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Google Pixel 8aレビュー ゲームは不向きでもAI機能は充実!7年のアップデートも魅力

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 先日のPixel 8aの発売からおおむね半月が経過した。円安環境でも日本向けに強気の価格設定としたことで市場でも高評価なスマートフォンとなっている。今回、筆者は自腹で購入し、半月ほど利用してきての感想を含め改めてレビューさせていただく。

目次

円安情勢でも攻めた価格で投入したPixel 8a。上位機種のPixel 8との違いもチェック

 昨年発売の「Pixel 8」はAI性能などの強化によって、数々の新機能を備えるGoogleらしいスマートフォンに仕上がった。大手3キャリアでの取り扱いもあり、市場でもかなり話題となったスマートフォンだ。そんなPixel 8のエッセンスを取り入れながらも、安価な価格を実現したものがPixel 8aとなる。日本市場では価格面にかなり力を入れての販売となった。スペックは以下のようになる。

SoC:Google Tensor G3

メモリ:8GB

ストレージ:128GB

画面:6.1インチ FHD+ OLED
120Hzのリフレッシュレートに対応

カメラ

メイン:6400万画素 f1.7
超広角:1200万画素 f2.2

フロント: 800万画素

生体認証:指紋認証(画面内)
バッテリー:4492mAh

ワイヤレス充電に対応

OS:Android 14

直販価格:7万2600円

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今回はaloeというカラーをチョイス。明るいグリーンが印象的で、暗めのグリーンが多かった同シリーズのなかではBayに次ぐ形で派手な印象だ。

 基本的にPixel 8aは純粋にPixel 8の下位モデルに当たる。上位機種に比べてハードウェア性能は一部抑えられているが、SoCにはGoogle Tensor G3を採用したことで「Pixel 8と同じ性能を持ち、固有の機能そのまま利用できる点」が特徴だ。

 Pixel 8と8aで明確に差があるポイントは、ディスプレイがPixel 8が6.2インチに対して、Pixel 8aは6.1インチ。どちらもOLEDパネルだ。120Hzリフレッシュレート、明るいActiaディスプレイを採用し、ピーク輝度2000ニトといったスペックは共通だ。Pixel 8aのディスプレイは価格を考えれば品質は高いものが採用されている。

 また、画面のガラスに差があり、Pixel 8はCorning Gorilla Glass Victusを採用するのに対し、Pixel 8aはワンランク下のGorilla Glass 3を採用する。

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ディスプレイは明るいものが採用されている

 カメラ性能はそれぞれメインカメラはPixel 8が5000万画素、Pixel 8aは6400万画素だ。Pixel 8の方がイメージセンサーが大型のため、暗い場所では優位に作用する。また、Pixel 8はレーザーオートフォーカスも採用する。
 超広角は似たようなスペックだが、Pixel 8はオートフォーカスに対応するため、マクロ撮影が可能だ。フロントカメラもPixel 8はDual PDに対応するセンサーを採用するなど、差が見受けられる。

 バッテリー容量はPixel 8は4575mAhに対して、Pixel 8aは4492mAhと若干少ない。どちらもワイヤレス充電に対応するが、Pixel 8のみリバースチャージに対応する。

 本体重量やサイズはPixel 8は150.5mm × 70.8mmに対して、Pixel 8aは152.1mm × 72.7mmだ。厚さは共通して8.9mmとなり、サイズはPixel 8aのほうがやや大きい。太めの画面ベゼルからも納得がいきそうだ。また、防水防塵等級もPixel 8はIP68に対してPixel 8aはIP67といった差がある。

 価格はPixel 8が11万2900円〜に対して、Pixel 8aは7万2600円だ。Pixel 8aはこうしてみると大きく価格を抑えている。

 こうやって比べてみるとPixel 8と8aには差があるものの、Pixel 7シリーズの時よりも差は縮まっている。本体サイズなどの差はあるが、他社の廉価グレードに比べると上位とコンセプトは揃えながらコストカットしていることを感じられる。

