注力した結果が反映されている。

 一方でベンチマークスコアは他社機種より劣るので、出せる最高性能に振ったというよりは、各種機能面のユーザーエクスペリエンス向上を図ったチューニングと考えるのが妥当だ。

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Xperia 1 VIは原神や学園アイドルマスターといった高負荷なコンテンツも最高画質で快適に楽しめる

 ディスプレイは今作より、2380×1080解像度のフルHD+のものが採用されている。従来の4K解像度でなくなったことから「グレードダウンした」という意見もみられたが、 細かく見ればドット感はあるものの、実体験において劣化は感じられない。

 今作では、同社のテレビであるブラビアを基準としたチューニングも行われたことで、メリハリのある映像を表示できるようになった。精細さでは従来よりも劣っていても、より綺麗なディスプレイへ進化した印象だ。

 Xperia 1 VIでは画面の最大輝度が従来品の1.5倍に向上し、屋外でも画面がより見やすくなった。 これに加えて「サンライトビジョン」という画面輝度のブースト機能を備える。こちらはフレーム単位で画面内の映像を分析し、明所部分は維持しつつ白飛びを抑えることでディスプレイ内のコンテンツをはっきり表示できるという。ただ、輝度を上げるだけのものではないのだ。

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画面の明るさについて、これは誰の目から見てもわかる大きな改善点だ。他社製品よりも画面輝度が劣り、屋外では見にくいと指摘されていたところから大きく改善された。

 また、画面アスペクト比率も21:9から19.5:9と一般的なスマートフォンと同様のものになった。こちらはフィーリングに直結する部分なので、従来の21:9比率の機種を好んで利用していた方には抵抗のある部分だ。筆者としてもこの部分の意見は分かれると感じている。

 動画コンテンツに合わせた解像度やアスペクト比に変更したことで、動画視聴において画面上下の黒帯が少ないといった利点が生まれる。両者を比べてみると、従来モデルに比べると横幅がやや広がった印象だ。

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Xperia 1 VIと比較するとXperia 1 VIは横に長くなった

 それ以外では、画面内にパンチホールカメラなどを備えないといった「メディア視聴」へのこだわりを見せた。残像低減処理を行う240fps相当の処理や、240Hzのタッチレートには引き続き対応している。

 もちろん、画面はHDR10やBT2020対応といった色表示に加え、マスターモニターとしての利用を考慮した高い基本性能は引き続き備える。従来機種同様に外部モニターとしても利用可能だ。

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今作もパンチホールインカメラといった「障害物」が画面にない構成だ

 本体のスピーカーはフロントステレオとなっている。Xperia 1 V比較でも本体容積が大型化しているなど、より深みのある低域再生が可能になった。

 同様に左右どちらも近い形状として制御される「フルレンジスピーカー」に近いもので、同社が展開する360Realty Audioにも単体対応する。Xperia 1 VIで音楽を再生すると、まるで包み込まれるような音を感じることができる。この体験は他社のスマートフォンではできないものだ。

 Xperia 1 VIは引き続きイヤホンジャックも搭載している。前作より回路設計、導線距離を見直したことで、音質面では優位となっている。特にアンプが一新されたのか、従来よりも音量、音圧が出るものとなっている。

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イヤホンジャックは搭載する機種が減っているだけにありがたい

 高音質アップコンバート機能であるDSEE Ultimateも引き続き搭載。音質的には不利なストリーミング配信音源もより良い音で楽しめる工夫がされている。もっとも、この機種は世界的に見ても稀な「ビットパーフェクト再生」に対応しているので、ハイレゾ配信サービスも本体だけで存分に楽しむことができる。これだけでも立派な付加価値だ。

 デザインとしては従来同様にフロストガラスながら、背面はドットの入るデザインだ。これは滑り止め等としても機能している。フレームにも細かいスリットが入っているなど、Xperia PRO系の意匠も一部採用されている。カメラバンプ部のカラーも本体と同じ色になったことで、より一体感のある仕上がりへと変わった。

