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中国で売られるスマホには「消しゴムマジックで消せない場所」があるって本当?実際に試してみた

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 インターネット上である投稿が話題だ。それは特定の中国メーカーのスマートフォンでかつ、特定の場面で「消しゴムマジック」に準ずる機能を利用しようとすると「利用できない」というものだ。

 その場面とは、北京にある天安門広場だ。北京の有名な観光地であるとともに、中国の歴史的な行事などで幾度も舞台になった場所だ。過去に天安門事件が起こった場所でもあることから、反政府的なデモを防ぐ目的で多くの警備兵が配置されていることでも知られる。

 前述の反政府的なデモ防ぐ目的から、インターネット上でも、検閲が厳しい場所としても知られている。中国のネットユーザが天安門広場に飾られる毛沢東氏の肖像画を消した画像でも投稿してしまえば、そのアカウントはあっという間に凍結されてしまう。

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今回フォロワーのなしみるく様よりこの2枚の写真を提供いただきました。

筆者は投稿者から依頼を受け、ファーウェイのスマートフォンで実際に編集マジックに準ずる「AI消しゴム」を試してみた。結果はうまく動作しなかった。

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実際にPura70 Ultraで試したが、「ネットワークエラー」と表示され正常に処理されなかった

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また、Xiaomi 14 Ultraの中国版も正常に処理できなかった

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vivo X Fold 3は「画像に機密情報が含まれている可能性があるため、この機能は利用できません」と出てくる

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天安門広場で「編集マジック」に準ずる機能が使えない理由は”スマホのAI生成”か

 今回、他メーカーの機種でも同様の処理ができるか確認したが、結論から言えばHuawei、Xiaomi、vivoのスマートフォンで正常に処理できないことが判明した。また今回の検証では確認できなかったが、OPPOやOnePlusのスマートフォンでも正常に作動しない場面があると言う。

 これらの理由を筆者は、スマートフォンの画像認識技術が向上したことによるものと考えている。AIの画像認識技術の向上は近年目に見張るものがあり、今では画像を認識してインターネット上のリソースを用いて高速かつ、きれいに処理してくれるものまで現れている。生成AIも用いるPixelの「編集マジック」はその典型例だろう。

 もちろん、これらの機能は全て中国国内にあるサーバーを経由して行われるため、処理される画像に関しては検閲が入る。画像を認識した結果として「処理できないように」アンサーが帰ってくるのではないかと考えられる。

 そして、この結論をより正確にしてくれたものが古い機種では問題なく消去できる点だ。例えば、ファーウェイの古い機種にある「オブジェクト除去」では問題なく物体を消去することができた。つまるところ、被写体を認識していない。Pixelでいう「消しゴムマジック」に準ずるであれば問題なく処理してくれるのだ。

 Xiaomiもこのエラーが出るものはプロモードの消しゴムマジックであり、従来から利用できる。通常の消しゴムマジックではなんら問題なく利用できた。

 vivoの場合も古いバージョンの機種では問題なく利用できたことから、最新のAI生成処理が含まれるものは、高度な画像認識等ではじく可能性が極めて高いことがわかった。

 また、これらのメーカーは中国本土のみで販売される機種が対象となり、それ以外の地域で販売される機種はなんら制約もなく利用できる。事実、中国向けとそれ以外の地域向けではそれぞれ異なるソフトウェアが採用されている。

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確かに消しゴムマジックも古いバージョンなら問題なく利用できる。あくまで画像認識して、中国国内のサーバーで処理をする「新しい世代」のものがうまく利用できないようだ

 このため、中国で販売されているスマートフォンのうち、一部メーカーの機種は被写体を認識し、場面に応じて生成AIが処理を行う機能。Pixelでいう「編集マジック」に準じた機能は天安門広場ではうまく動かないようだ。ある意味、中国政府の検閲を肌見て感じた瞬間だった。

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