大容量バッテリーにフラグシップのSoC。全方位に進化したvivo X100 Ultra
vivo X100 Ultraの核となるプロセッサーはSnapdragon 8 Gen 3を搭載。高い性能はもちろん、AI処理性能やISP性能をはじめとした画像認識、画像処理部分の性能も前作より向上している。
vivo X100 Proで採用されたDimensity 9300も高性能だが、カメラ性能に寄与するISP性能などを考慮すると、カメラフォンとしては他社や従来機種同様にSnapdragonを採用する結果となったのだろう。
メモリは12または16GBと必要十分ながら、最大で16GBの仮想メモリにも対応している。ストレージの最低容量が256GBとなっており、写真や動画を撮るのが売りのスマートフォンなだけにありがたいものだ。
高性能なゆえに発熱が気になるところだが、X100 Ultraでは冷却機構が改善され、大型の面積をもつVC(ベイパーチャンバー)が採用されている。このおかげもあって「本体やフレームが極度に熱くなる」ということは少なくなっている。
発熱しても本体の背面がジワジワと暖かくなる程度だ。また、原神ではアップスケーリング機能も利用でき、高性能を生かしてより高画質に描画することができる。
高負荷な原神も快適に動作する

原神よりも高負荷な学マスも問題なしだ
vivo V3+チップにはカメラに直結するISP性能以外にも、描写フレーム補完といった描画面の機能も備えるなど、よりSoCに近い存在となっている。動画視聴やゲームプレイなどでは恩恵を得られるはずだ。実際にゲームをいくつか遊んでみたが、性能が高いこともあって動作には全く困ることはなかった
画面サイズは前モデルと共通の6.78インチ、サムスン製のE7 AMOLEDを採用した。画面解像度は2K+となり、ハイエンドスマホらしいものになっている。画面輝度はピーク時で3000nitとかなり明るいものが採用され、屋外でも高い視認性を確保している。