安価でも侮れないカメラ性能。AIによる強烈な補正が特徴のPixel 8a

 Pixelシリーズの売りのひとつにカメラ性能がある。筆者も近年のスマホを買うなら、まずはカメラ性能からというくらいには注視している。Pixel 8aは廉価モデルなだけあってハードウェア性能は抑えられているが、前作からは大きく性能向上を果たした。

 メインカメラはPixel 8で採用される5000万画素のものではなく、6400万画素のものになっている。画素の数字上はPixel 8aのほうが大きいが、センサーサイズや各種スペックを確認していくと、やはり上位機種のPixel 8のほうが優れている。

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Pixel 8aはメインカメラと超広角の2眼構成だ。数字上は6400万画素と大きいが、基本性能はPixel 8の方が上となる。

 近年の実売6〜7万円台の機種ではAQUOS sense8やRedmi Note 13 Pro+をはじめとして、カメラ性能に力を入れたものも登場している。それらの機種と比較すると基本性能では見劣りする部分もあるが、Pixelは強烈な画像処理で劣るハードウェアをカバーしている。

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何枚か撮影してみたが、標準カメラはPixelらしく強めの補正がかかる。少々カリッとした表現にはなるものの、価格の割には綺麗に撮れる印象だ。

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超広角カメラはメインカメラよりも一段劣る。それでもソフトウェア処理が優秀なため、割と綺麗に撮影することができる。

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等倍
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3倍望遠

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8倍望遠

 Pixel 8aのズーム性能はデジタルで最大で8倍。デジタルズームとは言えどAI補正でディテールはしっかり残しており、思った以上に画質の劣化を抑えていることに驚きだ。

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夜景モードにて撮影したが、こちらも白飛びしたりすることはなく綺麗に撮影できている。

 半月ほど利用して何枚か撮ってみたが、Pixelの写真はAI処理が入るので必ずしも「見たまま」には映らない。それでも、7万円前半の価格を考えると非常にきれいに撮影できる。被写体によっては少々やりすぎな補正をかける場面もあるが、フォトエディタや各種SNSアプリのフィルターを利用するとよい。

 Pixel 8aはテレビCM等で大きな話題となっている消しゴムマジック、モーションフォト、ブレ補正に加え、Pixel 8で利用できる「編集マジック」も使えるようになった。表現の幅が広がったという点では嬉しい進化だ。

Tensor G3搭載で基本性能の高さもしっかり備える。一方でゲームは相性悪い

 Pixel 8aの最大の特徴は、Pixel 8と同等の性能をもつGoogle Tensor G3が採用されていることだ。これのおかげで、7万円台の価格帯でもフラグシップと同様の体験を可能としている。前述のカメラ性能にも大きく寄与しているものだ。

 一方でPixel 8aは高負荷なコンテンツは厳しいものを感じた。Pixel 8シリーズとに搭載されるTensor G3は前年のG2と比較しても大きな性能向上は果たせておらず、現状のスペックはアッパーミドルクラスだ。
 高負荷な原神やシャニソンは最高画質だと30fps前後に留まり、画質の調整は必須となる。このパフォーマンス不足はPixel 8 Proをレビューした際と同様だ。

 また、ゲーム側の最適化がされているとも言えず、新作コンテンツの「学園アイドルマスター」では画質を落としてもフレームレートが極度に安定しないなど、最適化不足を感じられた。

 ただ、学園アイドルマスターは同じチップセットを採用するPixel 8 Proなどの上位モデルでは問題なく動作するようなので、現時点ではPixel 8a固有の不具合と考えたい。

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ベンチマークでは、Snapdragon 888と同等くらいの結果が出ている。一方で実際にいくつかのゲームを遊んでみたが、あまり性能を求めないものなら問題なく動作した。一方で、3D表現を多用するものは最適化されていない場面もみられた。

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原神は最高設定でプレイすると少々もたつきを感じた。デフォルトの画質「中」であれば問題なく動作する

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学園アイドルマスターは画質を落としてもガクガクな挙動をした。ここは最適化不足を感じる

 このTensor G3では基本性能はもちろん、それ以上にAI処理性能の高さを売りにしている。恩恵として高精度かつ高速な文字の書き起こし、リアルタイムで出力される翻訳機能、写真の画像処理エフェクトなどが挙げられている。今回は人物の認識精度や速度も向上している。
 どれもPixel 8に由来する機能であるが、Tensor G3を採用したことで安価ながらも上位機種と差別されることなく利用できる。

