日本でも発売され、マニアやフォトグラファーを中心に注目されるXiaomiの最新スマホ「Xiaomi 14 Ultra」ここまで概ね3か月ほど利用してきたので、メリットとデメリットをまとめていこう。
3ヶ月使って分かったメリットは「最強エモカメラ」を持つスマホ。いい意味でスマホらしからぬ写りに驚く
Xiaomi 14 Ultraに関して、最も関心の高い部分がカメラ性能だ。日本でもユーザーの評価は高く、「エモい写真が撮れる」「スマホらしからぬ写真が撮れる」と概ね高評価な意見が多い。ハードウェアとしてもかなり高性能で、1型センサーを採用したメインカメラには、可変絞りも備える。超広角カメラはもちろん、換算75mmと120mmの望遠カメラは最短撮影距離も短く、撮影しやすい画角に仕上げた。
加えて純正のカメラグリップも進化。ダイヤルを備えることで、操作性も向上した。67mm径のフィルターも装着できるので撮影の幅が広がった。

カメラグリップも進化し、従来モデルよりも使いやすくなった











Xiaomi 14 Ultraで撮影できる写真はいい意味でスマホらしからぬ「エモい」写りを簡単に演出できる。今年発売された「カメラ特化スマホ」は概ね使ってきたが、このようなエモい写りを簡単に演出できる機種はXiaomi 14 Ultraだけだった。
もちろん、他メーカーも設定次第ではXiaomiのようなエモい雰囲気の写真が撮影できるが、ライカとコラボしたXiaomiがこの辺のノウハウを多く持ち合わせているものと思われる。




多彩なアートフレームが利用できる点もアピールポイントだ



可変絞りを持つからこそ、光芒の演出も簡単にできる。




他社にない特徴は3.2倍、換算75mmの望遠カメラだ。他社製品に比べて性能が高いわけではないが、10cmまで寄れること。ペリスコープ方式ではないことでふんわりとした自然かつ円形の背景ぼけを演出できる点が差別化ポイントだ。
望遠カメラの最短撮影距離ならHuaweiのPura70 Ultraがあり、高解像度撮影ならvivo X100 Ultraがライバルでいるものの、Xiaomi 14 Ultraの3.2倍望遠のような背景ボケは演出できない。
高性能はもちろんのこと。90Wの急速充電であっという間にフル充電できることもメリット
Xiaomiのフラグシップなだけあって基本性能も高い。プロセッサはSnapdragon 8 Gen 3を採用し、メモリは16GB、ストレージは512GBを採用する。カメラ性能だけでなく、基本性能も高いレベルに仕上げてきた。
原神や学マスといった高いグラフィック性能を求めるコンテンツも快適に動作し、カメラだけのスマホではないのだ。
加えて画面輝度もピーク時3000nitと明るく、屋外での視認性も高いディスプレイを採用している。カメラの撮影時に「暗くて見えない」といったシーンは少ない。

Xiaomi 14 Ultraは学マスも快適に遊べる1台。直射日光下でも画面を視認できる明るいディスプレイだ
意外にも助けられたのは90Wの急速充電だ。カメラ特化スマホという特性上、スマートフォンの中でも電力消費の多いカメラを使い続けることが多く、出先でバッテリーを消費した場面が多い。
そのような場面では、急速充電は本当に強かった。カフェで一息つく間に80%まで充電できていることは非常にありがたかった。
充電器は本体に同梱されているが、日本で過去に発売されていた120Wの急速充電に対応する充電器でも下位互換で90W充電が利用できる。予備の充電器も比較的入手しやすい環境にある点もプラスだ。