 今回は直販ストア限定カラーの「スカーレット」を選択した。発表当初から話題を呼んだ赤いカラーのXperiaで、過去のXperia XZ Premiumのロッソの系譜に近い存在だ。筆者の周りの大多数がこの色を選んでいる。

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フレームまで含めた鮮烈な赤が印象的だ。電源ボタンの黒がいいアクセントになっている

 Xperia 1 Vについては、日本のキャリア向けがメモリ12GB、ストレージ256GBの構成。オープンマーケット版ではストレージが512GBモデルも展開されている。

 Xperia 1 VIでも引き続きmicroSDカードが利用できるので、メディアの保存場所には困らないスマートフォンだ。日本では依然としてスマートフォンにmicroSDカードスロットを求める声が多く、そのような声に答える形で搭載させているものと考える。

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Xperia 1 VIはmicroSDカードスロットを備える

便利になったサイドセンス、より長持ちするバッテリー、OSアップデートも3回行うなどユーザーの声をしっかり反映

 Xperia 1 VIでは操作UIに一部変更が見られた。特にステータスバーのメニュー表示はAOSP標準ではなく、独自のデザインに変更された。

 従来から備わるサイドセンスもアップデート。メイン画面はアプリではなく、ダッシュボードの項目になった。ここからはWi-Fi設定のオン・オフや画面輝度の調節などが可能で、ステータスバーをスワイプしなくても操作できる。アプリのショートカットは白いメニューバーを上にスワイプすると表示できる。

 ダッシュボードには音楽再生の優先設定が表示されるなど、表示や操作できる項目も多い。従来よりもいくつか使いやすく改修された印象だ。
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従来の製品に比べるとより使いやすくなった印象だ。

 ゲーミングモードの「Game Enhancer」もUIの変更が見られた。配信機能の強化といった強みはそのままに、タップ誤りの検出、補正といったことも可能になった。この辺りにはAI処理が用いられているという。

 配信機能には従来同様に配信時の誤爆を防ぐ「プライバシーモード」、サムネイルや配信画面のレイアウト設定なども利用搭載できる。本体のUSB端子も音声の入出力が可能キャプチャーボードとしての機能も備えるため、機材のステップアップにも対応できる。

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Game Enhancerのデザインは若干変更されている。

 従来から備わっているL-γレイザーやRTレコードなどの独自のゲーミング機能も引き続き搭載されている。スクリーンショットの連写機能も他社商品にはない機能だ。f:id:hayaponlog:20240712185017j:image

スクリーンショットの連写機能は旧機種でも利用できる

 目玉機能となる「Music Pro」も引き続き利用できる。サードパーティにも開放されているが、マイクの指向性などはXperiaを利用して調整されているので、最も最適化された環境だ。これは音楽制作時のレコーディングを行えるアプリで、高精度なノイズ処理などを行うことで、高音質で収録できるとしている。

 筆者としては、音声全般を扱うものに有用なことを確認しているので、ラジオコンテンツやVtuberなどの収録でも生きると考えている。

 そして、大きく進化したのはバッテリー持ちだ。従来のXperiaが競合製品に対して「あまり持たない」と指摘されていたことに対し、Xperia 1 VIでは前作のXperia 1 Vと比較して常用時間で2倍。通常利用で2日間のバッテリー持ちを達成したという。

 実際に使ってみたが、バッテリーの持ちは想像以上に良く、Galaxy S24 Ultraといった競合製品よりも長持ちだ。これはバッテリー性能の向上はもちろん、新型プロセッサを採用したこと、処理の最適化が図られたことが理由だ。

 他には従来よりも画面解像度を落としたことや、リフレッシュレートを可変させることができるようになったことがプラスに働いている。

 また、ソフトウェア周りでは3回のOSアップデート、4年間のセキュリティアップデート提供をメーカー公式が行うとした。高価な機種だけにアップデートが短命であると指摘されていたが、この辺りも解消する方向だ。