 引き続き大きく話題となる消しゴムマジック、モーションフォト、ぼけ補正もデフォルトでしっかり備える。今作では「かこって検索」や「編集マジック」も利用できるようになり、画像処理にも磨きがかかっている。このように強力なAI性能を必要とする処理が可能なのも、10万円を超えるPixel 8と同様のTensor G3を採用したことで、安価ながらも差別されることなく利用できる。

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かこって検索は画像認識性能が求められる
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編集マジックは生成AIを用いて画像編集を行える

 続いてスマートフォン本体についてチェックしてみる。画面は6.1インチのOLED画面を採用。Pixel 8aでは120Hzのリフレッシュレートにも対応しており、メリハリのある映像を楽しむことができる。Pixel 8と同じActiaディスプレイを採用し、ピーク輝度2000ニトと明るいディスプレイであるところはプラスだ。

 また、指紋認証は画面内蔵タイプとなっており、安価でもトレンドはしっかりと押さえている。指紋認証の位置も画面の真ん中よりだ。

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ディスプレイは120Hzのリフレッシュレートにも対応だ

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画面のベゼル(黒い部分)は太めだ

 本体はステレオスピーカーだ。価格を考えれば十分なサウンドだが、ハイエンド端末や安価でもXiaomiのように重視している商品に慣れていると物足りなさは感じる。Pixel 4a(5G)やPixel 5aとは異なりイヤホンジャックは備えていない。

 このほか、ワイヤレス充電への対応や通信バンドが拡充されるといった利便性も向上している。Pixel 7aのアップグレードにとどまらず、より上位のPixel 8に迫る機能面の仕上がりとなっている。

きれいに撮れるカメラ!長期のOSアップデート!手ごろな価格!3拍子そろって多くの人にベストバイ

 Pixel 8aを使って感じたことは「Androidスマートフォンで迷ったらコレ!」と勧められる仕上がりのスマートフォンだ。その一方である意味で面白みがない、ワクワクしないスマートフォンでもあった。

 端末のスペックや機能としてはものすごく無難にまとまっているため、イノベーティブな要素と呼べるものはかなり少ない。一度でも近年のハイエンドスマートフォンを使っていた方からすると、差別化要素はそこまで多くないため、少々物足りなさは感じてしまう。

 加えて、Pixelシリーズは最新のOSが最速で利用できる利点がある反面、アプリ側の対応に時間がかかるという難点がある。「開発者向け」とも称されるポジションの端末だけに、特定の不具合などを「引きやすい」端末であることに留意が必要だ。

 それでも、性能を考えたバランスの良さは特筆すべきで、多くの方がこの機種を利用して「不満」を感じる場面は少ないと考える。筆者のようなマニアからは「ワクワクしない」「ゲームに不向き」と評されるくらいが、大多数のユーザーにはちょうど良いさじ加減に仕上がっているのかもしれない。

 必要十分に綺麗に撮れるカメラ、ハイエンド並みの性能、Googleらしい独自機能、7年間の長期サポート、お求めやすい価格。どれをとっても不足なく、バランスよく仕上がっているスマートフォンだ。Googleに「iPhone SEのようなスマートフォンをつくってほしい」という声を具現化したものといえば分かりやすい。加えて、超広角カメラや6.1インチの画面サイズ、120HzのリフレッシュレートはiPhone SEとも差別化されているポイントだ

 そんなPixel 8aの強みは、AI周りを含めた基本性能の高さとアップデート期間の長さだ。前述の通りプロセッサはハイエンドに近いTensor G3を採用。直販価格7万円台前半と、円安の続く現在の為替を考えても昨年から1万円の値上げで抑えた点は評価したい。

 防水防塵にもしっかり対応し、日本で需要の高いFeliCaにも対応する。販路も直販以外にドコモ、au、ソフトバンクの大手3キャリア共通の取り扱いもあるため、家電量販店やキャリアショップで実機を触って検討しやすい。