画面はピーク輝度3000nitの明るいものが採用されている
本機種はエッジスクリーンを採用しているので持ちやすいとはいえ、大きさ的にはXiaomi 14 Ultraクラスとなる。持ちやすさの点での評価は割れるだろう。
搭載するOLEDパネルは120Hzの高フレームレート対応をはじめ、色帯域カバー率も高く主流な機能もしっかり押さえた高品質なものだ。LTPO制御も新世代のものが採用され、1~120Hzまでフレキシブルにリフレッシュレートを変化させつつ消費電力を抑えることが可能だ。
サウンド関連では。X100 Ultraはステレオスピーカーを採用。物理的なチャンバー容積が大きくなり、低域もしっかり出せるようになっている。HONOR Magic 6 Proなどには劣るものの、従来のXシリーズと比較してかなり音はよくなった印象だ。
バッテリーはvivo X Fold3にも採用された半個体電池を採用。5500mAhと大容量ながら本体容積を抑えることに成功している。これもあってカメラフォンとしては電池持ちも比較的よい。
UIはOrigin OS 4.0を採用。仮想グラフィックカード機能などを備え、表示するフレームレートの安定化を図っている。中身はAndroid 14ベースだ。新機能としては、AOD画像のAI生成もできるようになっている。
度肝を抜かれた望遠とテレマクロ性能。夜景、望遠、マクロ撮影を求めるならX100 Ultraが現時点のマストバイ
vivo X100 Ultraは期待を裏切らない仕上がりだった。中国メーカー各社がカメラ性能を重視した機種を展開しているが、vivoは暗所性能と望遠性能、テレマクロ性能にかなり重きを置いたスマートフォンと感じた。特に望遠性能は現時点ではひとつ飛びぬけたものを持っていると言ってよい。
スマートフォンのレギュレーション内であれば現状頭一つ抜けた別格の存在なのだ。これには基本性能の高いカメラハードウェア、卓越したソフトウェア処理が挙げられる。
その中でも、夜景モードの多様さ、ZEISSナチュラルカラーの採用は大きい。前者は夜景お化けのファーウェイなどとも差別化でき、後者は彩度高めの中華スマホチューニングとも異なる絵が出せる点で差別化されている。
V3+チップを用いた高度なコンピューテショナル・フォトグラフィーを駆使した「目が覚めるような美しい撮影体験」は最上位のX100 Ultraが持つ特権だ。動画撮影時の手振れ補正の優秀さをはじめ、オートでもマニュアルでも遊び要素のあるとても良いスマートフォンだ。
そんなvivo X100 Ultraは基本スペックも妥協なきハイエンドとなる。Snapdragon 8 Gen 3に加え、画面も高輝度なAMOLEDパネル採用で隙が無い。ステレオスピーカーにIP69等級の防水防塵機能もしっかり備える妥協のないハイエンドスマホだ。
それでいてお値段は6499元(約14万円)~という価格設定も魅力的だ。日本への直輸入なら輸入消費税などを含めてざっくり17万円ほどとなる。
vivoのXシリーズはかつてのフラッグシップになるNEXシリーズに近い価格設定で、Huawei Mateシリーズをはじめとした他社のプレミアムラインと近いものになっている。それでも、ここまでカメラに特化したものはそうないはずだ。スマートフォンに高いカメラ性能を求めるのであれば、ある意味マストバイと言える存在に仕上がっている。
この機種の難点を指摘するのであれば、メインカメラの可変絞りだろう。XiaomiやHuawei、HONORが採用するが、ここまでカメラを強化したvivoでも今回は採用を見送っている。一方で、発表会では今後もカメラ性能を追求すると説明し、可変絞り搭載を示唆する内容も見受けられた。そう遠くないうちにvivoから可変絞り搭載のスマートフォンも登場することだろう。
また、vivo X100 Proからの乗り換えだと、テレマクロを除くと「劇的な進化」を感じないことだろう。これは前機種も十分に高性能なこと、X100 Ultraはテレマクロや超望遠という部分の進化が大きいことで、普段使いでは極度な差を感じない場面が多いこともありそうだ。
筆者としてはX100 Proの望遠、夜景撮影を強化し、テレマクロ、ライブモード、Humanisticモードなどを追加したような製品と考えている。もちろん、細かいディテールなどの処理はX100 Ultraのほうがうまく処理されており、X100 Proに感じた塗り絵感は薄くなっている。どちらかといえばX90 Pro+のチューニングに近く、上位機種としての立ち位置は実感できる。
筆者の利用した環境が発売前の先行使用ということもあり、今後のアップデートでさらに進化する可能性もある。分かり次第追記していきたい。
こうなると、同じくカメラ性能特化のXiaomi 14 Ultraが比較に上がるが、両者はチューニングとしては対極の位置にいる存在となる。くっきりはっきりした「目の覚めるようなキレイな写真」を得意とするvivoに対して「情景のあるエモい写真」を得意とするXiaomiと評価できる。ぜいたくを言うなら、この2機種のカメラは使い分けが可能だ。

この2機種は場面に応じて使い分けが可能だ
カメラ特化のイメージ付けを行うvivo。正直なところファーウェイやXiaomiのような「高いカメラ性能」を十分に周知しきれているとは言い難い。事実、中国以外では苦戦しているのか、グローバル市場では最上位モデルの展開を行わない傾向が見られている。
一方で、この5年でvivoのXシリーズはファーウェイの「Pシリーズ」に倣ったカメラ特化の製品して確固たる地位に付けたと筆者は感じている。製品としての魅力は高いところまでもっていけているので、今後はグローバル市場にて多くの客層にアピールしていくのかが課題となりそうだ。

vivo X100 Ultraは今世代のカメラスマホとして「ズーム性能」「夜景性能」「マクロ性能」に特化したスマートフォンだ。ポケットに収まるカメラとしても仕上がっており、そのような意味としても1つ手持ちの機種に加えると幸せになれそうだ。