出先でも急速充電ができる点は非常に助かる場面が多かった
今やハイエンドスマホでは当たり前になってしまったが、IP68等級の防水、防塵に対応する点もプラスだ。カメラスマホとしては水辺での撮影の自由度が上がり、普段使いとしても安心感が段違いだ。
3ヶ月使って感じたデメリット。競合と比べて悪い電池持ちと炎天下での弱さ
さて、Xiaomi 14 Ultraを3ヶ月使ってきて感じたデメリット。特に”惜しい”と感じた点は電池持ちの悪さだ。筆者の場合は、日本を含めたグローバル版ではなく、先行した中国版を使っている。
こちらはバッテリーが5300mAhとグローバル版よりも多いが、これでも競合他社の5000mAhのバッテリーを採用した機種に比べるとバッテリーを早く消耗する。
特にカメラグリップを装着していると追加バッテリーが付いているにも関わらず、思った以上の速さで消費される。また、使用してない時でもグリップを接続しているとじわじわと本体バッテリーが消費されていく。
これは追加バッテリーから先に消費していくので、グリップをつけた時に「電池持ちが良くなった」と体感できる場面は少なく、むしろ待機が多い場では「グリップの電池だけなくなっていた」という場面が多かった。
この辺の挙動はソフトウェアアップデートで一部改善されたり、バッテリーから給電しないオプションを利用すれば改善される。それでも、完全には解消されていない。
理由としては、USBコネクタ接続になったことで多少なり端子を通じて常に電気が流れ続ける状態が理由と考える。実際グリップを使用していない状態であれば、待機時にバッテリーが極度に減る現象はなかった。一方で、前述の90W急速充電があったため、このような早いバッテリー消費でも運用面である程度カバーができた。
それと気になったのは本体の発熱だ。Xiaomi 14 UltraのプロセッサはSnapdragon 8 Gen 3と高性能だ。それでもある程度の冷却性能は持ち合わせているので、ゲームなどの「自端末の発熱」による処理落ちは見られなかったが、屋外でカメラを利用すると時折熱落ちの挙動をする。
特に炎天下の環境では発熱でカメラが強制終了する場面も見られ、動画のみならず静止画撮影でも厳しい様子だった。競合機種でも炎天下の環境は厳しいが、Xiaomi 14 Ultraはその中でも最も早くに熱落ちし、その頻度も多かった。炎天下でも安定してカメラを利用したいならGalaxy S24 Ultraの方が安定している印象だ。
理由は、本体全体を使って冷却する機構のため、外部の熱を拾いやすい構成になっていることが挙げられる。本体カラーがブラックだと、画面側と本体背面の両方でより熱を吸収しやすくなる。
Xiaomi 14 Ultraの特有のものとして、カメラグリップを接続して「微弱な電流が流れる状態」になっていることも挙げられる。
また、カメラグリップから充電している場合、サーマルスロットリングは通常利用よりもさらに厳しくなるため、思うような挙動をしない可能性が高い。気になる方は設定から給電機能をオフにすると少しは改善する。
加えて、日本を含めたグローバル版ではカメラグリップは「黒」しかラインナップされていないため、装着している場合は色を問わず熱を吸収しやすいことも熱落ちしやすい理由と考えられる。
これからの夏の時期は、スマートフォンの熱対策も考えなければならない。Xiaomi 14 Ultraの場合は他のスマホよりも炎天下や直射日光下に弱いため、ユーザー側がしっかり対策を練る必要がありそうだ。

筆者の持つホワイトでも炎天下では熱落ちする場面が目立った
惜しい点こそあるが、現時点で日本で買える最強のカメラスマホ
今回3ヶ月使ってみた惜しい点としては、主に電池持ちの悪さと、これからの時期はネックになる熱落ちのしやすさが目立った。この辺は、ソフトウェアアップデートで改善できる見込みもある。
このほかには、おサイフケータイ(FeliCa)に対応していない、80Wのワイヤレスチャージャーと言った一部周辺機器が日本で販売されていないといった点も、利用シーンによっては惜しい。
一方、それを上回るメリットが現時点では日本国内で販売されている最強クラスのカメラスマホであることだ。他社のカメラ強化スマホと比較しても「ライカチューニング」は唯一無二であり、エモい描写を簡単に撮影できる点は利点と評価したい。
多くのスマートフォンを使ってきた視点で見れば、過去に日本で発売されたスマートフォンのうち、ここまでカメラの撮影体験が楽しい機種は片手で数える位しか存在しない。プロ仕様のとっつきにくさはなく、誰でも簡単に撮影できる点は高い評価ポイントだ。
もちろん、今年発売のハイエンドスマホに恥じない基本スペックの高さや、90Wの急速充電に対応する点、Xiaomi端末との連携性が高い点も立派なアドバンテージだ。そんなXiaomi 14 Ultraは公式ストア等で販売中だ。興味がある方はぜひチェックしてみてほしい。