 Pixel 8aでは7年間のOS アップデート、セキュリティパッチ提供を明言している。廉価端末でも7年のアップデート保証は驚きで、比較的長期なGalaxyのAシリーズでもここまでのものはない。日本向けにはiCrackedが即日修理サービスを提供するなど、廉価モデルでも利用者が長く安心して利用できるような仕組みを整えている。

 特に長期のアップデートと高度なAI 処理については「Google にしかできないスマートフォン」という仕上がりだ。かつてのPixelはNexusの系譜に近い「リファレンス端末」という側面が強く、最速かつ長期のアップデート以外の強みが少なかったのだ。

 そんな中でもPixel 8aは最速のアップデート配信のみならず、AI機能を全面に押し出したカメラ性能や各種翻訳、文字起こし機能などを備えた。ユーザー体験を向上させるGoogleらしいスマートフォンに仕上がっている。

 さて、Pixel 8aの惜しいところは一部アプリの相性の悪さ、Bluetoothイヤホンとの相性の悪さ、電池持ちの悪さ、ゲームの相性の悪さだ。アプリの相性やBluetoothイヤホンとの相性の悪さはTensor G3に由来するものがあり、業界大手のクアルコム のSnapdragonとは異なる仕様から来ている。

 特にゲームに関しては前述したとおり、性能不足よりも最適化不足でうまく動かないものが多い。特に3D表現を多用するコンテンツや、海外のコンテンツでは満足に動作しない場面も見受けられた。Pixel 8aはゲームに不向きなスマートフォンと覚えておこう。

 また、Pixelの特徴である「最新バージョンのAndroid OSが利用できる」ことから、数字が変わるメジャーアップデートから数か月はアプリ側の最適化が追いつかない状態だ。ゲームとの相性の悪さはカスタムチップと最新すぎるOSが大きな理由だ。

 Bluetoothイヤホンとの相性は大手のクアルコムが推している「aptX」系の高音質な拡張コーデックが独自のTensorを採用したことで利用できない。この辺りはLDAC対応のものを利用するなどの方法で対処できるが、選択肢は少なくなる点に注意だ。

 バッテリー持ちについては、もともとPixel 8シリーズもあまり良いものではなかったが、Pixel 8aではバッテリーの容量が少ないこともあって電池は早く消費した。使用していないときの減り(セルスタンバイ時)も他機種に比べて多く、何も使っていなくても数%単位で減っていることもあった。

 この辺りは通信キャリアの仕様や基地局との相性もあるようで、継続的なソフトウェアアップデート等で改善されるとありがたいものだ。特殊な事情かもしれないが、日本ではPixel 8aは128GBのみの展開となる。そのため、スマートフォンに容量を求めるユーザーにはおすすめできない。

 そんなPixel 8aの日本市場における価格は7万2600円(直販)となる。順当に上がったスペックや昨今の為替情勢を考えるとかなり攻めた価格設定となっており、背景には6万9800円で販売されるiPhone SE(128GB)の存在が大きいものと考える。

 ストア版では特典で2万円相当のストアクレジットの付与を行うなど、特典を加味すれば昨年のPixel 7aと大きく変わらない価格としている。ストアクレジットをつかって周辺機器や純正ケース等も揃えやすくなっている。
 上記のような”面白みのなさ”も「攻めた価格」の上ならば納得できる。加えてキャリア各社も「実質24円」などで展開するなど、安価に利用できる場面も多い。

 一方でPixel 8aはライバルも多い激戦区の価格帯だ。近い価格帯にはNothing Phone (2a)、Xiaomi Redmi Note 13 Pro+が存在する。FCNTのarrows We2 PlusやXperia 10 VIもここに食い込んでくるはずだ。

 加えてXiaomiはオンラインブランドのPOCO F6 Proも日本向けに6万円台で展開。安価にゲームといった「スペック」を求める方にも選択肢が与えられた。

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スペックを求めるユーザーにはPOCOという選択肢が増えた

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 長く愛着を持って使いたいスマートフォン。近年のものは高騰傾向にある中、安価ながらも性能と長期のアップデートに大きな不安のない1台として、Pixel 8aを検討してみてはいかがだろうか。

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