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直販モデルは3回のOSアップデートを行うと明言。キャリア版も追従してくることになるはずだ

変化によるマイナスイメージも「使えば」納得。復活のXperiaとなるか

 さて、このXperia 1シリーズのコンセプトは「好きを極めた人に贈るスマートフォン」だ。このキャッチコピーから6作目となったXperia 1 VIは、画面比率や解像度の変更といった大きな節目を迎える中、ソニーらしさをほとんど削がずに作り上げた製品だと感じた。

 カメラに関しては連写機能やシャッターボタンを備えることで、並みのスマホでは体感できない「フィーリングの気持ち良さ」が持ち味だ。

 今作はテレマクロの存在が非常に面白く、他社製品ともうまく差別化を図れたように感じた。マニュアルフォーカスのピーキーな操作系ではあるものの、使いこなせれば従来のスマートフォンでは難しかった作例にチャレンジできる。

 もちろん、シャッターボタンのエンボス加工はまさに「カメラのシャッターボタンそのもの」の触り心地であり、ハードウェア的な特徴は健在だ。

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シャッターキーもしっかり備える

 パフォーマンスにおいては、最新のチップセットを搭載したことで、スペック面で不満に感じることは少ない。課題であった発熱もSnapdragon 8 Gen 3で改善され、ベイパーチャンバーといった冷却機構も追加された。

 加えて、高性能なスピーカーをはじめとしたオーディオ機能や、バッテリー容量を増加させながら本体サイズは据え置きという点など、この辺りもソニーらしいこだわりを感じる部分だ。

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パッケージは引き続き環境に配慮した素材を採用している。

 さて、日本国内モデルは大手3キャリアで販売される。しかし、各社フルバンド化やミリ波やeSIM対応、昨今の半導体不足や急速に進んだ円安の関係などもあり、価格は3キャリア共通で20万円を超えている。

 一方で直販版はミリ波には非対応なものの価格を抑えており、メモリ12GB、ストレージ256GBの構成で18万9200円としている。ここから予約特典と各種キャンペーンを用いると最大で2万円のキャッシュバックを受けられる。実質17万円で購入できるのだ。

 高価なキャリア各社は1〜2年後に端末を返還するプログラムを適用することで、実質10万円前後にできる設定だ。20万円を超える一括価格は、これを利用することが前提の価格設定だ。実質負担額は安くなるため、端末の数年後の買取価格などを考えれば、決して悪いものではないだろう。

 さて、Xperia 1 VIは21:9画面、4K解像度といったファンの言う「アイデンティティ」は失ったかもしれない。それでも「ソニーらしさ」はほとんど削ぐことなく、より使いやすく進化した。

 基本性能の向上、画面輝度の向上、バッテリー持ちの向上といった不満点はほぼ全て解消してきた。スペックシートよりも肌身で使った方がより進化を実感できる。じっくり使えば使うほど純粋な良さが伝わってくるこの機種を表現するなら、まるで「スルメ」ようなスマートフォンだ、

 もちろん、従来モデル同様に1台で宅録機材、配信機材、高性能なカメラや音楽プレイヤーを兼ね備える「Xperiaの強み」な要素もしっかり持ち合わせる。そんなXperia 1 VIはある意味「変態スマホ」だ。こんな機種は世の中を探してもソニー以外になく、替えがきかない。唯一無二のスマートフォンだ。

  Xperia 1 VIはある意味のフルモデルチェンジ遂げた商品だ。ソニーのプロダクトが好きな方にはもちろん、今までのXperiaで「ここが惜しい」と感じていた方にも安心しておすすめできる。

 ファンの中には4K画面や21:9比率を廃止したことを良しと思わない方も少なくない。そんな方ほど食わず嫌いせず、一度店頭で触ってみて欲しい。筆者のように感じていた懸念は嘘のように吹き飛ぶ方も少なくないはずだ。

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